13:美少女コンテストへ向けて修行する
「アルカ殿~!! 一緒に美少女コンテストに出るでござるよー!!」
3日後。
平日の夜、アルカと極は第1層のモンスターでレベル上げをしていた。
「美少女コンテスト……?」
アルカは首をかしげる。
美少女コンテストとは何だという感じだ。
「皆美少女なのにわざわざコンテストを開催するのか?」
アルカの疑問は最もである。
アルカを除いたプレイヤーは美少女と呼ばれる部類の容姿をしている。
そんな中でコンテストを開催するという事は、美少女の中の美少女を決めると言う事になるのだろうか?
「ちっちっち!」
極は目を瞑り、ドヤ顔でちっちっちと人差し指を振る。
「現実の世界の美少女コンテストとは違うでござるよ。これはゲーム内のイベント……おそらく普通の美少女コンテストじゃないでござるよ」
「普通じゃないって……まさか戦闘でもするってのか?」
「ち、違うでござるぅ!!! と言いたい所でござるが、拙者の収集した情報によれば、どうやら戦闘は避けられないイベントになる可能性が高そうでござる」
一体何処から得た情報なのだろうか?
アルカは気になったので、極に尋ねたが帰ってきた答えは。
「掲示板でござるよ」
どうやらネットの掲示板で収集した情報のようだ。
「その情報、正確なのか?」
「奴らのカンは侮れないでござるよ」
「そうか。だから俺を誘ったって訳だな?」
現実世界のような美少女コンテストならば、アルカの活躍は期待出来ないだろう。
だが、戦闘となれば話は別となる。
「そうでござる! イベント内容はどうやら明日発表されるようでござるが、戦闘する事を見越してさっさとレベルを上げるでござるよ」
「それは良いんだが……極って今いくつ?」
「お、女の子にと、年を聞く何て!! 照れるでござる~////」
極は、ふざけ半分の表情で、両手を顔に当てながら言った。
「いや違う。レベルだから!」
「レベルでござるか。拙者のレベルは17でござるよ?」
「はぁ!?」
アルカと同時期に始めた極であったが、アルカのレベルは現在8である。
なぜこうも差があるのだろうか?
「何でそんなにレベル高いんだよ!」
「どうもアバターによってレベルを上げる為の経験値が違うようでござる。それに拙者はアルカ殿よりもゲームを出来る時間が長いのでござるよ」
「そ、そうなのか。というかそんなにレベルあるなら第1層のボス何て余裕だろ?」
このゲーム、レベルが高くてもゴリ押し出来るとは限らない。
プレイングが重要なのだ。
アバターによっては、その限りでは無い。
「余裕……? 余裕じゃないでござるよ!! 奴は強いでござる!!」
極は目を見開いて言った。
「ちなみに第1層のボスってどんな奴何だ?」
「奴の名はエアーゴブリン。かなりの強敵でござる。拙者は奴に99回も殺されてる!! 許さんでござる!!」
「99回!?」
エアーゴブリン……極をそこまで殺すという事は只者ではない筈だ。
アルカはそう思っていた。
勝手に極の事をVRゲームが上手いプレイヤーだと思い込んでいたのだ。
だが、極のプレイングは酷いものであった。
刀を武器としているのだが、ある程度攻撃を食らうと冷静さを失い、刀を捨て、拳でゴリ押しをしようとするのだ。
「奴の恐ろしさを記録したビデオがあるでござる」
極はメニューを開き、自らがエアーゴブリンと戦闘していた時の動画を見せた。
すると、軽く汗を流しながら、アルカは首をかしげる。
「えーと……凄いゴリ押しだな。というか冷静に対処すれば勝てるのでは?」
「ちょい焦ってしまうでござるよ」
途中までは別に下手さは感じさせない。
むしろ上手いくらいだ。
だが、問題は攻撃を食らってからだ。
「あの竜巻がキツイでござるよ……だって拙者耐久値に振ってないでござるから……」
エアーゴブリンは、スキル【トルネード】を大量に召喚し、それをぶつけてくるのが得意戦法だ。
「確かに……竜巻だけなら何とかなりそうだが……動きが読みづらいな」
エアーゴブリンは、通常のゴブリンとは少し違った特徴的な外見をしていた。
まず、足が8本生えており、吸盤が付いている。
その吸盤を使用し、壁を登り、上空からの攻撃も仕掛けてくるのだ。
更に、その吸盤1つ1つに小さなゴブリンの顔が付いており、死角無しといった感じだ。
「そうなのでござるよ……そもそもこのモンスターソロで倒すの推奨されてないみたいでござるよ」
「確かに……よし! なら俺も一緒に挑戦するぜ!」
「おお! 流石アルカ殿でござる! 頼りにしてるでござるよ!! とりあえずアルカ殿を適正レベルまで上げるでござるよ!!」
こうして美少女コンテストへ向け、レベル上げ、そしてついでに第2層へ行ってしまおうという作戦が始まった。




