3#転校生
ガラガラッ―
塚本先生が、教室に入ってきて、
1番前の席に座っていた男子を指名し、号令をさせた。
「起立 礼ー」
『おはよーございまーす』
と、クラスに声が響き、再び ガタガタッと席に着いた。
「はい、おはよー。」
塚本先生は、40代ぐらいの男の先生。
ユーモアがあってなかなか面白い人だ。
「えーと、1年間よろしくお願いします。
まずですねー、転校生がうちのクラスに来ますんで、紹介を」
そう言って、先生は外へでた。
そのとたん、みんながしゃべりだした。
「かっこいいかなぁーー」
と、杏奈も例外ではなく、後ろの席の優里の方に振り返った。
「何? 加藤、いきなり転校生狙うわけ?」 と、隣から直生。
・・・直生に誤解されても知らないぞ・・・。
「はい静かにー。」
先生が、帰ってきた。
たぶん、職員室から転校生を連れて来たのだろう。
「はい、じゃぁ入ってきてもらおう。」
皆、息を止めて、ドアの方へ神経を集中させている。
ガラッ
沈黙の中入ってきた、転校生。
彼の横顔は、
皆がかっこいいと騒ぐのも納得するほど、
整った顔だった。
「ねえ、優里…」
「ん?」
優里に問いかけながらも、杏奈の目は転校生を見つめていた。
「一目ぼれって.....信じる?」
「は?」
先生は、自己紹介を というふうに、促した。
「宮本 凌っていいます。 よろしくお願いしまーす。」
「じゃぁ、席は、沖野の後ろ。あそこの空いてるところ。」
「...はい」
教壇のところから、優里たちの方の席へと歩いてくる。
「やばい、やばい、近いじゃん!!」
と嬉しそうな杏奈の横を、転校生が通り過ぎた時、
優里は、ふと転校生の顔を見上げた。
同じく彼も、優里の方を見ていた。
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席順が、わかりにくいと思うので....。
杏奈 誰か
優里 直生
空席 転校生
の席順です。