15:第1層ボスを圧倒するが……
次の日、アルカはボス部屋前の洞窟へと来ていた、1人で。
本来は極と待ち合わせをしていたのだが、急用が入ったとの事で1人でボス部屋まで来たのだ。
別に急いでいる訳では無いので、後で来ても良かったのだが、好奇心から来てしまっていた。
それに、アルカはエアーゴブリンに対し、どの程度、善戦出来るのかを試してみたかったのだ。
「いきなり2vs1ってのもね」
アルカはやる気満々であった。口角を上げ、ボスの待つ洞窟へと足を踏み入れる。
「勝負だ、エアーゴブリン」
ボス部屋へと入ると入り口が閉じる。これで死ぬか負け扱いとなるとなるリタイア、それか勝利をしなければ部屋から出る事は出来なくなった。
「ニョバアアアアア!!」
エアーゴブリンの登場だ。
ゴブリンなのに、吸盤付きのタコのような脚を携えており、吸盤1つ1つに着いたゴブリンの顔がニヤリとアルカを睨み付ける。
「ヘーヒョッヒョッヒョ」
「まじかで見ると結構大きいな。俺くらいはあるな」
アルカの動画では見たが、実物を見ると、想像よりも大きく感じた。
「それにしてもエアーゴブリンって名前の割にはエアー要素が不足し過ぎだろ……」
外見に風要素は無いが、攻撃は風属性攻撃を多用するゴブリン。
早速、お得意の【トルネード】を放ってきた。
【トルネード】は小型の竜巻といった感じで避けるのは容易であった。
「体がデカいと避けにくいな。今は1つだからまだ良かったが、複数出されると面倒だ。一気に行く」
アルカはスキル、【咆哮】を発動させた。
エアーゴブリンには通用するようで、HPを順調に減らしていく。
「ふぅ……思ったより楽勝かもな」
「キギャアアアアア!!」
再び【トルネード】を発動させるエアーゴブリンであった。先程とは違い、合計10個の竜巻を召喚してきた。小型とはいえ、避けにくい。
「そりゃないぜ……」
あの竜巻が避けられないと言っていた極であったが、アルカの場合は体が大きいので、更に避けにくくなっている。
「だがな……【トルネード】自体はさほど強いスキルじゃないみたいだぜ」
アルカは敵に突っ込んでいく。
「確かに強力な攻撃だが、俺のHPはまだまだ余裕だぜ」
アルカのHPは半分削れたか削れないかといった所であった。
「終わりだ。楽しかったぜ」
力の差があったので思ったよりも早く、決着が付きそうだ。
とどめとして、スキル、【咆哮】を放つ。先程より距離が近いので、大ダメージである。
「ニョアアアアアアアアアアアア!!」
エアーゴブリンは壁に吹っ飛び、砂煙で姿が目視出来なくなる。
「あれ? 【咆哮】ってこんなに吹っ飛び効果があるスキルだったっけ?」
相手を吹っ飛ばす効果は無い。
つまりこれは、演出の可能性が高い。
「イヒヒ」
「何っ!?」
エアーゴブリンのHPが1残っている。
そればかりかゴブリンはニヤニヤしている。まるでまだ負けてないとでも言いたげなようだ。
「ヌッホオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!」
エアーゴブリンが姿を変える。
天使のような翼が生え、吸盤付きの脚は体中の至る所から生え、軽く50本はありそうだ。
吸盤にある顔を除くと、頭は1つだったのだが、左右の肩から蛇のような首が生え、そこから新たに、ホラー映画でありがちな女性のマネキンのような頭が2つ垂れ下がっている。
「エアーゴブリンが変身しただと……!? しかも、HPが回復している。第二形態か!?」
アルカは運が良かったのか悪かったのか、本来であれば第二形態とは戦闘する必要は無いのだが、偶然にも条件を満たしてしまったのだ。
「ヌッホオオオオオオオオオオ!!!!」
HPバーと共に表示されているエアーゴブリンの表記がエクシードゴブリンへと変わる。
「エクシードゴブリン……」
アルカはゴクリと唾を飲み込む。そして笑う。
「ハハハ! こんなの聞いてないぞ!! だけど……こうなったらやるしかないな」
「ヌホオオオオオオオ」
先程より、大き目の【トルネード】、いや、【ハイトルネード】を使用してきた。更には、マネキンから炎が噴射され、【ハイトルネード】と合わさる。炎の竜巻の完成である。
これは明らかに第一層のボスの強さでは無い。
だが、アルカは怖気付かない。
「そう来なくちゃ面白くない」
アルカは今日ようやく大事な事を思い出したのだ。
大事な事……それはスライム討伐依頼の報告である。
GWOでは、依頼はギルドにて、報告をしなくては達成とはならない。
つまり、アルカは今日、初めて依頼をクリアしたのだ。
アルカの場合、得られたのは、報酬の300Gだけでは無かった。
アルカは、【ハイトルネード】を飛行でかわすと、スキルを発動させる。
「やってやるぜ! スキル発動、【第二の瞳】!!」




