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118.闇の賭け

「素晴らしい! 素晴らしい戦いだった!」


 カノンはピョンピョンと跳ねながら言った。

 楽しい試合を見られ、さぞ満足という様子だ。


「皆の者! 拍手を!」


 カノンの合図で、観客が拍手をした。

 まだ初戦だが、皆楽しんでいるようだ。


「さて、アルカ君! 後10分後に第2試合が始まる。控室で休憩するといい」

「テンポ速いな。ま、VRだから肉体的な疲れはそんなに無いからいいけど」


 アルカはコロシアムの休憩室へ向かった。

 当たり前だが、1試合ごとに完全回復が可能だ。


「ややっ! アルカ殿! お邪魔するでござる」


 アルカの控室に極が来た。


「極か! いや~まさか極と戦う事になるとはな……」

「ふっ! いつかはこんな日が来ると思っていたでござる……」


 極は格好付けながらニヤリと笑った。


「ちなみに、次の試合が拙者との試合みたいでござる」

「そうなのか!? 俺の所には何も連絡無かったぞ!?」

「サプライズ的なアレでは?」

「そうか、サプライズ的なアレか」


 サプライズ的なアレという事でアルカは納得したようだ。


「でもいいのか? 事前にバラして。極の事メタりまくるかもしれないぜ?」

「対等な条件で戦いたいでござるからな! それに……今回の拙者は一味違うでござるよ?」

「何が違うんだよ」

「武器とかレベルとか」

「だろうな」


 至って普通な回答であった。


「とにかく……いい試合にしようぜ」

「そうでござるな! ……あっ!」


 極は何かを思い付いたかのように、表情を明るくする。


「賭けをしないでござるか……?」

「か、賭け……? 何を企んでいるんだ!?」

「ふっふっふ! 負けた方はこのゲーム内でお菓子とか飲み物とかを奢ったり……とにかく色々と闇の賭けでござる!」

「何て恐ろしいんだ……!!」


 極が悪そうに笑い、アルカもそれに乗っかる形でゴクリと唾を飲み込んだ。


「さぁ! 何を賭けるでござるか!! お金でござるか~? それとも……さっき言った通り、お菓子でござるか~?」

「何でもいいぜ! 俺にできる事ならな!」

「良いんでござるか? そんな余裕そうにして」

「ああ、お前には不思議と負ける気がしねぇ!」


 決して極を侮っている訳では無い。

 いつもいつも一緒にチャットをしたり、ゲームをしたりしているので、極の癖は分かっている。

 極をよく理解している自分が負ける訳はないという自信であった。


「ならば! もし拙者が勝った場合、アルカ殿に秘密を1つ暴露させてもらうでござる! 後今度第6層にできるケーキ屋でケーキを奢って貰うでござる!」

「ケーキか。まぁいいけど。というか、秘密を暴露させてもらうって……普通そういうのは俺が勝った時に秘密を聞くとかじゃないのか?」

「あーまぁ、そうでござるがー……ちょっとそろそろバラしたくなったというか……孤独感? みたいなものも感じて来てるでござから……いいよね?」

「というか別に賭けなくてもお悩み相談ならいつでもウェルカムだぜ?」

「ふっ、そうでござるか……では、勝敗に限らず秘密を暴露させてもらうでござる!」


 結果、“アルカが負けたらケーキを極に奢る”

 という賭けの内容のみに変わった。

 ちなみにアルカが勝った場合は、特に望む物も無かったので。


「じゃあ、俺が勝ったら……今は特に思いつかないからツケで」

「あー、何かズルいでござる」

「俺はズルいんだ!」


 謎に自信満々に言い放ったアルカであった。

 正直、ぶっちゃけ勝ってもして欲しい事も無かったので、無条件でも良かった。

だが、それでは極の楽しみを1つ取ってしまうようで悪いと思ったので、咄嗟とっさにこう答えたのであった。


『えー、控室にいる2人。コロシアムにご登場願おうか』


 控室にカノンの声が鳴り響いた。

 戦闘時間のお知らせだ。


「さて、行くか!」


 2人はフィールドに向かうのであった。



「次の対戦カードは……アルカ君と! 同じクランの極君だ!! 何と2人は同時にプレイを始めたにもかかわらず、対戦した事がないらしい! さぁ! どっちが勝つ……!? それは私にも分からない!!」


 司会のカノンがテンション高く言うと、会場も盛り上がった。

 電光掲示板のカウントダウンが0となると、試合が開始される。


「はぁ!」


 極が腰の刀、【流星刀】を抜く。そして、走る。

 アルカの拳が極に襲い掛かるが、それを刀でガードした。

 そして、そのままアルカの顔をぶん殴る。


「やるな!!」


 アルカは刀のダメージと顔パンチのダメージを食らってしまった。

 極の職業が【剣士】であれば、もっとダメージを食らっていただろう。


 互いがバックステップで距離を取る。


「だが、一発だけじゃ、大したダメージは与えられないぜ?」

「勘違いしてもらっては困るでござるよ? 今のは、ほんのジャブ! 拙者の職業それはカードゲーマー! まだ本領は発揮してないでござるよ!」


 MPを消費せずに、カードを使用することでスキルを発動できるユニーク職業【カードゲーマー】。

 極の言う通り、今のはただのジャブだ。


「そうか! なら俺は一気に行くぜ!」


 アルカはスキル【停滞音波ムーブキャンセラー】を発動させる。


「おっ! スキルでござるか!?」

「無言発動したのにバレた!?」


 翼を広げた時点でバレたようだ。

 極は背後にまわり、大ジャンプし、刀を振り下ろす動作をする。


「流星群!!」


 極お得意のスキル【流星群】がアルカの無防備な背中に襲い掛かる。

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