143.GWO運営支部の男2人は業務後に飲む【閑話】
2021年9月某日。
ブレイドアロー社、GWO運営支部では会議が開かれていた。
先程まで開かれていたのだ。
そう、今は業務が終了し、とある2人はカフェでワインを嗜んでいた。
「いや~、やっぱり親ぼくを深めないとと思いましてね(。◕ˇдˇ◕。)/ 小生、真ん中分け先輩に嫌われてますから( ;∀;)」
強面緑髪アフロヘアの男、【毬藻】。
今年入社したが、非常に優秀な為、会議に呼ばれる事が多い。
「別に嫌ってないが」
ひたすら真面目な、真ん中分けの男。
毬藻の論理感が気に食わない、会議中にペロペロキャンディを舐める態度など、とりあえず毬藻の事は苦手な人物だと思っている。
「何で真ん中分け先輩はそんなに真面目なんですか? もっとはっちゃけましょうよ!」
「別にいいだろ真面目で」
「ほぅ……でも小生は先輩のそういう所好きですよ? ちゃんと来てくれましたし」
「用事が無かっただけだ」
「なるほど! では、折角だから業務中にできない話でもしましょうよ!」
毬藻がショートケーキにフォークをぶっ刺し、一口で食べると、続けて質問をする。
「先輩、GWO運営支部を自ら希望したんすよね?」
「そうだが?」
「じゃあ、やっぱりゲームとか好きなんすよね?」
「好きだが、それはお互い様だろ」
「おお! 先輩がデレました(^^♪) ちなみに普段はどんなゲームをやってるん?(。◕ˇдˇ◕。)/」
真ん中分けの男は軽く舌打ちをした後、やはり真面目だからであろうか、正直に答える。
「ノベルゲーム」
そう答えた。
「へぇ、小生は、アクションっすねぇ! 携帯ゲーム機でやる横スクールアクションが好きっす!」
「案外普通だな」
「失礼っすね! 先輩はどんなノベルゲームがお好みで?」
「別にどうでもいいだろ」
「18禁の奴っすか?」
真ん中分けの男は、ワインを一口飲み、腕を組む。
「18禁の奴っすか?」
もう一度同じ質問。
それに対し、クールに答える。
「そうだが? 別に何をやろうと勝手だろ?」
毬藻は、「ぬふふ」と笑う。
「先輩、アダルトノベルゲーマーだったんすね(笑) いや~以外っすね~!」
「別にエロが全てではない。どちらかというと、俺はシナリオの深さを重視する」
「うっそだぁ!(。◕ˇдˇ◕。)/」
「本当だ。特にローファンタジー系のストーリーが好物だ」
「ストーリーの好物はローファンタジー……で、好物のキャラは?」
真ん中分けの男は大真面目な顔をしながら言う。
「学生、ピンク髪、後輩、巨乳」
毬藻はため息をついた。
「アダルトノベルゲーマー先輩……アダルトノベルゲーマー先輩って生きづらいと感じた事ありませんか?」
「どうしてだ?」
「何か騙されそうで心配っす。真面目すぎなんすよ……アダルトノベルゲーマー先輩」
「その呼び方やめろ」
「そうっすかじゃあ……すけべ先輩で!」
「やめろ」
「先輩の……すけべ(>_<)」
「やめろォ! それ以上はよせェ!!」
いきなり叫んだので、周囲がシーンとなる。
他のお客さんも真ん中分けの男を見る。
「何大声出してるんすかw わりっす! 真ん中分け先輩って呼ぶっす!」
「はじめからそうしろ。で? 君はどんなキャラが好き何だ?」
真ん中分けの男は、キレ気味にそう答えた。
「ロリ!! ドストライクゾーンは8から13(。◕ˇдˇ◕。)/」
「そうか」
真ん中分けの男はワインをぐっと飲み干した。
それを力強く、机へ置く。
そのまま席を立とうとする。
「ちょっw すけべ呼ばわりしただけでキレないでくださいよw じゃ、質問します! 先輩はどんな感じのストーリーのゲームが好きなんすか? ローファンにも色々あるでしょう?」
「そんな事を聞いてどうする……まぁ、特別に答えてやる。お気に入りの作品だ」
☆
主人公は、元気な男の子!
しかし、医者のミスで生後の“才の授かり”を受け損ねた主人公は、自らの力のみで眠っている才能を探そうと奮闘するのだった!
そこで数々の女の子と出会い、共に成長していく!
☆
「というのがあらすじだ」
「先輩の好きなローファンタジー系っすね」
「そうだ」
「それでアダルトゲーマーすけべ先輩……あっ! 間違えました! 真ん中分け先輩の好きなタイプのヒロインが登場するんすね?」
「そうだ。ストーリーも実に良い。最後は思わず泣いてしまった」
毬藻は再び笑う。
「先輩が泣く所見たいっすね」
「俺は泣くことが恥ずかしいとは思っていない」
「本当っすかね~……って帰ろうとしないでくださいよ! カラオケ行くんすから! 先輩のエロゲソング熱唱聴きたいっす!」
「エロゲソングは歌わないぞ」
そしてカラオケ屋。
結局来てしまう。
「ここに僕がいて(。◕ˇдˇ◕。)~♪」
『98点☆』
「やったっすよ! 98点!!」
毬藻はカラオケ採点機で98点を叩き出していた。
対して、真ん中分けの男は。
「Amazing Grace~♪」
「ヘイッ! ヘイヘイッ!!」
エロゲソングは歌わなかった真ん中分けの男であった。
点数は、毬藻のタンバリンによる妨害を食らい……
『78点☆』
「先輩弱いっすね(笑)」
「君のせいだろ」
高得点を逃したのであった。
その後も採点勝負を時間を忘れて行った。
真ん中分けの男は負けず嫌いのようだ。
「いや~、楽しいっすね~って今何時っすか? 夜中1時!!」
「!! 俺とした事が!!」
「ま、落ち着いてください。今日は、ゆっくり朝まで飲みましょう! 明日はツライですよ~!!」
こうして、その日は寝ずに出社したのであった。
今回の交流で、2人の仲は深まった……のかもしれない……。
現実世界パートが続いてしまいましたが、次回はちゃんとゲームします。




