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11:ヴァーチャル配信者

『レベルアップ! レベルが5に上がりました』


 アルカの脳内に声が響く。

 どうやらレベルアップしたようだ。敵が強かったのもあり、一気に4レベルも上昇した。

 アルカは、装備しているキメラを解除する。


「おっ! レベルが上がったみたいだ」

「私も上がりました。それにしても装備されるとあんな感じなんですね」


 キメラもレベルが上がったようだ。

 装備されていても経験値が入ったようで、何よりである。


「初レベルアップおめでとうございます!」


 キメラは、初のレベルアップをしたアルカに対し、拍手を交えて祝福する。


「ありがとう! 何々……新スキルを獲得しましたってウインドウが出てるぞ」

「新スキルですか。私も初のレベルアップの時、新しいスキルを手に入れて喜びましたね。ちなみにどんなスキル何ですか?」


 アルカは、メニューから新たに獲得したスキルを見せる。


「えーと……何々? 【超音波】……?」


超音波(ちょうおんぱ)】:

当たると相手の動作をランダムにしてしまう音波を発射する。


「それを手に入れるとは、中々ですね」

「そんな良いスキルなのか?」

「かなり嫌がらせに向いているスキルですね。相手の行動を一定時間無茶苦茶にしてしまいますからね」


 いきなり強スキルを手に入れたアルカの幸先は良さそうだ。


「ただ……」

「ただ?」

「そこそこ有名なスキルなので、このゲームに慣れているプレイヤーには、対策している場合が多いですね」

「そうなのか……!」

「【超音波】に限らず、強いスキルっていうのはそんなものですよ。ですが、心配は要りません。アルカさんにはユニークスキルがあるじゃないですか」

「【第一の瞳】か」

「はい」

「確かにあのスキルは強力だ。使用している俺でもそう思う。ただ、このスキルも大勢に知られている可能性が高いな」

「他のプレイヤーに使ったんですか?」

「ああ、友達に聞いたんだけど結構有名な配信者らしい。何か姉とか妹とか言ってたから姉妹なのかな? 青い髪の剣を持ったツインテールの女の子と、赤いポニーテールの……」


 アルカが言葉を言い終える前に、キメラが言う。


「もしかして、エレメンタル☆シスターズですか!? ヴァーチャル配信者の!?」

「うおっ!? 何でそんなに驚いてるんだ!? そんなに叫ばれると俺の鼓膜が破れるぞ」


 先程まで冷静なキメラが突然叫んだので、アルカは驚いて、思わず耳の穴をふさいだ。


「す、すみません。というか知らないんですか?」

「あまり詳しくないな……キメラちゃんは詳しいのか?」

「そこまで詳しいと言う訳ではありませんが、知っています。有名なので」

「そもそも……ヴァーチャル配信者って何だ? 聞いた事はあるけど詳しく無いんだよな」

「えーと……非常に失礼ですが、アルカさんって実は最近の流行りとかに乏しいんですか?」

「そうだな。10年くらい前の事なら詳しいんだけどな」

「そうですか、分かりました! では、教えましょう!」


 キメラは、メニューから【自由帳】を選択する。すると空中に黒板のようなディスプレイが現れる。そこに指でイラストを描き、それを交えながら説明をする。雰囲気を出す為に、眼鏡と白衣もわざわざ装備している。


「頼むぜ! キメラ先生!」


「はい。まず、ヴァーチャル配信者とは、動画サイトで動画投稿やライブ配信を行う方達なのですが、普通の配信者とは少し違い、現実の姿を見せません。アニメのようなキャラクターを用意し、そのキャラクターを肉体とし、ライブ配信などを行います。ヴァーチャル配信者だと長いので、略してヴァーシャと呼ばれてますね。そして、その中でもアイドル的な人気を持ったヴァーシャが居ます」


「それがそのエレメンタルシスターズってプレイヤー何だな!」


「プレイヤーと言うかグループですね。姉妹設定で活動をしています。おそらくアルカさんが交戦したのは、長女であるフレイムさんと次女のミサキさんですね。ミサキさんはともかく、フレイムさんに勝つのは凄いですね」


「ん? ミサキって弱いのか?」


「エレメンタルシスターズ、略してエレシスは、このゲームを始めて一か月程ですが、姉妹4人共、能力値的には弱くありません。ただミサキさんは何というかドジっ子キャラ何です。視聴している方もそれを望んでいるので大抵の勝負はほとんど負けています。わざと負けているんじゃないかと思われる戦闘もありましたね」


「そうなのか、でもそれって楽しいのか?」


「本人じゃないので何とも……というかアルカさん。彼女に【第一の瞳】を使用したという事は結構アレな絵面になっていそうですね。これはファンも黙っていないでしょうね……」


「ただ戦っただけ何だけどな」


「でもアルカさんのファンも出来そうですね」


「美少女だらけの中、この見た目でか?」


「希少ですし、何より強いですからね!」


「そっか! 何か嬉しいな」


 その時、キメラの頭上に時計のアイコンが現れ、ピピっとアラームが鳴る。


「そろそろ時間です。私はそろそろログアウトします。また一緒にやりましょうね!」


「ああ! またやろうな!」


 こうして、アルカはまた1人、仲間を増やしたのであった。

 そして、今この時も、掲示板ではアルカに関してのスレが立ち、プレイヤー達が様々な事を書き込んでいたのであった。

次回は掲示板回の予定です。

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