142.お互いの秘密
「ってどこに連れてくの!?」
思わずナガレは突っ込んだ。
「あー、刑事ドラマとか推理ゲームとかだとこういうオチになる事が多いから言ってみただけ」
「私、逮捕されちゃうの!?」
「いや、まぁ半分冗談よ。何てったって……」
クロアは溜める。
「私もそのGWOプレイヤーの1人だからよ!」
「え!?」
「私も能力を持っているのよ! 選ばれし力をね!」
ただ拾ったヘッドギアを使っただけである。
それを得意げに発言する。
なぜ、この時代、この世界にあったのかは不明だが。
「えーと……もしかして……もしかしなくても、クローちゃん?」
「そう! 私がクローよ! 参ったか!!」
「ど、どうやってあのゲームをプレイしているの……?」
「聞いてくれたわね! そう、あれは何気ない放課後だったわ……」
クロアは思い出す。
放課後、四葉のクローバーを探していた時であった。
『ん? ダンボール?』
偶然落ちていたヘッドギアを拾ったのだ。
「そ、それだけ?」
壮大な物語を想像していたナガレは、少し拍子抜けであった。
「そうよ! そういうあんたは?」
「川からダンボールに入ってドンブラコドンブラコと……」
クロアはキョトンとした表情をすると、数秒後。
「ぷっ……ぷはっはっはっはっは!! 何よ、それ!!」
大爆笑したのであった。
「いやだって、本当の事だし」
「ふっ……ふふふ、分かったわ。まぁ、私も似たようなもんだし」
「何だかクロアちゃん嬉しそう」
「そう?」
実際は嬉しいのだ。
最近ナガレに感じていた違和感の正体が判明したのだから。
(これで、これまで以上にナガレと一緒にいられるわ!)
心の中で呟いた。
「私は嬉しいけどね。クロアちゃんと一緒にあんな有り得ないようなゲームをプレイできるんだから!」
「おめでたい頭してるわね~」
「クロアちゃんは大人だね」
「あんたが子供すぎるのよ♪」
と、互いの正体を明かし終えた後、2人は文化祭を回るのであった。
「お化け屋敷……あんたを攻略する!!」
「攻略って……」
お化け屋敷を楽しんだり。
「ま、またお化け屋敷?」
「そうよ!!」
お化け屋敷を楽しんだりした。
「さて、次はどこに行こうかしら!」
「お化け屋敷以外がいいな」
2人が校舎内を歩いていると、眼鏡をかけた男性数学教師と出会う。
実はこの数学教師は、ナガレ達の担任でもある。
ちなみにゲームが好きで、分かりにくい問題はゲームで例えてくれるくらいのゲーム好きだ。
「文化祭、楽しんでるみたいですね」
「あっ、時谷先生!」
「双葉さんに槍崎さん、チャンバラ大会では素晴らしい戦いっぷりを披露してくれたみたいですね」
「いやぁ、それほどでも」
ナガレは照れ臭そうに後頭部をかく。
対して、クロアは。
「そうですよね! 特に私!!」
堂々とそう答えるのであった。
「ええ、本当に素晴らしかったです。勉強の方もそれくらい頑張ってくれると嬉しいんですけどね」
「あ……あははははははは」
乾いた笑いを披露する。
ちなみにクローとしてGWOにログインしている際、レベル36の時点で、自分の数学の点数の2倍くらいのレベルと言っていた。
それを考えると、悲惨な点数な事は間違い無いだろう。
「ま、今日は文化祭です。中学2年の一度きりの時間をエンジョイしてください」
「はい……」
ションボリとしたクロアを見て、ナガレは話題を変えようと、発言する。
「先生は今から、どこかのクラスに行くんですか?」
「そうですね。チャンバラ大会も無事終了しましたから、他のクラスの出し物を見回るつもりです」
「どこのクラスのですか?」
「3年D組です。あそこは発明品を展示してるみたいなので、興味があります」
「3年D組といえば、物理の空山先生が担任のクラスですね。私達も行きました!」
お化け屋敷の間にナガレ達も立ち寄っていた。
すぐに退出したのだが。
発明品と言っても、便利グッズ等がほとんどであった。
中には、何に使うか怪しい物もあった。
「ほう、ネタバレになるといけませんので、詳しくは聞きません。では、残りの時間も楽しんでくださいね」
こうして、時谷先生は、3年D組へと向かっていった。
「た、助かったわ」
「一緒に勉強頑張ろう?」
「……少しだけね」
しぶしぶそう答えるのであった。
そして、文化祭は無事に終了した。
「さて! 作戦会議を始めるわよ!」
その日、クロアはナガレの家に泊まりに来た。
「作戦会議……?」
「GWOについてよ! 私初心者何だから、色々と聞かせなさい!」
「えっと、私で教えられる事であればね」
ナガレはGWOの基本的な事についてクロアに話した。
「なるほど。理解したわ。でも分からない事があるわ」
「何?」
「何であんた、あんなふざけた喋り方してるの?」
ナガレは少し恥ずかしそうに目線を逸らした。
「身バレ防止みたいな?」
「ふーん。何か、笑っちゃうんだけど」
「あ、あんまり笑わないで!」
「もう笑い飽きたから笑わないわ」
「そ、そう」
ツボにはまったクロアは、毎晩笑っていたのである。
「おかげで腹筋が鍛えられたわ!」




