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122.アルカvsパスタ

 “ショー”の最後の対戦相手は、期待の新人プレイヤー“パスタ”だ。

 ちなみに、最後の試合の前には30分の休憩時間が与えられている。


「最後の相手は、パスタさんか」

「そうでござるな」


 極と2人でパスタについて話をする。

 ミーナは店へと戻ったようだ。


「極はパスタさんと一緒にレベル上げをしたんだろ? プレイング的にはどんな感じだ?」

「とにかく強いとしか言いようがないでござるな。あまりネタバレするのも良くないので、自分の目で確かめてほしいでござる」

「悪い、確かにそうだな。とりあえず、俺は俺らしく戦う」

「応援してるでござるよ!」


 極は、テンション高く拳を天井にかかげた。


「ありがとな」

「アルカ殿、頑張るでござるよ……この戦いが終わったら、拙者告白するんだ……」


 ふざけ半分で極が言った。

 ちなみに告白というのは、アルカvs極の前に約束していた件である。


「そういえばそうだったな。今じゃ駄目なのか?」

「ダメ!」

「深刻な悩みか……? もしや家庭の事情か……?」

「違うでござるよ! でも凄く凄い事でござる!」

「そうか、暗い話じゃないなら楽しみにしてるぜ」


 極と話していると、時間があっと言う間に過ぎてしまい、試合開始の時刻となる。

 アルカはフィールドへと向かった。

 フィールドの端に立つアルカ。

 その目線の先には、対戦相手である、パスタが立っている。


「遂にこの時が来たのね。楽しみにしていたわ」


 パスタがニヤリと嬉しそうな表情をアルカに向けた。


「こっちも期待の新人と戦えてラッキーだぜ……って」


 アルカはパスタのレベルを二度見した。


(70レベル……)


 この前まで初心者だったはずが、すっかりベテランプレイヤーのレベルとなっている。

 確かにこの手のゲームでpvpを極める為には、レベルをカンストさせるのが常識的だが、それにしても仕事が速い。

 余程このゲームにハマったという事が分かる。


「レベル高いな」

「頑張ったのよ? 仕事終わりとかにね」

(俺はまだレベル63だぞ)


 カンストはしていないが、アルカのステータスとスキルであれば、カンスト相手でも渡り合う事が可能だ。

 だが相手は短期間でレベルをカンストさせ、尚且つ実力が高いとされているプレイヤーだ。

 油断は禁物である。


「相当強いらしいな、パスタさん。この前俺が見た時の戦いも凄かったけど、更にパワーアップしてるとなると、最初から全力で行くしかないな」

「そうね、お互い全力で戦いましょう」


 電光掲示板のカウンタダウンが始まった。

 まるでボス戦前のような雰囲気である。

 カウントダウンが0となると、試合がスタートする。


(作戦通り行くぜ!!)


 アルカは、先程の休憩時間にとある作戦を立てていた。

 その作戦とは……?


(テイマーはモンスターを召喚するまでにラグがある! ならモンスターを召喚する前に倒すまでだ!)


 要するに相手に何もさせずに勝つという、見ている側からは何も面白くない事をアルカはやろうとしているのだ。

 だが、それは、多くの初心者が考える戦法であった。

 当然、戦闘慣れしたテイマーはその辺りを、プレイング等で上手くカバーする。


「うおおおおおおおおおおおおお!」


 試合開始直後、アルカは回転しながら、【爆炎】を連続で使用し、パスタに襲い掛かった。


「ぬあっ!?」


 アルカは勢い余って壁に激突してしまう。

 巨体が壁にめり込む。


「かわしただと!?」


 アルカはすぐさま、壁から脱出し、パスタの方へ向く。

 すると、既にサンドシャークが召喚された後であった。


「お、おのれ……!!」

「あら? あまりテイマーとは戦闘慣れしていないのかしら?」

「ギクッ!」


 図星であった。


「そうなのね? モンスターを召喚される前にテイマーを狙う……まるっきり初心者の戦法だもの……大体想像はつくわ」

「ちょっと勉強が足りなかっただけだ……!」


 アルカはパスタをニヤリとしながらドヤ顔で睨み付けた。


「威張る事じゃないわ」

「残念ながらこれが俺の特技でね……それに……」


 アルカは拳に力を込める。


「モンスターが召喚されようと、倒してしまえば関係ねぇ!」


 アルカはサンドシャークをぶん殴ろうとする。

 サンドシャークは、【モンスターガールズ】のサンドシャークを女の子化した外見をしている。

 それもあり、絵面はあまり宜しくない。

 だが、アルカの予想に反し、サンドシャークは拳を受け止めたのだ。


「何っ!?」


 そして、サンドシャークの体が光り出す。


「変身でもするのか!?」


 パスタがニヤリと笑った。

 そして、サンドシャークの体から発せられる光が限界まで強まる。

 やがて、サンドシャークは爆発した。


「ぐあああああああああああ!!」


 爆風によりアルカは吹き飛ばされる。

 ダメージにより、HPが約半分程削られた。


「な、何が起こったんだ……?」


 テイマーはモンスターにスキルを命令するのが主だが、テイマー自身もスキルを取得する。

 その中に【自爆】というスキルがある。

 テイムモンスターのHPを全て削り、相手に大ダメージを与えるスキルである。

 並のアバターであれば、そのまま倒されてもおかしくない威力を持つ。

 エンジョイ勢には人気のないスキルの1つだ。


「ふふ……読みが甘かったようね」

「モンスターが爆発した……これは一体……?」

「【テイマー】にはこういうスキルもあるのよ。ただモンスターに戦闘を任せるだけじゃないわ。最も、これはウォーミングアップに過ぎないわ」

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