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ロスト  作者: 輪廻 終
8/14

忘却。

『唯さー、平塚の店って駅近いん?』


「近いよ〜、駅降りて5分くらい。寮入るの?」


『寮はいいやー、もしかしたらお願いするかもだけど』


「どっちだよ!はははっ」


ここまでで俺が得ている情報は…


マナトと俺が移籍決定。

あと3人くらい引っ張って、唯と俺がスカウト。

寮に入るなら寮費は給料から2万円引かれる。ホテル、部屋を借りる等はもちろん自分で。

3月中旬のプレオープンまでにキャストを15人まで増やしたいとのこと。

ちなみに業界でいうところの小箱ってやつだ。席はボックス席が7、カウンターもあり、唯の知り合いがバーテンをやるらしい。

唯は付け回しや、経営をやりつつ自分のお客様が来た時のみ接客するみたい。


このくらいか。


俺は4月の本オープンまでホテル暮らしすることを選択した。

荷物もないし。スーツもないし。


ピョー!!

幹部補佐がスーツなし!!

マズイやろさすがに…


この時、ホスト業界で流行っていたのは、不良キャラならティノラス。

打て打て系(枕ホスト※等)ならトルネードマート。

※枕…お客様とベッドイン、この頃のイケイケ野郎は寝れば落ちる、お金もおとす、と思っていた。俺も。


もちろん俺は、なんでやろ。


ティノラス1択です。


なんでやねんそっちかい!!


どうかしてるぜ。


で、どうせ行くとこもないやん?

だからその足で新宿のマルイ◯行ってスーツ買って平塚コースやん?


まず新宿へ。


憧れていたマフィア映画の、幹部が着ていたマオカラー※というスーツを見る!見る!!見まくる!!

※襟が立った、前の空いていないスーツ。

初見はマジかこいつ!的な素敵な印象を与える可能性大。


全部10万超えは当たり前なティノラスパイセン!!


『すいませーん』


店員さん襲来。


「はい、あ、マオカラーですか?マオカラーですとこちらにもございます。お客様マオカラーお似合いになると思いますよ。マオカラーは…」


マオカラーマオカラー言うなや!!

恥ずかしくなってくるわ!やめよかな!


『はぁ、、、あの白いマオカラーってありますか?』


「ございますよー、白は着る人を選びますからねー」


どうゆう意味やねん。


「こちらでございます〜」


サザエ◯さんが脳内をノックする。



『ドゥッ』

(どうして)


24まん8せんえーーーーン!!


めっちゃかっこいいけど!

ティノラスには珍しい白で細身のマオカラー!これならトルネードマートにも勝てる!!

オラオラとイケイケの混合スーツ!


24まん8せんえーーーーン!!


しかしこちとらグレートの2月度ナンバー10ホスト。そしてGグループ幹部候補生。


『アハァ、試着していいっすか?』


「こちらでございます〜」


サザエ◯さんが脳内に侵入する。



かっけェェェエエ!!

俺、かっけェェェエエ!!

金髪に白のマオカラー…


完璧だ。


『ください、着ていきます』


「え?あ、ありがとうございます」


こうして着ていたジャージをマルイ◯の紙袋に収納し、夕陽が眩しい新宿の街を歩く。


見てる見てる。

かっこええやろー!!

散々遊んで残ったお金33万円で買ったマオカラーくん。

残金7万ちょいやけどええねん。

かっこええやろー!!


(この時はまだ初期ホスト時代に、マオカラーの人と呼ばれることになるなどと知るよしもなかった)


そのまま夕陽をバックに駅構内へ。

湘南新宿ラインに乗り込み、いざ湘南へ!!


ガタンゴトン…



平塚、到着ー!!

ガラわるーーー!!

何この街ー!!


しかし俺はマオカラー。

堂々と歩く。からまれない。

ありがとうマオカラー!!


唯と19時に待ち合わせしているのだが18時についてしまった俺が考えること。


何を隠そう地元時代、先輩や仲間に散々ナンパに連れていかれた挙句、声かけ特攻隊長という重要ポストを任命されていた男。


ヤンキーも多いけど元気そうでかわいい子もおるやーん!!


せぶんすたーを1本とりだす。




ポイッとな。


止まった、もらった(改札出口)


『すいませぇーん!すいま、せーーーん!!』(大声』


「?」



街は今日も輝いている。

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