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134.海底洞窟へ向けて出発

「とあるクエストをクリアして欲しい」

「とあるクエストですって……?」


 カノンはクエストについて説明を始める。


「私はロボットが好きでね、職業は【鍛冶師】だけど心の中ではパイロットだと思っている程だ。それで、どうしても欲しいロボットがあってだね」


 要するに、そのクエストの報酬にお目当てのロボットを作るのに必要なパーツがあるので、協力してくれという事である。

 で、なぜレベルの低いクローを連れて行くのか?

 なぜそれを入団条件にしたのか?


「何で?」


 クローが疑問に思い、質問した。


「まず1つ、そのクエストにはレベル40以下のメンバーを、最低1人パーティーメンバーに加える必要がある。そしてもう1つ……これはキメラ君の方が詳しいかな? 説明頼むよ、自称ゲーマー」

「じ、自称じゃないですよ? たまにゲーマーって言われますし! 他の人からも!」

「ま、そんな事はどうでもいい。説明を頼むよ」

「もうっ!!」


 キメラはちょっと、むっ、としたが、気を取り直して皆に説明を始める。


「えーとですね。GWOのクランにはランクがあります。最初はEランクから始まって、Sがトップランクとなります。ランクが上がると色々と出来る事が増えますが、今回注目してもらいたいのは人数です。今、私達のクランはEランク。Eランクでは初期の5人で人員オーバーとなってしまいます」

「ランクを上げるにはどうすればいいんだ?」


 クランのリーダーだが、ランクについてアルカは知らなかったようで、キメラに質問した。


「クランメンバーがクエストをクリアしたり、イベントでの活躍によってランクが上がります。今回、会長が受けて欲しい依頼ってのをクリアすると、丁度Dランクに上がる計算なので、丁度いいんです」

「なるほどなぁ」


 どっちにしろ、今のままではクローはクランに参加する事ができない。


「クロー、どうだ? 一緒にクエスト受けてみないか?」

「まだ入るって決まったわけじゃないけど……パーティ組んでクエスト受けるってかなり面白そうだわ! 他のプレイヤーとの勝負も期待できちゃったりして!」


 クローはニヤニヤしながら言った。


「じゃ、決まりだな! で、パーティメンバーはどうなんだ? 人数制限とかあるのか?」

「そうだね。このクエストは3人パーティーを組む必要がある。まずクロー君は外せないとして……誰が行く?」


 と、カノンが皆に尋ねると、クローが言う。


「極! 一緒に行くわよ!」

「拙者!?」

「まだあんたの実力を見定めてないわ。あんたのスキルも見てない事だし……それに私の力ももっと見てもらうわ!」

「別に拙者は構わないでござるが……」


 極はアルカに目で合図をする。


「いいんじゃないのか? カノンちゃんが良ければだけど」

「私は構わないよ。と言う訳で、最後はアルカ君だね」

「俺?」

「私じゃ、クロー君を守り切れない。クロー君はまだ36レベルだからね。はい決定!」


 という事で、アルカ、極、クローの3人はクエストに挑む事となった。


「問題はいつ行くかだな。今にするか?」

「私は大丈夫だわ!」

「レベル上げなくて大丈夫か?」

「そのクエスト中に上げるわ!」


 腰に手を当て、ドヤ顔でクローは言い放った。

 それを見て、極は思わず笑ってしまった。


「は? 何?」

「え、いや、何か拙者のリア友に似てたものでつい……。馬鹿にはしてないでござるよ!?」

「へぇ、ま、いいけどね。そのリア友もきっとあんたを倒したいのね?」

「そんな感じでござる」


 そんなやり取りを見てアルカは思う。


(大丈夫かな?)


 仲が良いと思っていたが、たまに喧嘩腰になるクローを見て少し不安になったのであった。


 そして……クエストを受注しに3人はギルドに向かうのであった。

 受注するクエストはずばり【海底洞窟の怪物を討伐せよ】だ。

 クエスト名から考えると、ボス討伐系のクエストである。

 肝心の海底洞窟の場所であるが、第1層の海岸エリアから潜って行く事ができる。

 最近追加されたダンジョンであり、第1層に見合わない高レベルのモンスターがうろついている。レベル70のモンスターも登場する程だ。

 そんなエリアにレベル40以下のメンバーを連れて行かなくてはならないというのは、護衛任務的な意味合いもあるのかもしれない。


「さあ! 行くわよ! まずはここを潜ればいいのね?」

「そうでござるが、拙者もGWOで潜るのは初めてでござるから、緊張するでござるな」


 3人は準備万端という事もあり、海底洞窟へと向かった。


 だが、3人はとあるプレイヤー達にこそこそ追われている事に気が付かなかった。




「皆! 追いますわよ! 今日こそリベンジですわ! ボッコボコですわ!」


 冒険者ギルドでクエストを受注した所を見たジルコとその仲間達は、アルカ達をストーキングしていた。


「野蛮だね。でも、ボクも今度こそ勝ちたい。随分と差をつけられちゃったからね」

「「同じくー!」」


 ジルコが勝手に結成したパーティー、【アルカにリベンジし隊】の4人は、同じく海底洞窟へと向かう準備を整えるのであった。ちなみに5人揃わなかったので、クランは結成できなかった。

 クエストを受けていないので、人数制限もおかまいなしだ。

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