120.今までで一番の強敵かもしれない
勝敗は決した。
極のHPバーは0……アルカの勝利である。
「よしっ! 極に勝ったぜ!」
アルカはマッスルポーズをし、極にアピールする。
ギリギリの戦いだったいうこともあり、非常に嬉しそうな表情をしている。
「後少しだったのでござるがなぁ……それにしてもアルカ殿のスキルは、ユニークスキルが多い上にどのスキルも強いでござるな」
「それを言ったら極のスキル無限使用もやばいだろ。禁止か制限されるべきだ」
極も負けて悔しそうではあったが、同時に嬉しそうな表情もしている。
この勝負、お互いが非常に楽しんでいたのだ。
極が相手と言うこともあり、童心に帰り、アルカもテンション高く戦闘していた。
「むぅ……。ま、今回は負けでござる。後の2試合も頑張るでござるよ?」
「当然だ!」
アルカと極は握手をかわした。
「では……拙者の秘密暴露は後日させていただくでござる……。覚悟するでござる!!」
「ん? ああ! どんとこい!!」
どうせ大した事ないんだろうな。
とか、アルカは考えていた。
「ギリギリの戦い! 正に“ショー“! 素晴らしい! そして何より……2人とも、とても楽しそうで良かったぞ」
カノンはあんなに楽しそうにしているアルカは、はじめて見たので、少し驚いていた。
「次の試合も10分後だ。準備を頼む」
と、カノンがアルカに言うと、フィールドに1人のプレイヤーが飛び出して来た。
神ゴッドだ。
「お゛い゛! 次の試合は……私だああああああああああああああああああああ!! おめぇら、応援しろよな! お゛い゛!!」
観客の反応は。
「おい、あれ」
「神ゴッドだ……」
「マナー悪いんだよな」
「でもスキルは強い」
「声でっか」
あまり応援しようと考えているプレイヤーはいないようであった。
「へっへっへ……! お゛い゛! ア゛ル゛カ!! お゛い゛!」
「お、俺?」
神ゴッドはアルカの元へゆっくりと歩いてくる。
「今どんな気持ちだ? 怖いのか? お゛い゛!」
「えーと……良い勝負にしよう」
「へっ! へっへっへっへ!! へへへへへへ!! へーい!!」
「?」
神ゴッドは突然、両手を宙へ伸ばし、その場で回転し始める。
「善!! はい、善!!」
「えーと……」
神ゴッドはお辞儀をする。
「お゛い゛! おめぇ、中々善人だな! 私には劣るがなぁ!! お゛い゛!!」
「あ、ありがとう……?」
神ゴッドは、ガムをフィールドに吐き捨てると、アルカと距離を取る。
「10分と行かず、今すぐやらせろ!!」
神ゴッドはやる気満々のようだ。
「えーと……回復してからでいい?」
「今や゛る゛の゛おおおおおおおおおおおおおおおお!!」
と、その時、アルカのHPとMPが全回復した。
「アルさん!」
「ミーナ!」
ミーナがアイテムで完全回復させてくれた。
神ゴッドはミーナを見るとニヤリと笑う。
「こ☆れ☆は……!! ミーナだ!! お゛い゛!! 錬金術師!! 夢は叶ったか?」
「えーと……」
「あっ、そーだな。覚えてないか! お゛い゛!」
ミーナはアルカの後ろに隠れる。
「アルさん。この人何か怖いです」
(カノンちゃんは何でこんな奴呼んだんだ……? 絶対失敗だったろ)
アルカは、ミーナに店に戻るように言うと、戦闘態勢を取る。
「分かった。今からやろう」
「そう来なくちゃなぁ……!!」
電光掲示板のカウントが0になると、神ゴッドは叫ぶ。
「ぬほおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
「!?」
アルカはスキルかと身構えたが、違ったようだ。
「最初に言っておく。私の攻撃力はカスだ! すっげぇカスだ!」
(何だこれ……作戦か?)
今まで相手した事のないタイプという事もあり、1つ1つの言動が気になって仕方が無い。
「ノリ悪ィな! お゛い゛!! さっきの小娘との戦いはもっと激しかっただろうが!!」
「ちょっと様子を伺おうかと……」
「いい訳してんじゃねぇぞ!! お゛い゛! それともあれか? 愛しのあの娘には、ほの字ってかぁ!? かぁ~!! ラブラブのラブコメディかっつーの!! 腹いてーぜ!!」
「いや、このゲームって全員女の子アバターだから、極のリアルが女の子とは限らない気が……」
「男だったら、おめぇがホモって事で解決だろうが!!」
威勢は良いが、攻撃して来ないので、アルカは攻撃の体勢に入る。
【爆炎】を使用したので、火球が神ゴッドに向かっていき、油断していたという事もあり、クリーンヒットする。
「がああああああああああああああ!!」
「よしっ!」
神ゴッドにヒットした火球は爆発し、そのまま壁に叩き付けられる。
「いいね……やっぱ戦いはこうじゃねぇとな゛!!」
(どういう事だ……!?)
確かにスキルは直撃したはずだ。
その筈だが、HPゲージは満タンのままだ。
「あ、心配すんじゃねぇ!! 攻撃を受けた際にその分のダメージを回復させて貰っただけだからなぁ……!! そして、今の私は神の名に相応しい職業を得ている……何とユニーク職業に進化したんだぜぃ!? お゛い゛!!」
「ユニーク職業だと……!? だが、それとその回復力に何の関係が……」
「いいか! お゛しえてやる! 私の今の職業は【不死身】!! 回復系スキルをMPの消費を無しで使用でき、更には一発で倒されそうなダメージを受けた際にHPを1残すんだぁ!!」
「嘘だろ……!?」
だが、それは事実であった。
「これから始まるのは……絶望のショーだな!! お゛い゛!!」




