119.アルカvs極
「むほっ!?」
流星がアルカの背中に直撃する。
強力スキルをモロに食らい、地面をゴロゴロと転がった。
「手応え有でござるな!」
アルカのHPは半分以下となっていた。
耐久力申し分ないアルカのHPを一気にここまで削るとは、何と高火力なスキルなのだろうか。
「くっ! まさか背中を取られるとはな!」
アルカの火力はスキルを使わなくとも十分にある。
その為、素手で極を倒そうと考える。
「オラオラオラ!!」
極に向かって、左右の拳を振るう。
だが、極は刀でアルカの攻撃をガードしつつ、右手による打撃を繰り出して来る。
「ちょこまかと!!」
「誉め言葉として受け取っておくでござる!」
極は刀でジャストガードをしつつ、右アッパーをアルカに食らわせる。
顎にヒットし、アルカの顔は強引に天井を向けられる。
「食らえええええええええええええええええええええええ!」
アルカはバックステップをし、その後翼を広げ、空中へ浮遊する。
「フハハハハハハ! 空中へ逃げれば攻撃できないだろ! 食らえ! 広範囲凶悪コンボだ!!」
「なぬぅ!?」
アルカはスキル【トルネード】を発動し、その中に【爆炎】をぶち込む。
アルカが気に入っている破壊力抜群の炎の竜巻の完成だ。
「さらにもう3発!!」
同じコンボを連続で放つ。
極は逃げ回るのに必死だ。
アルカは飛行しながら、逃げ回る極を観察していた。
「一発でも……一発でもヒットし動きを止めた瞬間、連続スキル攻撃でそのままジ・エンドだぜ!」
アルカはニヤリとする。
「どーだ! モンガルでは一回でも勝てないが、このゲームだったら俺の方が強いって分かったか!」
「容赦ないでござるな……しかし!! それでこそ我がライバル!!」
そして、極は息を思い込み吸い込み、叫ぶ。
「スキル発動!! 勇敢なる魂!! 10秒間無敵状態になり! その後無敵状態中に食らうはずだったダメージを全て受ける!!」
「一気に勝負を決めるつもりか!! 無理だろ!! 俺のHPを削れる術があるのか?」
「今の状態から一撃でアルカ殿を倒せるスキルは【流星群】のみ! 職業【カードゲーマー】の都合上、24時間経たないと同じスキルは使えない……が! 拙者にはこのスキルがあるでござる!! 【デッキリカバリー】!! 使用したカード全てを使用前の状態に戻す!!」
「ちっ、それがあったか! だが、ここまで届くかな?」
アルカは極の攻撃が届かない所まで飛翔する。
「ぬおっ!」
炎の竜巻が極にヒットした。
それを見たアルカの口角は限界まで上がっていた。
(勝った!! 俺の勝ちだ!! 勝ち確定だ!!)
アルカは竜巻に巻き込まれている極を見て追撃しようと思ったが、やめた。
(勇敢なる魂は10秒続く。それまで攻撃される可能性がある……!! 後8秒……8秒後にMPを惜しまず使用し、攻撃してやる!!)
そして……。
「ゼロ!! うおおおおおおおおおお!! 爆炎!! 爆炎!! 爆炎!!」
アルカは連続でスキル【爆炎】を放った。
「ハハハハハ!! 俺の勝ちだ!!」
「すまぬな。またもや背中を取って」
「なにぃ!?」
アルカの背後に極がいた。
「どうやってこの高さまで……!!」
「炎の竜巻に巻き込まれたフリをし、観客席を利用し、ここまでジャンプしたでござる! ちなみに、勇敢なる魂は発動してないでござる。引っ掛かったでござるな!」
「こっ……このっ!!」
「流星群……!!」
アルカに再び流星群が襲い掛かる。
「何てな!!」
アルカはスキル【第二の瞳】を発動させる。
自らのHPを現段階から半分削り、攻撃系スキルを無効化する、ユニークスキルだ。
ちなみに無効化したスキルは1つのみストックできる。
「無効化した!?」
「どうだぁ!! 自らの技で沈めぇ!! 流星群!!」
落下する極に追撃する形で吸収した【流星群】を放った。
「爆炎! 爆炎! 爆炎!」
更に【爆炎】での追加攻撃だ。
「まだ負けてないでござるよ!!」
落下しながらも、極は眉に力を込め、笑った。
この瞬間、極は今度こそ本当に【勇敢なる魂】を発動させた。
これで10秒間は無敵となる。
(あれだけ食らってもHPが0にならない……勇敢なる魂とやらを発動させたか。ならば10秒が終わるまで再び空中へ逃げるまでだ!!)
「拙者も」
極は刀をアルカにぶん投げたが、それを楽々と片手でキャッチする。
「ん? そんなもの投げたって通用しないぞ?」
「拙者もパーティ対抗トーナメントの優勝チームの一員……」
「そうだな……ってしまった!?」
アルカだけではない。
極も優勝時にユニークスキルを受け取っていた。
「とっておきでござる!!」
極はユニークスキル【スワップ】を発動させた。
効果は、武器とその武器の持ち主の場所を入れ替えるスキルだ。
一見、そこまで強力そうではないスキルだが、このスキルには隠し効果がある。
「どういう事だ!?」
武器をプレイヤーが触れていた場合、そのプレイヤーごと場所を入れ替えてしまうのだ。
結果、アルカは地面に打ち付けられる。
「こっ、こんな事が!!」
極はアルカに向けて落ちながら、【デッキリカバリー】を使用し、そして【流星群】を使用する。
これを食らえばアルカは負けだが……。
「そろそろ10秒だな。これを食らえば俺が負けるか引き分けかって所か……俺の残りMPじゃスキルの無効化も難しいか……やるな! だが俺には拳とスキル以外にもあるんだよ!! 攻撃方法がな!!」
アルカは腰にある、【神斬剣】を抜く。
極もすっかり忘れていたようだ。
「ぐぬっ!?」
アルカは自らの武器をぶん投げる。
極は、無敵状態ではあり、ダメージこそ無いが、のけぞってしまう。
結果、【流星群】はアルカとは全く違う方向へと向かう。
そして、10秒間が過ぎた。
極のHPバーが物凄い速度で0となった。




