128.レクチャー
「ああ。戦闘センスあると思うよ。(俺は戦闘センス無いけど)」
「そう!? やっぱりそうよね! じゃ、先に進みましょう!」
ダンジョンを進んでいくと、再びモンスターが現れる。
ゴブリンだ。
「私がやるわよ! ノヴァエクリプス!!」
ゴブリンの心臓に槍を一突き。
「決まったわ!」
勝ったと思ったが、ゴブリンのHPは残っており、クローは反撃を食らってしまう。
「いった! この!!」
「落ち着こう! ダメージが足りないならスキルを使ってみるのも手だぜ」
「スキル……?」
アルカはスキルの使い方をクローに説明した。
「念じればいいのね?」
「うん」
「口に出してもいい?」
「その方が最初は発動しやすいかも」
今のクローが使えるスキルは1つしかない。
クローはゴブリンに向け、そのスキルを放つ。
「食らいなさい! 【乱れ突き】!」
クローの身体が自然に動き、3連続の突き攻撃を放つ。
スキル補正で普通に攻撃するよりも威力が高く、ゴブリンのHPを0にした。
「ふぅ……スキルってこうやって使うのね。ってもっと強いのってないの?」
「レベル上げれば覚えると思うけど」
「やっぱそれよねぇ……槍を使う友達とかいないわけ? スキルに頼らない戦い方を教えてもらうわ!」
「いないなぁ……俺のクランに居るのは、刀とか杖とかを武器に使うプレイヤーだな。後はアイテムを武器にしたりとか」
「クラン?」
「仲のいい友達同士の集まりみたいなものかな?」
実際はちょっと違うのかもしれないが、アルカのクランは非常に緩い……というか明確な目標を持たず、本当にただ集まっているだけなので、大体合ってる。
「強い人が集まるクランとかはあるの?」
「あると思う……けど俺は詳しくない」
実際にGWOにもそのようなクランは存在する。
ひたすら強さを求めるプレイヤーは、どのゲームにもいるものだ。
「そうだ。今度俺のクランのメンバーと会ってみないか?」
「何で? その人達強いの?」
「強いぞ! まぁ、皆特徴的な戦い方をするから、最初はコノミ辺りにでも……」
プレイングと言えばコノミだと考えたアルカは、コノミを紹介しようと考えたが。
「特徴的ねぇ……面白そうじゃないの! 戦ってみたいわ! 【乱れ突き】でぶっ飛ばしてやるわ!」
食いついて来た。
だが、【乱れ突き】はそんな万能スキルではない。
今のままでは返り討ちに会う可能性が非常に高いが、彼女には勝つビジョンが見えたのか、嬉しそうにニヤニヤしている。
「レベルが上がったらな。ま、俺のクランメンバーは優秀だからな。あっと言う間に大量の経験値を手に入れられるアイテム何かもあるぜ。ま、それが無くても学生ならやり込めばすぐにカンストすると思うぜ」
「なぜ私が学生だと分かった!?」
「何となく」
言動で見破ったのだ。
しばらく進むと、行き止まりへと辿り着く。
しかし、ただの行き止まりでは無い。
そこには宝箱が設置されていた。
「私が開けていい?」
アルカは頷く。
クローが宝箱を開けると、【ハイスピア】を入手する。
今クローが装備している【スピア】の強化先だ。
クローは、ハイスピアを装備する。
武器の見た目は、棒状の部分が木から鉄になっている点のみだが、クローはニコニコする。
「強そうね! というか、ますます強くなったわ!」
道を戻り、進んでいく、クローも慣れたのと武器が新しくなったので、モンスターを次々と撃破していく。
「私って才能あるわ~!」
初心者歓迎イベントと言う事もあり、基本的にボス以外に強力なモンスターは出ない。
クローは運営の思惑通り、戦闘の爽快感を知り、気分を良くしていた。
「無敵ね!」
そして、ボス部屋前へと辿り着く。
ちなみに、ここに来るまでに何度かプレイヤーと出会ったが、アルカが何とか戦闘のフォローをした。
「ウヒョオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」
ボス部屋から、薄気味悪い叫び声が聴こえる。
「な、何?」
「ここから先はボス部屋だ。おそらくボスの声だ。行けるか?」
「当然よ! むしろ楽しみだわ!」
いざ、ボス戦へ。
ちなみに今のアルカのレベルは【8】、クローは【9】だ。
「ウヒョヒョヒョ!」
モンスター名【ダークゴースト】。
このダンジョン初出のモンスターだ。
目と口がニヤニヤしている半透明のモンスターだ。
「先手必勝! 【乱れ突き】!!」
ダークゴーストにスキル攻撃を放つが、効いていない。
攻撃がすり抜けてしまうのだ。
「何で効かないのよ! チート!?」
おそらく、一定のタイミングで無いと、攻撃が通らないタイプのモンスターだろう。
「落ち着け! ここは俺に! はあああああああああああ!! ……ごふっ!」
アルカは、高速飛行で、敵をぶん殴ろうとする。
が、それも通り抜けてしまい、壁に激突してしまう。
「へっ! やるなぁ!!」
アルカはダークゴーストを見ると、ニヤリとした。
そして、ダークゴーストの体が半透明で無くなる。
「!! 多分今がチャンスだ!! 攻撃だ!! ドラゴンパンチ!!」
「分かったわ! 一気に決めるわよ! ノヴァエクリプス!!」
アルカは連続で、敵をぶん殴る。
対して、クローは槍を両手でクルクルと回し、飛び上がり、そのまま突く。
ちなみに、クローはMP切れで【乱れ突き】を使用できなかった。
アルカは、クローを活躍させたいと考え、あえてスキルを縛っていた。




