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141.極、リア友にバレる

 2008年9月某日。

 キワミのリアルこと、双葉フタバ七我流ナガレの世界では、文化祭が開催されていた。

 クラスにより、様々な出し物やイベントを企画しており、メイド喫茶からお化け屋敷など多岐にわたる。

 ナガレのクラスは何を企画したのかというと。


「このチャンバラ大会! 私が絶対に優勝するわよ!」

黒亜クロアちゃん。一応私達、主催者側なのにいいのかな?」


 チャンバラ大会の主催をしていた。

 ルールは簡単。

 頭上に風船付きのヘルメットを被り、ゴム製の武器でそれを破壊した方の勝ちである。

 主催者側であるのに、なぜかナガレとその友達の槍崎ヤリザキ黒亜クロアが参戦していた。


「いいのよ! とりあえず! 勝負よ!! 絶対決勝に上がって来なさいよ!!」


 参加人数が多いので、多くのブロックに分かれている。

 2人が当たるとしたら決勝だが、クロアはナガレが決勝まで上がって来るのを見越している。


「決勝で叩き潰す!」

「残念だけど、今回の勝負は私に分がありそうだよ」

「昔剣道やってたんだっけ?」

「それもあるけど……私は日々、ゲーム内で特訓しているのだよ! どやぁ!!」

「手先を鍛えた所で、どうにかなるものかしら?」


 ナガレは、この世界と時代に無いVRゲームを日々プレイしている。

 それもあり、今回のイベントは自信があったのだ。

 ちなみに現役剣道部は参加が認められていない。


「私は最近、ゲームをする時全身を動かすようにしてるからね!」

「ゲーム下手がやりそうな事ね! ま、精々頑張りなさい?」


 こうして、チャンバラ大会が開催された。


「はあああああああああああああああ!!」

「ぐあっ!」


 ナガレは男子相手でも、勝利を納めていく。

 このチャンバラ大会は武器の種類が選べるのだが、ナガレは長剣を選んでいた。

 武器の種類は、


・片手剣

・片手剣&盾

・片手剣二刀流

・長剣

・槍


 となっており、中々種類が豊富である。


「食らいなさい!」

「ふひっ! ま、負けちゃったけど楽しかったな♡」


 クロアに負けた男子は嬉しそうにニヤニヤしていた。

 Mなのかもしれない。


 そして、2人は決勝戦まで進む。


「やっぱりここまで来たわね!」

「クロアちゃんこそ、強いね」

「私は特殊な訓練をしてるから強いのよ!」

「じゃあ、その成果を見たいな! 全力で行くよ!」


 2人は嬉しそうに互いの顔を見つめ合う。


「それにしても、クロアちゃんは槍を使ってるんだね。この大会ではあんまり使ってる人いなかったから楽しみだよ」

「ふふふ、さぁ!! 行くわよ!!」


 審判がカウントダウンを始める。

 やがて、それが0になると、試合は開始される。


 七我流ナガレvs黒亜クロア

 ファイッ☆


 お互い動かない。

 互いの出方を伺っているようだ。


「!?」


 驚いたのはナガレ。


(おかしい……いつものクロアちゃんの性格なら、真っ先に突っ込んでくるハズなのに……)


 表情を引き締める。

 カウンターで倒そうと考えていたが、どうやらそうもいかないかもしれないからだ。


 と、考えているとクロアが動き出した。

 槍を前に構え、いつでも攻撃をガード出来るようにしている。


「てりゃぁっ!」


 慎重に動くクロアに対して、ナガレは素早い攻撃を仕掛ける。

 だが、それは的確にガードされる。


「効かないわよ!」


 槍で長剣を払うと、そのままナガレの風船を狙う。


「やるでござるな!」

「やっぱり一発で上手くは決まらないわね! 流石私のライバル!!」


 長剣と槍がぶつかり合う。

 互いが攻め、守りを繰り返し、何度も武器同士が重なり合う。


 そして、10分くらい経った、その時である。


「槍崎スペシャル!!」

「しまった!?」


 一瞬のすきを突き、ナガレの背後に周り、クロアの一撃は炸裂した。

 パン! と音を立て、ナガレの風船が破裂する。


「勝者! 槍崎黒亜選手!!」


 審判が旗を上げる。

 クロアの勝利である。


「やったわ!! 勝ったわ!!」



 試合後、2人はもぐもぐと、他クラスのメイド喫茶でオムライスを食べていた。


「残念だったわね! 今日は私の勝利よ!」

「何か悔しいなぁ。3回勝負だったら良かったのに……」

「じゃあ、やる? 3戦目」


 ナガレは首をかしげる。

 クロアは数学が苦手だ。

 もしや、足し算も出来なくなってしまったのかと、少し心配となった。


「何よその顔」

「勉強一緒に頑張ろうね!!」

「残念ながら勉強に関しては世話になるしかないかもね。でも私は試合の回数自体は間違えてないわ。さっきの試合は2戦目よ」

「へ?」


 クロアはさっき別なクラスで買った探偵帽を被り、ストローを煙管キセルに見立て、ニヤリと笑う。行儀が悪い。


「VRゲーム……2021年」

「!?」

「あんたは数カ月前から私に隠れて秘密のゲームをしていた。間違いないわね? キワミ

「なっ!?」


 ナガレは動揺した。

 答え合わせのようなものだ。


「何の事……?」

「とぼけても無駄よ。私はこう見えてもあんたの事を知り尽くしていてね。少し前から怪しいと思ってたんだけど、今回のチャンバラ大会で確信に変わったわ。すばり、あんたは私に嘘をついている! いえ、私に言ってくれなかった!! 嘘をつき続けていた!!」

「いや、別に嘘は……」

「残念ながら最近私は推理ゲーにハマっているのよ」


「で、ででででも証拠はあああるのの? 私がGWOをやってるって証拠ォ!!」


「証拠ならあるわ! この証拠があんたの嘘を暴く!! 食らいなさい!!」


 クロアはガラケーのボイスレコーダー機能で発言を聴かせる。


『で、ででででも証拠はあああるのの? 私がGWOをやってるって証拠ォ!!』


 先程……数秒前の発言である。


「これがどうかしたの?」


「私は、一度たりともGWOとは言っていないのよ! それなのにあんたはゲーム名を発現した!!」


「!!」


「さぁ! 認めるのよ! そして、向き合うのよ!!」


 探偵ものの主人公のように、ビシッとクールに決める。


「くっ……クロアちゃん」


「認めるのね?」


「……言い逃れは出来ないからね」


「じゃあ、行くわよ」


 オムライスを食べ終えたので、クロアはナガレを立ち上がらせ、その場をあとにするのであった。

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