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ロスト  作者: 輪廻 終
9/14

波動。

『あ、やっぱりこれ吸います〜』



『なん、つって』


「なんですか?」


ぐっ…


『もしかして、忙しい?』


「友達くる。友達ってか彼氏。」


ピョ…

湘南ってみんな愛想良いわけちゃうんや。

唯があんなんやからもっとフランクや思ってた…。


『歌舞伎町からこっちに引っ越してきた終っていうねんけどお名前聞いて良い?』


「ヒロカです。お兄さん何歳?」


『18やで〜、ヒロカちゃんね、続いて電話番号は?』


「タメか。あんま電話しない、何話すの?」


『なんでも良いよ、困ってることとか、暇つぶしとか。』


んー、なんやろ…

とりあえず何でも良いから話を続けよ。


『…やねん!だははははっ』


「ふーん、まいーか、090…」


番号は聞いたけど。

なんか、歌舞伎とはテンポがちゃうなー…

話しにくいしペースが掴めん。

それもそのはず。


ゾロゾロ…(5〜6人の団体様)


先頭の方「ヒロカー、行くぞー」



ピョー!!


ヤーさん!?


パンチパーマにセカンドバッグ!!

大きいお犬様のプリントスウェット!!


これ、彼氏?

彼氏って、これ?


ヒロカ「またね、終くん」


『ほ、ほいまたな〜』


マズイぞ、顔見られただけならまだしも名前まで言ってしまった(源氏名=本名)

しかも白のマオカラーにスニーカースタイル。

イギリス紳士ベッカムもびっくりの謎コーデ。


明らかに今まで会った女の子とは違う空気…

明らかに今まで会った男子とは違うヘアスタイルの方々。


そそくさと逆方向の階段を降りる。


落ち着くためにせぶんすたーを嗜む。


「終じゃん、早いなお前!」


『唯っ、良かったわ〜』


「なにが?あははは、ちょうどいいからちょっとスカウトしてから新店行こーよ」


『うっす』


唯がきた安心感からか、俄然やる気が出る。

1人じゃなにもできないな、自分。

情けない、が、今はスカウト!!

バックもつくらしいからやったるで。


『こんばんは〜、歌舞伎町から平塚に新店舗出すGグループの終っていいますー。ホストやろホスト!稼げるよー』


さっきのインタビュー時よりも早く、円滑に情報を発信。

声を掛けたのは100人以上か。

とにかく片っ端から!!


で、20人ほどかな、電話番号聞けたの。

イケメン率高っ!!


その中で即日面接が3名、度胸あるな。


「終さ、幹部候補なんだから面接やってみなよ、研修もね」


唯、お前めんどくさいだけやろ…


「あと、プレオープン始まったらみんなの前では俺のこと代表って呼ぶよーに!」


そっか、唯あれやん。

代表取締役やん。


今考えるとホストで取締役って何やねん、やけどこの時は唯のシンプルな名刺がやたらキラキラして見えたなー。


『了解』



唯が、あさりさんが、俺にしてくれたように見よう見まねで行った面接。

案外うまくいくもんやなー。


研修も、基本的にはご来店から着席、お酒作りとライターの付け方。

これに爆弾等の説明を一通り教えて無事終了!


これにて、愛馬 終監修による湘南生まれ湘南育ちの湘南ホストがここに降臨!


源氏名は相談し合って決めるのがGグループ。


しゅん19歳イケメン、氷川きよし◯似

流川るか19歳イケメンではない、瞬の親友、よく喋る

雅矢まさや23歳かわいい系、酒豪


と、なんともまぁバランスの取れた第1期生が入店決定したのである。


歌舞伎町のはずれで買った、新人用の、細身のレンタルスーツを着た3人。

さまになってるやん!

