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123.俺の戦い方

 自らの大切なテイムモンスターを【自爆】させるパスタ。

 これでサンドシャークはこの試合中使えなくなってしまった。

 だが、パスタの手持ちはサンドシャークだけではない。


「そうか……パスタさんのスキルでテイムモンスターを爆発させたんだな」

「そうよ。どう? 私なりの挨拶よ」


 パスタはウインクをアルカに向ける。


「油断……!!」


 アルカはその隙を逃さない。

 パスタの頭を掴もうと、飛行で急接近する。

 向かってくるアルカをしっかりと目視し、澄ました顔でモンスターを召喚する。


「何!?」


 モンスターを召喚するスピードは速かった。

 しかし、アルカが驚いたのはそこでは無かった。


(モンガルコラボじゃない普通のモンスターだと!?)


 てっきりモンガルコラボのモンスターのみの構築だと読んでいたが、そうでは無かった。


「むっほおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」


 パスタが召喚したモンスターの名は【スパイダーコング】。

 下半身が蜘蛛、上半身がゴリラだが、目は蜘蛛のような複眼を備えている。

 おまけに下半身の蜘蛛足は何と、8本では無く、30本もある。

 これでかなり細かい動きも可能だ。

 ちなみに性格は獰猛どうもうで、主以外のプレイヤーを食う事もある。


「むっほおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!?」


 スパイダーコングはドラミングをすると、そのままアルカに襲い掛かる。


「初見だな……面白い!」


 アルカはスパイダーコングに【爆炎】を発動させる。

 しかし、30本の足を使用し、かわし、そのまま壁を歩き回る。


「ああああああああああああああああむほおおお」


 口から蜘蛛の糸を飛ばす。

 アルカはそれを受け止める。

 そして、そのまま糸をつたって、スパイダーコングをぶん殴る。


「むほろんろん!!」


 スパイダーコングは死にかけであったが、ただでは死なない。

 アルカの片翼をむしり取ると、そのままそれを食した。


「くそっ! やられたか! 何て奴だ!」


 これで、この試合中は飛行する事が出来なくなってしまった。


「この子はもう駄目そうね。【自爆】」


 パスタはスキル【自爆】でスパイダーコングを爆発させる体制に入る。

 やがて、スパイダーコングは光り輝き、爆発を起こす。


「二度も食らうかっ!」


 【自爆】は意表を突くのには向いているが、事前に体が光り輝く性質を持っている為、2回目を当てるのは厳しい。


「あら、かわしたのね……さて、じゃ、ちょっと驚く戦い方しちゃおうかな」


 パスタは目をカッと見開き、叫ぶ。


「【武器変化アームドチェンジ】!!」


 スカイエルを召喚し、それが粒子となり、別な形に再構築される。

 そして、パスタの手にはスカイエルを模した弓が握られていた。


「モンスターが弓になった!?」


 会場がざわつく。


「何だあれ! 弓って【ガンナー】以外装備できないんじゃないのか!?」

「いいな! 私もあれ欲しい!」

「こりゃ、面白くなって来たぞ」


 知らないプレイヤーが多かった。

 それもその筈、レベル上げの際にたまに使うくらいで、対人戦でこのスキルを使用したのはこれが初であった。

 弓矢がアルカを襲う。


「一発貰ったがまだ……って動けない!?」

「ふふ、モンスターを武器化させたものの攻撃にはスキルを付与できるのよ。今付与したスキルは【天風撃てんぷうげき】。三割の確率で相手を5秒間行動不能にさせる」


 弓矢が次々とアルカに襲い掛かる。

 三割を連続で引いているのだ。

 何という豪運。

 アルカのHPは削られていく。


「召喚解除……そして! 現われなさい! 薔薇ガール! そして、【武器変化】!」


 薔薇ガールそのものの活躍は悲しい事になく、すぐにそれはレイピアとなった。


「色んな武器を使えるんだな」

「ええ。練習もしたもの」


 レイピアを持ったパスタは、アルカへ突っ込む。

 アルカは、片翼の【メタルウイング】で迎え撃つ。

 金属と金属がぶつかり合う音が響き渡る。

 しかし、レイピアの連続突きでもう片方の翼も穴だらけになってしまった。


「やるな……だったら!」

「だったら……?」


 アルカは叫んだ。


「出やがれ!! 新スキル!!」

「あら? 神頼み?」

「出ないか……」


 実はちょっと期待していたアルカであった。


(アニメとかならここで覚醒して逆転なんだけどなぁ……プレイングじゃ俺の完敗だ)


 アルカは負けを覚悟した……しかし、その時、とあるプレイヤーの言葉が脳裏をよぎった。


《い゛いか!? このゲームはな゛ぁ゛!! 全てはランダムアバターの当たり外れとスキルで決まるんだよ!! いくらプレイングスキルを磨いた所でぶっ壊れスキル、ぶっ壊れアバターの前には糞の役にも立ちやしね゛ぇ゛!!》


(一理あるな……分かったよ……俺は……俺らしく戦う! プレイングじゃ追い付けない程のスキルとステータスの暴力を使ってな!)


「負ける覚悟はできたかしら?」


 挑発には乗らない。

 アルカは【トルネード】を連続で放つ。

 ここまで連続で放てるのはアルカのMP量があってこそだ。

 小さな竜巻が重なり、巨大な竜巻が完成する。

 更にそこに【超音波】を使用する。


「オメガトルネード改!!」


 パーティ対抗トーナメントで見せたオメガトルネード改を1人で完成させる。


「な……何が起こっているの!?」


 巨大な竜巻故に、このフィールドでは、かわす事は物理的に不可能となっていた。

 この竜巻に巻き込まれたら最後、付与した【超音波】の効果で混乱してしまうので、途中で脱出する事も普通は不可能だ。

 洗濯機に入れた洋服のように、パスタが竜巻の中でグルグルと回転する。

 そして、竜巻がやむと、混乱状態で受け身が取れないまま、地面へと叩き付けられる。

 スキルによる攻撃、そして落下ダメージが合わさり、耐久値が高くないパスタのHPは0となった。

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