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ロスト  作者: 輪廻 終
3/14

確率変動。

八王子から電車に揺られ30分。

やっぱ特急乗ると早いな〜。

京王線バンザーイ!バンザ…


「ついたで?」


『うん』


久々やなー。

あれから1回も来てなかったなー。


「場所わかるん?」


『んー。』


コマ劇前でキョロキョロ。

明らかに不審者。

マミおらんかったら捕まってるな。


「あれ、終じゃん?」


ん?

なんや。


唯やないかーい!!

まだスカウトしてたんかーい!!


『うっす、久々。またスカウトしてるの?』


唯「もうオープンしたよ、今日月末じゃん?これからお客様のお迎え。ねえねえ、隣のお姉さん何?さらってきたの?人身売買?逆に終が売られるの?値がつかないか終じゃ!あはは」



マミ「藤咲唯…」


『ん?』


マミ「ん?なんもない」


『なぁ、唯さぁ、お店行きたいねんけどダメ?』


「お前、すげぇな。普通それ言う?すげぇよ、あはは。部長と社長に話通してやるよ、今度はどっか行っちゃダメよ」


『おー、良いヤツやな!ありがとう』


-グレート、入店-


ギィィィイイィィ


『うわ』


深夜0時半、店内はほぼ満席。

座れずに、立ってる従業員の姿も。

順番に黒服からの指示でお客様の席にヘルプ※として座る。

※指名されているわけではなく、席を盛り上げるために座る。飲む量も基本的に増える。指名されたホストの分も飲むため。指名ホストの負担を減らし、助ける、の意味のヘルプ。


『すげェェェェエエ!!』


唯「いらっしゃいませ、こちらへどうぞ」

唯「お客様2名様ご来店でーす!!」


従業員「いらっしゃいませー!!!」


40人くらいの大合唱!

何この活気!のまれそうやわ!!

スター状態なのに!やば。


通称、A卓と呼ばれる主に男性+女性客用に使われる席に座る。


立っているヘルプの1人がサッとおしぼりを開いて「いらっしゃいませ、どうぞ」


唯「じゃあお迎え行かなきゃカンカンプンプンだから行くね、ごゆっくり」


『ありがとうなー』


マミ「オープンして初月末やからすごいな〜人が」


『月末ってなんかあん…


「申し訳ございません、お客様!恋愛中でしたか?ホットココア、要ります?」



意味わからんなんや?


マミ「あはは、いらんから」


!?


「失礼します!部長の喜一と申します、ご一緒させていただいてよろしいでしょうか?」


マミ「どーぞ、マミです、よろしくね」




クッソイケメンきた!!

クッッッソイケメンやん!!

なんやこいつ。


喜一「よろしくお願いします。お見合いかよ!で、終くん、ですね。よろしくお願いします!』


『うっす』(bass)


喜一「終くん、今日からって聞いたけど、景気づけに1杯いっとく?」


カァーーー!!イケメン!!

飲むわ、今日は飲む!!


ん?


今日から?


景気づけ?


従業員「フィーバー!終〜!イケイケ終〜!」


うるさっ!!

なんだ?なんで、拍手してる?


喜一「はい、飲んだ飲んだ!!」



ゴクゴクゴクゴク…


『お酒濃い!オレンジジュースめっちゃ少ない!』


クラクラ…


喜一「マミさんもいっときます?終くんの入店祝い!」


マミ「気が早いな!あはは、飲むよー」


従業員「ライッ!ラララライッ!!」


マミ「ホスト久々〜、ここって唯くんいるんでしょ?」


喜一「うん、唯いますよ〜後でつけるね」


マミ「おっけー、終、今日から働くんでしょ?あはは!着替えておいでよ」


喜一「裏からサイズ合うの着ていいからね!タイムカードは作ってあるから渡辺ってのに聞いてね」


『うっす』


スーツスーツ…


あった!!


サイズは…やっぱブカブカやわ。

まぁええわ、下もTシャツやけど良いか。


バァーーーン!!

新しい俺を見よ!!

お酒作りとライターは任せろ!

今日は気分が良い(酒)

トイレ掃除だってやるぜー!!


