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146.班分け

「私の勝ちね!」


 【戦わなければ出られない部屋】から、極とアルカは出てきた。

 決着がついたようだ。


「ま、まさか負けるとは思わなかったでござる」


 敗因は、クロノスピアに内臓されている、時間停止スキルを極が詳しく知らなかった点であった。

 スキルにより、時間停止→スキルによる、フルボッコの流れで極はいつの間にか敗北していたのだ。


「負けたのか!? ま、そういう時もあるか。にしても、丁度これでクランメンバーが全員揃ったな。少し時間が遅いけど、作戦会議を始める!」


 アルカは円卓のテーブルを用意すると、その周囲にクランメンバーが着席する。

 先程のキメラからの意見を皆に発表した結果、3組に分かれようという話になった。

 1人1層だと、NPCの依頼を攻略するのに、手間取ってしまう可能性があるからだ。


「えーと、どうやって分ける? くじ引きにするか?」

「ここは、バランスを考えましょう。例えば、生産職のミーナちゃんと会長は一緒にしないとか……とりあえず苦手な所を補えるペアにしませんか?」


 このクランの中で、一番ゲーム慣れをしているであろう、キメラの意見はもっともであった。


「それもそうだな。まず、戦闘力に関しては俺のアバターが一番強いだろう」

「自信満々ですね」

「数値上の話だ。だけど、俺はゲームがあまり得意じゃない。このゲームの知識も不足している。つまり……」


 アルカが全てを言い終える前にキメラが発言する。


「知識を持っている私と組む! という事ですね?」

「そうしたい所だけど、キメラちゃんも立派な戦闘要員。俺はある程度知識を持っていて、更に戦闘要員でない、ミーナと組もうと思っている」


 ミーナは「ふむふむ」とドヤ顔をしながら頷いた。


「確かに、自慢じゃないですが、私はvtuberとしても活躍していますからね。このゲームについては、結構詳しいですよ!」

「頼りにしてるぜ! 後、今回のイベントは普通にアイテム使用がOKだからな。出来れば回復アイテムをイベント開始までに用意してもらえると助かる」

「ほぅ……! その依頼引き受けました! 高いですよー!」


 ミーナは冗談交じりに、右手をVの字にし、それをアルカに向ける。


「ありがとう。Gが足りなかったら言ってくれ。こっちからの頼みだからな」

「あ、それはご心配なさらずに! ファンの差し入れで素材やGは、たんまり持ってますから!」

「おお! それは助かる!」


 おそらく配信の手助けや、純粋にミーナの事が好きなリスナーが差し入れたのだろうが、こうして、【アルカのクラン】の皆の為に使われる。

 ミーナは、幸せを独り占めしないタイプだという事が分かる。


「じゃあ、私はキメラ君と組めばいいのかな? しょうがないな~」

「いや、会長まだ何も言ってないじゃないですか」

「だって、私も生産職だよ? 戦闘要員の君と組む以外有り得ない」

「極ちゃんとクローちゃんもいますよ?」

「あの2人は、組む気満々みたいだから、ほら」


 カノンが指を指した先には、当日どこを回るかを既に話している2人がいた。


「だから売れ残りの君と、私は組むのだよ」

「ひっ! ひどい!!」

「はっはっは! ……冗談さ、愛してるぜ! ベイベー!」

「へ?///」

「目を瞑れ、ハニー……」

「は、はい!////」


 バチンッ!!


「いったー!!」


 キメラはデコピンを受けた。


「はっはっは! 引っ掛かったね!」

「いや、意味分かりませんよ!」

「ま、冗談はここまでにしておいて。アルカ君? この3組で良いかな?」


「おう! 何だかんだリア友組になったな! 俺とミーナ以外」


 アルカの言う通り、リア友組となった。

 アルカとミーナは残念ながら、リア友ではない。

 ミーナのリスナーですらない。


「組み合わせが決まった所で、イベントまでに何を準備しておこうか」

「やっぱり新スキルの取得じゃないですかね」


 キメラが答えた。

 クロー以外、レベルはカンストしている。

 ミーナのアイテムのおかげもあり、だが。


「そうだな。タイミングよく覚醒して、スキル取得! 逆転! というのは、あまりないからな。この前はあったけど」


「私は、先程の通り、回復アイテムなどを作っておきます! 後、配信を通じて情報収集を行います」


 と、ミーナはやる事が決まっていた。


 クローに関しても、レベルをカンストさせるという仕事が残っていた。

 極はその手伝いだ。


 カノンは新機体の調整を行うらしい。


「私も新スキルの入手に力を入れましょうかね!」


 と、張り切っていたキメラであったが、ここでカノンに1つお願いを言い渡される。


「君にはやって欲しい事がある」

「へ?」

「情報収集だ。【ジルコ】と言えば分かるかな?」

「!!」


 この前、アルカ達に襲い掛かった、ジルコとその愉快な仲間達。

 その中でも、ジルコはユニーク武器の【ダークカリバー】を持っている。

 これはPKをすればする程、威力が増していく魔剣である。

 あの時いなかったメンバーも、アルカから話は聞いていた。


「これは私の予想だけど、イベント中に妨害をしてくる可能性も考えてね」

「確かに……ってあの人達4人だからクラン作れなくないですか?」

「そう。だが、アルカ君に真の意味で勝ちたいのなら、向こうも同じ土台に上がって来るだろう。と言う訳で、最後のメンバーを調査し、その情報を提示してもらいたい」

「む、無茶苦茶だ……」

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