第一章 この故に我々は戦う①
最初はスロースタートで始めて行く予定です。
約百年前よりこの世界は現界霊と呼ばれる怪物との戦いに突入した。現界霊とは何なのか、それは未だに分かっていない。しかし確実に分かっていることが一つだけある。それは現界霊が全ての生命に対して敵対的な行動をとっているという事である。現界霊は人や妖怪の集落を脅かし、殺戮した。人々は奴らに怯え、恐怖し、そして長い時間と多数の犠牲の上に奴らから町を守る『力』を作り上げた。
それが自警組織、『徒桜隊』である。
そこに所属する徒桜隊士たちを人々は『志士』と呼び、攻め寄せる現界霊の大軍相手に抵抗を続けていた……。
レンは徒桜隊で志士となるべく訓練していた。しかし別に商業都市『赤金』を守りたいと思ったことはないし、志士に憧れているわけではない。徒桜隊に忠誠を誓えば教育が受けられ、食い物に困ることはない。出るも入るも自由であることも判断材料としては最高だった。だから彼は生きるために徒桜隊で訓練を受けていた。
だがそんな彼の素行ははっきり言って、不良と言わざるを得なかった……。
元々意識が低いこともあるが、それに才能のなさも加わって不良ぶりに拍車をかけることになっていた。そのせいもありレンは徒桜隊が運営する訓練所で完全に孤立していた。
レンは部屋の隅でじっとうずくまっていた。こんな生活が後三年近く続くのかと思うとぞっとした。しかし自分のような子供が安定して食べていくにはこのような場所にいるしかない。だからレンはグッと日々の屈辱を我慢していた。
……だが、そんな我慢の日々は突然話しかけてきたホヅキのある一言で終わりを告げることになった。
「レン」
「……なんだよ。お前には関係ない」
「なぁ、今日は何で座学に来なかったんだ? お腹でも、壊したのか?」
ホヅキは心底心配そうに彼に話しかけた。それがレンには気に食わなかった。彼は本気で自分を心配しているのだ。他の生徒たちはとっくにレンのことなど気にもかけていないのに。その姿がいかにも優等生と言った姿で癪に障った。
しかし、我慢できる。はいはいと答えていればすぐに終わる。レンはそう思って意にも解さなかった。
が、次に彼が放った言葉が決定的にレンの腹わたを煮えくり返らせた。
「……レン、ここはお前に合ってないよ」
「それは知って——」
「——だってお前、半妖だろ?」
ビキッ、ッと額から音が鳴った気がした。絶対に言われたくないことを、絶対に行ってほしくない奴が言ってしまった。レンは気が付けばホヅキの顔面を殴っていた。そのことに気が付いたのはホヅキが驚いた様子でレンの表情を見ていた時だった。
(や、やってしまった……)
数々の問題を抱えたレンは次に大きな問題を起こせばもう訓練所にはいられないと言われていた。しかし、それでも、レンは我慢できずに大声で叫んでいた。
「お前に、俺の何が分かる!? 生まれた時から人だったお前なんかに、俺の気持ちが分かってたまるか!」
「す、すまないレン! でもお前にはもっと適切な場所が——」
「黙れ! 黙れ黙れ! お前なんかには、絶対に分からないんだよ!」
大部屋にいる訓練所の生徒たちが一斉にこちらに集まってくる。
……これで、自分の運命は終わったとレンは静かに落胆した。
後日、レンは訓練所の所長の下に呼び出された。
そしてレンはそこで自分の罪状を読み上げられた。そして所長は深くため息をつくと、冷たく突き刺すような視線をレンに向けた。そして首を切り落とすような鋭さで短く言い放った。
「出て行きなさい。今度という今度は、看過できない。君のような素行不良者はここに要らない」
それだけ告げると男性はレンに部屋から持ってきたであろう私物を投げつけてきた。レンはそれが床にぶちまけられるのを、黙って見つめていた。
自分が最初から物語を盛り上げるの苦手なこと最近気が付きました。
後鬼滅面白いですよね。この物語に関係ありませんが。……多分。