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129.進化する龍

「ウヒョアーッ!?」


 ダークゴーストは、集中攻撃により大ダメージを受ける。

 実体化するまで、基本的にはダメージを与えられない点が初心者には難しいかもしれない。

だが、逆にそこさえ攻略できれば、別にそこまでてこずらないボスである。


「トドメは任せるぞ!」


 アルカはクローに目で合図をした。

 クローは両手に握った槍で敵を突き刺す。


「食らいなさい!!」


 その攻撃により、ダークゴーストのHPは0となった。

 ダークゴーストの体が、粒子となり消滅する。


「やった! ボスに勝ったわ!」


 経験値はかなり大量で、クローはレベル9から、レベル13へと上がった。

 アルカは、レベル8からレベル10となった。

 アバターによって、レベルアップに必要な経験値が違う場合があるので仕方がない。

 

「へへん! 私、強かったでしょ?」

「ああ! って、ん?」

「どうしたのよ」


 アルカの脳内に声が響き渡る。


《スキルを使用せず、レベル10……条件が達成されました。これより、進化を開始します》


「進化!?」


 アルカの体から光が発せられ、体が書き換えられていく。

 そして、光が収まった時、以前の姿と比べ、少々の変化がおきたアルカがそこにいた。


「何か少し雰囲気変わった……?」

「みたいだな……」


 職業が進化するのは確認されているが、アバターの進化は未だ確認されていない。

 テイムモンスターは進化する者もいるので、そんな感じだろうか?

 外見に関しては、全身が漆黒という点は変わりがないが、細かい点が変更されている。

 瞳の色が青からダークパープルに、そして、翼の先端や尻尾の先の尖り具合が増している。

 そして、何と言っても大きな違いは……。


「翼の目玉どこいった?」


 目玉の消失。

 一応、アルカの翼には、大きな閉じた目玉が片方につき4つ付いていた。

 ユニークスキル【第一の瞳】などの【○○の瞳】を発動すると、それに応じた瞳が開くギミックとなっていたのだが、それを発動する時以外は閉じっぱなしの飾り状態であった。

 おまけに目玉の部分の強度が低いので、そこを狙われるとダメージを通常より多く食らっていた。

 それが無くなった事により、翼全体の強度も増した。

 おそらく、並の攻撃では穴も開かなくなっただろう。


(それにしてもなぜ急に……? さっきはレベル10になるまでスキルを使用しなかったからとか何とか言われたな。隠し要素的な何か? でもVRゲーム慣れしている人だったらそういうプレイをしてる人がいてもおかしくないよな……? やっぱり俺のアバターは特殊中の特殊なのか……?)


 他に何が変わったのかも気になったが、クローを待たせても仕方が無いので、後にする事にした。

 とりあえず、クローとダンジョン探索をエンジョイし、ボスまで倒したので、イベント会場から戻る事にした。

 メニューからイベントを終了するを2人してタップする。

 すると、イベント会場の前に2人は召喚される。


「今日はありがとうね。楽しかったわ」

(デ、デレた!?)

「? どうしたの? もしかして戦いたいとか? ならばお望み通りぶっ飛ばしてやるわ! レベルも上がった事だし!」

(ち、違った。狂暴だな)


 アルカは自らの頭上を指差す。

 そこに今回のイベントでのレベルでは無い、本来のレベルが表示されている。


「俺こう見えてもレベルカンストしてるんだ」

「レベル70!?」

「pvpで勝ちたいんだったらカンストは常識だって、キメラが言ってたからな。まぁ、カンストしたのは、つい昨日だけど」


 サマーフェスティバルの後、カンストまで数レベルだったので、カンストするまでレベル上げを行ったのだ。

 そこまでの苦労は無かった。


「70……それに対して私はレベル13。こんなの勝てる訳ないじゃない!」

「うん……だからまた後でやろうぜ?」

「くっ! これで勝ったと思わない事ね!」


 クローは人差し指でアルカをビシッと指した。


「ああ、期待してるぜ!」


 いつか対等な強さになった際に戦いたい。

 そう考えたアルカであった。


「その調子だと、これからもGWOを遊ぶって事で良いんだよな?」

「そうね。こんなゲーム初めてだわ。実際に体を動かす感覚と変わらないのも凄いわ!」

「ははっ! そうか。だったらフレンド登録しないか?」

「フレンド登録……? 何? もしかして私に惚れたの?」

「いやいや、メッセージのやり取りとかするのにいいかなって。それに、クランメンバーに会いたがってただろ? 予定が空いたら会いに行こうぜ?」

「知らない人とフレンド登録して良いのかしら。携帯ゲーム機だけど、親に注意されてるのよね」

「今時珍しいな……」

「う~ん……ま、いいわ。登録しましょう。変な画像とか送ってきたら承知しないわよ」

「変な画像って?」

「へ、変な画像よ」

「だから変な画像ってなんだよ!!」

「色々……色々よっ……!」


 クローは顔を赤く染める。

 マナーの悪いプレイヤーは、セクハラまがいのメッセージやそういった画像を送りつける者もいる。

 それを冗談半分でアルカに言っただけであった。

 まぁ、そういったプレイヤーは運営により、処理されるのだが。


「と、とにかく! 登録はしておいたから、また遊びましょ?」

「そうだな。そういえばクローは、ソロか?」

「そうよ? 何で?」

「友達と一緒に始めたのかと思ってな。結構そういう人も多いらしいからさ」

「あー……一緒にやりたいって思う子はいるんだけど……何というかこの機械1つしか無いのよね」


 頭を指差した。

 ヘッドセットの事を言っているらしい。


「結構高いもんな」

「あーやっぱり?」

「買ってくれた人には感謝だな」

「そそそそそ、そうね!(本当は拾ったのよね)」


 クローは、アルカから目をそらした。


「? ま、勉強も頑張れよ!」

「勉強は……まぁ、程々にしておくわ。それじゃあね!」


 こうして、無事新規プレイヤーと交流を楽しむ事に成功したアルカであった。

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