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111.エクスカリバーx2

 秋のダンジョンを進むアルカ。

 綺麗な景色とは裏腹に狂暴そうなモンスターが生息している。

 経験値も美味しいが、単純なレベル上げ作業にアルカは疲れてきた。


「1人でやると、レベル上げってのも結構大変なんだな」


 アルカの場合、GWOのレベル上げは基本的に複数人で行ってきた。

 その為、こうして地道にレベル上げをするのは苦手なようだ。

 モンガルのレベル上げは、動画を見ながら行ったりできるが、VRゲームの場合はそれができない。

 すなわち、これは自分との戦いなのだ。


「あれは……」


 進んでいくと、金色の装備に身を包んだプレイヤーが居た。


「コノミちゃん!」

「これはこれは師匠。お久しぶりです」


 二刀流を使う、クラン【To_Soul】に所属するトップクラスのプレイヤー。

 あまりのプレイングに勇者の異名を持つ……のだが、最近は色々規格外のプレイヤーが多いので、割と負ける事もある。


「(師匠……?)コノミちゃんもレベル上げか? 俺もそうなんだけど、飽きかけてちゃってさ」

「はは! 流石ですね。モンスターじゃ満足できないという訳ですね。ですがすみません。僕も今日はPvPを行う予定がありませんので、期待にはお答えできません」

「あ、いや、そういう訳じゃないんだけど。コノミちゃんこそレベル上げ飽きない?」


 コノミが右手の平をアルカに向ける。


「僕はコノミ“ちゃん”ではありません。これからはコノミ“くん”でお願いします」

「?」

「僕は性別を隠すつもりはありませんので。それに……最近は女の子に囲まれてますからねっ! これからはギャルゲ主人公を目指そうと思いまして」


 コノミは「フッ」と笑う。


「あ、ああ。改めて宜しくな。コノミくん」


 コノミのクランは、リアルも女の子のプレイヤーが多い。

 多いというよりも、性別の無いロボットである【モノ】以外は実は全員リアル女の子である。(とは言っても、モノも女の子ベースのロボットではあるが)

 特に性別を隠している素振りも無かったようで、得られた情報を繋ぎ合わせた結果、コノミは女の子に囲まれている事に気が付いたらしい。


「ま、師匠には負けますけどね」

「……あの、その“師匠”っていうのは?」

「アルカさんの事ですが」

「なぜ……? 何か凄い事でもしたか? あっ、パーティ対抗トーナメントで優勝したからか?」

「違います。人気Vtuberになる前のミーナさんとチームを組んでいた点が、先見の明があると感じましてね」

「いや、別にただ回復要因が欲しかっただけで……」

「いえ、運も実力の内です。僕も幸運でこれを手に入れましたからね」


 コノミはアルカに背を向け、親指で背中にクロスで刺さっている2本の黄金の剣を指差す。

 全く同じ色、形状の剣だ。


「新しい武器か? 前より高級感が増したような……」

「そうなんです! これぞエクスカリバー!! エクスカリバー!! そう! エクスカリバー!!」


 コノミはドヤ顔で自慢するが、アルカには何となく凄いという事しか分からなかった。

 だが、エクスカリバーといえば、聞いた事のある人が多いであろう聖剣である。

 GWOでも激レア、そしてトップクラスの性能を持った武器となっている。


「驚かないんですか?」

「いや、凄い武器ってのは何となく分かるんだが、どれぐらい凄いのか……」

「良くぞきいてくれました。このエクスカリバー……何とこのゲームに2本しか存在ません」


 エクスカリバーを実装した運営としては、本来1本しか存在しないユニーク武器にする予定であった。

 入手条件は厳しく、パーティ対抗トーナメントの数日後に行われた職業【剣士】のみが出場できる大会で優勝する事が条件であった。ルールはスキル、アイテム使用不可の剣士としての実力を最大限に生かす大会であった。

 コノミはこれに優勝し、エクスカリバーを手にした。

しかし、皆が憧れるエクスカリバー……それを1人の手に渡していいのか? 強弱関係なく、全剣士にチャンスがあっても良いのではないだろうか? 

 そう考えた運営は、期間限定ガチャに、後1本だけ実装したのだ。

 だったのだが、運命と言うべきか何と言うべきか、もう1本のエクスカリバーもコノミの手に渡ってしまったのだ。

 事実上のユニーク武器化としてしまった。


「という訳なんですよ」

「凄い幸運だな。あっ、そうだ。俺も自慢しちゃおうかな。さっき見つけた槍のユニーク武器だ」


 アルカは武器一覧から、先程入手した槍を見せる。

 実体化させる事はできるが、装備していないので、ただの棒切れと同じ性能しか発揮できない。


「凄いですけど……これ【物理アタッカー】しか装備できないって書いてありますね。師匠って確か……」

「職業は【無職】だ。目標はユニーク職業になる事だ」

「だったらこの際【物理アタッカー】になってしまうというのは? それかなり性能良いですよ?」

「俺の体のサイズに合わないしなぁ……」

「内臓スキルが使えますよ!」


 その槍の名は、その名も【クロノスピア】。

 時間停止のようなスキルを内蔵しており、とても強力である。


「いや、ここまで来てユニーク職業以外になるのは勿体無いような……」

「そうですか……。まっ、ユニークスキルを使いまくる師匠には必要無いのかもしれませんけどね。流石です」

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