流川以外バッチリやん!!(心の声)


『流川以外バッチリやん!』(ニッコリ)


流川「なんでですか!!俺が1番バッチリっすよ!なんすか!顔すか!!」


『流川いいやん、売れるで』


あっぶね、笑顔をキープしつつ心の声を漏らしてもうた。

なんとかフォローできたな。

実際このくらい瞬時に返せれば大丈夫やろ。(上から目線だがこの時点でホスト歴はほとんど一緒である)


店は、グレートに比べるとやはり全体的に小さく豪華さはないが清潔感のあるきれいな箱。


ここで発表、新店の名前は


Growグロウ


看板に書いてあった。

飲み屋街のビル2F。


3月10日のプレオープンまでにすること。

1、新人3人と俺の名刺作り

2、浅草方面、河童橋でグラス等の足りない小物を買いに行く

3、引き続きスカウト、キャッチ


それ以外は唯とバーテンの遊くんが済ませてくれている。


顔合わせ、最終チェックが9日。

これなら大丈夫や。

新人3人を連れて街に出る。

早速スカウトとキャッチだ。


唯と遊くんが線路奥側。

俺と新人は手前側。


『うし、瞬、流川、あの子らいってみ』


流川「ヘイヘイ!ヘイヘイ!カモン!来い!こっち来い!引力!」


あはは、無理無理、発想はええけど無理やって。


「なになにー?ホストー?平塚ー?」


!?


なぁにぃぃぃぃぃいい!?


瞬!!

流川の後ろで保護者のような目で微笑んでいる瞬の引力ぅぅぅぅ!!


左右の手はポケットに入れたまま一瞬で2人組ゲットだとぉぉお!?


瞬「瞬です」

流川「俺は流川!」


女の子「私はエリ、でこっちがユッコだよー、よろしくね瞬くん!」


流川、今夜ご飯奢ってやる。

瞬、お前は自腹な。


何にせよ、初キャッチで2人を仕留めた!

唯に電話を入れる。


『もしもし唯、瞬が、あ、瞬と流川が2人引いたんだけどどうする?』


唯「あー、人少なくていいならやっちゃおっか、特別に一部営業。ははははっ」


ちなみに初回で来店の場合、うちの店にでは3000円。


『え、じゃあ店行っちゃうよ?』


唯「うん、他ももう寮から出てくる頃だから10人くらいにはなるんじゃない?遊くんに鍵渡したから一緒に入ってやっちゃって〜」


で、そのままお店に連行。


エリは19歳で平塚育ち。

ユッコも19歳で茅ヶ崎の子。


『お客様ご来店でーす!!』


「いらっしゃいませー!!」


マナト、寮なのか、さすが声出てるな!

キャラが流川とかぶるけど頑張れよ!


瞬「こちらへどうぞ、ご一緒してもよろしいでしょうか?」

流川「流川もよろしいでしょうか?」


自分で自分呼んじゃったよ。

女子かよ。


エリ「どーぞー、ユッコ初めてだから優しくしてね」


瞬、流川「りょーかいっ」


熱々のおしぼりを流川に渡す。


『いらっしゃいませ、ごゆっくりどうぞ』


エリ「あ、キンパ!さっき駅いたでしょ?ヒロチンと喋ってた!ね、見たもんね、ユッコ?」


ユッコ「うん」


ヒロチン?ヒロカちゃんか。

案外狭いな、平塚よ。


『見られちゃったかー、ヒロカちゃん友達なん?』


ユッコ「友達ってか、有名?って感じかな」


『へーそうなんや、詳しくはまたあとで、ごゆっくりー』


あんまり気にせんかったけど、ヒロカちゃんなー。

有名人なんや。

確かにかわいい子やったな。


ギィィィバタン。


誰か出勤やな。


K.!A.!N.!E.!K.!O.!!



金子さんやおまへんか!!

なんで金子がここに!!


「終くんまたナンパうまくいってー、さーすーがーだー?」


『ゼイゼイゼイっ、え?金子くんもこっちなん?」


「うん、幹部補佐でね。よろしく」


『でぇぇぃぃいあ!!』


追って、きたのか…。

負けず嫌いにもほどがある。

いや1日限定のバトルでそこまでは…。


「サラの状態、イーブンだよ平塚では。」


ドゥッ!!待て待て待て待て!!

イーブンちゃう、もう連れてる!!

こ、な、い、だ、月末、帰った子!!

あーすーかーちゃーーーん!!