喜一、マミ「おかえり〜」


おーうふ、喜一部長、マミの隣に座ってるやん。


『オレ、ドコ』

(俺はどこに座ればいいの?)


あまりの動揺で、頭がいかれちまったどっかの部族みたいな話し方になる。


マミ「終はヘルプで修行!安心したまえ、喜一くんは場内やから」


何語を喋っとんねん!?

みんな場内におるやないかい!!

喜一がなんで隣で俺が前やねん!


まぁ良いわ。


喜一がたばこを取り出す。


マミ「はい終、火!火〜!あはは」


『あ、あぁうぅ』


シュボッ


完全に部族。

初めて火をおこす時の部族。


マミ「あはは、出来たやんすごいやん!」


ギィィィイイィィ


「お客様1名様ご来店でーす!!」


唯の声や。


従業員「いらっしゃいませー!!」



うわ、めっちゃ綺麗な人やな〜

モデルさんやん、絶対そうや。


唯、ずる。ずるい!


マミ「見過ぎやろ、私が背あったら負けへんで」


『いや、比べるもんちゃうやろ、みんな魅力あるわけやし』


喜一「ホストかよ!」


俺、マミ『ホストだよ!』



で、楽しい時間はあっという間に過ぎていき、5時だってさもう!

早過ぎやろ、今日初めて時計見たわ!!


従業員1「C卓C卓〜!!唯くんテーブルの琴さんより〜!!ドンペリブラックいただきました〜!!集合!」


従業員一同「ありがとうございまーす!!」ゾロゾロゾロゾロ…


なになになになに?

もう唯もことさん?も見えへん!

従業員の人波で見えへんやん!!



従業員一同「今夜は!今夜は!可愛い!可愛い!姫より!姫より!ドンペリブラック、い、た、だ、き、ま、し、た〜!!」


鳴り響くユーロビート!!

息のあったドンペリのコール!!


『やば、なに?高いの?お祭?』


マミ「ブラックは60万」


『でぇぇぇいあっ!!』


変な声を出しながら後頭部を壁に強打する。


そんでもって、それを皮切りに、他のテーブルでもガンガン入る。


マミ「唯はルイ、リシャール、ブック全色」


マミお前、なんでそんなに詳しいの?

マミお前、麻雀みたいな言い方やで?



マミ「全部で200こえてるね〜エグっ」


『でぇぇぇいあ!!まじ?」


「お待たせ、ご一緒、よろし?」


唯!!

全部で200超えてる唯やないか!!


俺はオレンジジュース割の鏡月や!!


部長「唯嫌いだから移動〜ははは」


唯「出た、部長の作戦出た!」


マミ「どーぞー」


唯「終、スーツいいじゃん、売れっ子みたい、あ。人身売買の方ね」


『まだ引きずってたんかい!』



こいつ、やべえわ。かっこいい。

なんか知らないけど、馴れ馴れしいし顔も普通だよな、ヤバいかっけぇ。


マミ「こんなとこいないでかぶりの席行きなよ〜あははは」


唯「いいのいいの、ワインも寝かせたほうが美味しいんですよ、姫♩」


マミ「ウザ!あはは!」


姫って言うた!!

姫って言われてキモくない感じ!!

なんやねん、こいつ。


『アハァ』


完全沈黙。

だが食らいつく。


ザワザワザワザワ…


『ねえ唯さぁ、俺も他のヘルプ行かせてよ』


唯「まじ?月末のヘルプとかしぬよ?あはは」


『しぬの?』


唯「わっかんないけど。あははは」


ザワザワザワザワ…


マミ「1回ならしんでも良いんちゃう?」


『いや1回死んだら終わりやろ』


ザワザワザワザワ…


ヘルプ「失礼しまーす、マナトでーす、ご一緒よろしいでしょうか?」


唯「お、じゃあお邪魔しました〜」


唯、忙しいなー。

いっぱいお客様来てるのか。



マミ「唯くんまたねーありがとう!マナトくんどーぞー。で、終、もう慣れた?」


…は?



なんやねん。




『え?』



街は今日も輝いている。

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