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109.秋のダンジョンでピラニアに食われそうになる

 誤字、脱字のご報告ありがとうございます。

 恥ずかしい限りです。

 と言う訳で、レベル上げ、そして第6層の攻略を行う事となった。

 平日が仕事で忙しい。そして、今週の土曜日は仕事が入っているので、レベル上げに専念出来るのは今日が最後という事となる。


「まさか俺1人で攻略する事になろうとは……」


 本来であれば、同じクランのメンバーに手伝ってもらいたかったのだが。


「スケジュールが詰まっていてね」

「わ、私もです」

「私も!」


 カノン、キメラ、ミーナは何やら予定事があるらしく、結果的に暇なのはアルカだけとなってしまった様子だ。


「第6層は今までより、フィールドがかなり広いらしいからな。今日中に攻略は難しそうだから、とりあえずレベル上げに専念するか」


 現在のレベル上限はアプデにより、70となっている。

 基本的に上位プレイヤー同士の戦闘は、レベルを上限まで上げる事が基本となっているので、ガチ初心者なパスタはともかく、極は上限まで上げて来る事だろう。

 ちなみに、今のアルカのレベルは何だかんだあって、【48】である。


「今日中にレベルマックスはキツイな……」


 ミーナから貰った経験値が多く貰えるアイテムを使用しても、今日中に70まで上げるのは厳しいと考えた。


「よし、60を目標にしよう。うん」


 第6層のダンジョンは季節がモチーフとなっている。

 春、夏、秋、冬の順番だ。

 どのダンジョンから潜っても構わないが、春から順に敵が強くなっていくので、春から攻略するのがお勧めだ。



「秋だな」


 アルカは秋のダンジョンに入る事に決めたようだ。

 攻略情報を調べても無かったので、仕方が無い。


「綺麗だな~」


 秋のダンジョンと言う事もあり、落ち葉や木々が紅葉している。

 敵が居なければ、ここでゆっくりしていたい所だが。


「おっと、敵がわいて来たぜ!」


 紅葉したスライムが10匹くらい現れた。

 一見するとスライムの色違いだが、レベルは60と高い。

 アルカがスライムを殴ると、スライムのHPバーが8分の1程減った。

 スライム相手であればスキルを使用しなくとも何とかなりそうであった。


「スライム相手なら、レベル差は何とか埋められそうだな」


 だが、じわじわとアルカのHPも削られていっているので、油断は禁物だ。


「オラオラァ!」


 スライムを次々と撃破していく。

 湧きが止まった所で、アルカは「ふぅ」と息を吐く。


「第1層のスライムとは比べ物にならないな……。というか、また出てきた。あっ、そういえばまだ“あれ”を試していなかったな」


 “あれ”というのは、ユニークスキルの事である。

 そう、パーティ対抗トーナメントの優勝賞品として、チームメンバー全員が新ユニークスキルを得たのだ。


「“停滞音波ムーブキャンセラー”」


 アルカが相手に翼を羽ばたかせると、楽器達が雑に演奏したかのような不協和音がスライムにヒットする。

 HPゲージが減った様子は無い。


「このスキルは、相手に風と共に音を送り、それにヒットした相手は10秒間動けなくなる! 終わりだ! メタルウイング!」


 【メタルウイング】を使用し、鋼の翼でスライムを切り裂いた。


「我ながら凶悪なコンボだぜ。だが、弱点もある」


 どんな強力なスキルにも弱点は存在する。

 【停滞音波ムーブキャンセラー】にもそれは存在する。

 その弱点とは、スキルを発動してしまうとヒットしなかった場合、強制的に5秒間は翼をバサバサさせ、自らが動けない状態となってしまう事だ。

 ヒットすればすぐにバサバサを辞める事が出来る。

 10秒間動きを封じるのはかなり強力だが、ヒットしなければ5秒間、逆に動きを拘束されてしまう何とも言えないバランスを持ったスキルだ。


「これはいざって時に使う方が良いな。俺にとっても致命傷になりかねん」


 アルカは考えながら、ダンジョンを進んでいく。

 進む途中、他のプレイヤーもそこそこ多く見かけたが、知り合いはいなかった。

 ちなみにアルカは知名度が高くなった事もあり、モンスターと間違えて襲い掛かって来るプレイヤーも3人くらいしかいなかった。


「うわっ! 行き止まりか」


 考えながら歩いていたら、行き止まりのエリアに来てしまった。

 目の前には小さな池がある。

 モンスターも何もいない。


「う~ん、確かこういうのって」


 アルカは腕を組み、考える。


「こういうエリアって……何かしらの意味があるよな」


 アルカはゲームをよくプレイしていた時代のカンを取り戻しつつあった。


「RPGとかだと、この池で釣りをしたり、他にはアイテムを投げ込んだりするとイベントが発生するんだよな。釣り竿は無いから……尻尾で」


 アルカは自らの尻尾を池に垂らした。


「ん? 何だ?」


 尻尾に妙な感覚があった。


「いてててて! ってHP減ってる!?」


 後ろを見てみると、狂暴なピラニアのようなモンスターがアルカの尻尾に噛みついていた。


「って多い!! 多いよ!!」


 ピラニアモンスターの群れがアルカの尻尾に群がる。

 そして、そのまま引っ張られ……池にドボンしてしまう。


「うわああああああああああ!!」


 食われて終わりか。

 そう考えていた。


「おめでとうございます!!」

「へ?」

「貴方はとても幸運です。ここに落ちたのは貴方で100人目です。ご褒美にユニーク武器をプレゼントしましょう」


 池の中で女性の声がアルカの脳内に響いた。


「では、引き続きお楽しみください」


 気が付くと、アルカは池の前に居た。


「助かったのか……? というか今の声は……?」


 アルカはメニュー画面から武器の画面を開く。


「……ユニーク武器、確かこれ8月中にエリアのどこかに隠されているっていうあれだよな」


 ユニーク武器の種類は【槍】であった。

 スキル内臓の強力な槍であったが……。


「俺のサイズには合わないばかりか、職業“物理アタッカー”しか装備出来ないのか……えっ、これを俺にどうしろと……?」


 売却も不可なようで、誰かにあげるか、飾るしか使い道が残されていない。

 おまけに、アルカの知り合いに職業【物理アタッカー】はいない。


「飾るか」


 アルカはそっと、メニュー画面を閉じた。

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