一緒にこっち来たんか?

イロ※もここまで来るとすごいな。

しかも同じ幹部補佐かい。


※イロ…イロコイ営業。ホスト本人は擬似恋愛、にてお店に呼ぶ営業法。イロコイをかけられた側は本気にしているので、信じられないくらい周りの意見は聞かない。騙されてる意識は皆無。


うかつやった。

ちゃんとせなあかん。


遊くん「あ、じゃ終くん金子のヘルプついてよ」


『でびぃぁ!!』


『こちらへどうぞ、お客様ご来店でーす!!』


「いらっしゃいませ〜!!」


『おしぼりどうぞ、ご一緒してもよろしいでしょうか?』


あすか「どーぞ、ねえねえこないだの子は?マミちゃん?」


『あすかちゃん記憶力すごいな、マミちゃんは今地元やで、大阪』


あすか「あ、準備期間だもんね今」


『そういうわけちゃうけど、あはは』


金子がたばこを取り出す。


俺のターン!ライターアタック!!


カチッ(金子のライター音)


金子「フゥゥゥー」


ぐぬ!!


よくわからんがヘルプに徹しよう。


「あはははははっ!」

「でさーっ…」

「あGO!!」


よし、マナトがついて瞬と流川の卓も盛り上がってるな。


『あすかちゃん、金子くん、僕もいただいてもよろしいですかー?」



ドン。


金子「ゴーゴー!」



ピョーズ!!(俺の心の鳴き声達)


きょーげつを、飲め、と!!

歌舞伎町から持ってきたボトルには目もくれず!コルドンブルー飲みたいのに!!


金子「飲んでこー!!吸ってこー!!」


『いただきます』


景気付けにはいいな。

金子があすかちゃん連れて臨時営業に来るってことは、これ以上のカードは無いってことやな。

わざわざイロのためにエース級をプレオープン前に連れてきた、と。

信用を得るために。浅いな金子よ。


ガソリンたくさん飲ませてくれてありがとうやで、ほんで、


『ごちそうさまです』


湘南の初夜、これやからホストは楽しいわーい!!


鏡月ラッパでクラクラになりつつも。

ブランデーというハイオクじゃなくても。

レギュラーやろうがなんやろうがガソリン満タン、ベロがまわる!!


何を喋ったかな…

とにかく無我夢中でボケたりノリツッコミしたり。

あすかちゃんブン取ったろ、くらいな感じに喋りまくったな、確か。


で、そうだそうだ。


『あ、新人さん紹介します〜、雅矢〜!雅矢くんー雅矢くんー!」


雅矢「失礼します!ご一緒してもよろしいでしょうか?赤い車の雅矢です」


あすか「どうぞー!赤い車乗ってるのー?」


雅矢「なんですか?それ」


『お前が言ったんやろがい!!』


雅矢「終さん、やめてくださいよ、こういうとこで名字言うの」


あすか「あははははは、名字!ウケる!」


金子「なが!」

『なが!』


成功だ。

面接の時に嫌がる雅矢に無理矢理つけた名字、赤い車の。

ヤツはこの平塚でホストロードをひた走る赤い車の。

赤い車の雅矢。


この時、金子とのシンクロ率は400パーを超えていた。


遊び半分でつけた名字でまさか金子とシンクロとはな。

金子も驚いた表情やけど。


トントン。


遊くんに肩を叩かれる。


遊くん「終くん、キャッチの卓ついて」


おし、きた!!


遊くん「金子くん、終くんとD卓」(ボソッ)


バァッ!!

コンビや思われとる!!

金子と俺のダブルツッコミや思われとる!!

赤い車のめー!赤い車のさえ来なければ金子と一緒にヘルプなど…


スッ


スッ


2月に20歳の誕生日を迎えた金子よ、聞きわけが良いな。

まぁ、その直後に俺も立っているんだがな。


金子「ヘルプの時は、協力プレーだよ」


だからコンビっぽく言うなや金子!!


ニコッ(遊くん)


ほらぁぁぁぁぁああああ!!!!



愛馬と金子、いざ平塚初の初回卓へ。



街は今日も輝いている。

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