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121.不死身

 ユニーク職業【不死身】を持つ神ゴッド。

 回復系のスキルであれば無限に使用できるチート性能を持つ。

 極と違い、【デッキリカバリー】を使用する必要もないので、ラグも無く連続で発動できる。

 先程のように食らった直後に回復といった芸当も可能だ。


「お゛い゛! どうしたぁ!?」


 だが、弱点はある。

 神ゴッド自身も言っていたが、攻撃面がまるで駄目だという点だ。

 単純な殴り合いでは、ほとんどの相手に負けるだろう。

 だが、アルカが有利かと言われれば、そうでもない。迂闊に近付いてはユニークスキル【ライフドレイン】でHPを吸われてしまうからだ。


(接近戦は危険だ。ともなれば、遠距離でのスキル連打か? だけど、それをしても結局は回復されてしまうだけか)


 神ゴッドを倒す方法をアルカは考える。


(いや……運営はどんな考えでこんな職業を作ったんだ? 真っ先に修正されるだろ)


 職業だけならまだ良かった。

 しかし、【ライフドレイン】とのコンボを許してしまうのはどうなのだろうか?


「お゛い゛! 怖いのか!!」


 アルカは、スキル【停滞音波】を発動させる。

 油断していた神ゴッドにヒットする。


「ぬあ゛っ!? う、動けないぞ! お゛い゛!! おめぇも強いスキルで勝ち上がってきたクチだろ? お゛い゛!! まぁそうだよなぁ゛!! このゲームに必要なのはプレイングじゃねぇって前何かの動画で私言ったがな゛! それを体現してるってのが、正におめぇって訳だな! お゛い゛!!」


 これで神ゴッドは10秒間の身動きが取れなくなった。

 アルカは【トルネード】と【爆炎】のコンボ攻撃を放つ。

 動けない神ゴッドはダメージをモロに食らっているが……。


「効かねぇな゛ぁ゛! 連続ヒールをしちまえば、どんな攻撃もカス何だよ! お゛い゛!!」


 確かにHPは削れている。

 だが、すぐに満タンまで回復されてしまう。

 そして、あっと言う間に10秒が経過した。


「い゛や゛ぁぁぁ!!! 動ける!!」


 神ゴッドが走って来る。


「ぇちょっぬヴぁ!!!! スキル発動!! ゴッドキィィィック!!」

「攻撃力はカスだって言ってたような……」


 アルカは、神ゴッドの飛び蹴りを受け止めようとしたが、吹っ飛ばされてしまう。


「くっ! どういう事だ?」

「今私はスキルを発動したのさ!! 【Heelアタック】!! 次の攻撃を相手の攻撃力を参照できる、攻撃力がカスな私に相応しいスキルだぞ! お゛い゛!!」

「そんなのアリかよ……」

「ア゛リ゛なんだよ!! ヴァカガ!! お゛い゛!! よーく聴け!! このゲームでプレイングを磨いてもぶっ壊れスキルの前じゃ、糞の役にも立たねぇって、これをみてよぉぉぉぉ゛っく分かっただろ!! お゛い゛!! 最強は! 神は! 絶対は! 私だ! お゛い゛!!」


 神ゴッドはアルカに走って来る。

 再び飛び蹴りをするつもりだ。


(チャンスは一度……試してみるか)


 向かって来た神ゴッドに対し、カウンターする形で【第一の瞳】を発動させる。

 アルカの腹部に鋼の爪のアームのような物が出現し、それが神ゴッドをがっしりと捕まえる。


「くっ! 何だこれは!!」

「ユニークスキル【第一の瞳】。プレイヤーを装備できる」

「装備だと!? くっ」


 神ゴッドはそのまま腹部へと収納された。


「成功だっ!」


 アルカは【トルネード】と【爆炎】を連続で放ち、炎の竜巻を大量に発生させ、そこに飛び込む。

 装備されている間、相手は何もできない。

 そして、装備されているプレイヤーに自分のダメージを肩代わりさせる事もできる。

 炎の竜巻の多段ヒットにより、神ゴッドのHPは0となった。


「ぐがっやあああああああ!?」


 試合が終了したので、神ゴッドはアルカの体内から粒子となり、フィールドへと舞い戻り、その粒子がアバターの形に戻る。


「くっそおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!! うんくそおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!! ま、負けた!! こ、この私が!! お゛い゛!! 今まで9回しか負けたことのないこの私が……私が!!」

「成功して良かった。正直、他に打つ手が無かったよ。対戦ありがとう」

「お゛い゛!! 私のリサーチ不足って訳か……お゛い゛!!」


 神ゴッドはアルカを睨み付けると、壁を蹴り、フィールドにガムを吐き捨て、どこかへ去っていった。


「それにしても……本当に強かった……」


 正直、完璧に相手がアルカのスキル情報が分かっていたのならば、アルカは負けていた可能性が高いだろう。


「強力スキルのぶつかり合い! 凄まじかった! 神ゴッド君は去ってしまったが、君も見事だった!」


 カノンがマイクで言うと、会場の皆は拍手で盛り上がった。



「アルさんやりましたね!」


 控室に行くと、ミーナと極が出迎えてくれた。


「店の方はいいのか?」

「少しの間、疾風さんに頼んでいます」

「そうか。それにしても……ミーナは神ゴッドを知っているのか?」

「いえ……知りません」


 どうやら本当に知らないようだ。


「ま、ミーナは有名人だからきっと何かの動画で見たんだろ」

「なるほど」


 ミーナは納得したようだ。


「アルカ殿連勝でござるな! 最後の相手はパスタ殿でござるな!」

「ここまで来たんだ。次も勝つぜ」

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