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ロスト  作者: 輪廻 終
12/14

うずまき。

ブーーーー!ブーーーー!


ヤクザ団地の呼鈴を鳴らす。


ガチャガチャ、ガチャ。


ヒロカ「終チン、おはよ」


ヒロカちゃんの顔が真っ青、少なくとも18時間以上は何も食べてないはず。

しかもあのまま追い打ち※してないからテンションも低い。

※薬が抜けてくると絶望感と嫌悪感が襲いかかってくる。耐えられない人はそこで更に薬を投与するので深みにハマる。


ヒロカ「気持ち悪い」


『やろなー、外出れる?ご飯食べれるん?』


ヒロカ「うん、準備するから待ってて」


28号棟の前にある公園でせぶんすたーをプカプカ。


ヒロカ「終チンいこー」


駅の方に向かって歩く。

ここでも結構な距離を歩いたなー。


『ヒロカちゃんさ』


ヒロカ「終チン、ヒロチンて呼んでいいよ」


どんだけテンション上がりきってても昨日の記憶はあるらしく、仲良くなったのも覚えていてくれたみたいや。

はじめて会った時よりも数段、心を開いてくれている。


『おっけ、ヒロチンさ、悪いことしてるやん?やめられへんの?』


ヒロカ「やめれるよー、みんなやってるからやってるだけ」


『うん、えらいな。お腹も空いてないやろ今』


ヒロカ「うん…」


『お腹空くまで一緒におるからちゃんとご飯食べような』


この時の俺の心境は、ヒロカちゃんの周りをキレイにせなあかん。

そのためには環境を変えなあかん。

一緒におったらやめさせられるな。


これ。

住むとこないから一緒におるってむずいな。


ただ、ひとつだけあてはあった。


赤い車のが、1人暮らし。

実際にはおばあちゃんの家に2人で住んでて2階の部屋が丸々1部屋空いているらしい。


その時は冗談で、


『雅矢、そこ居候させてよ〜』


「おばあちゃん話相手あんまりいないんで良いですよー」


こんな会話をしたことがあった。


こんな良いタイミングあるか?

って事で公園で一服中、俺は赤い車のに電話し了承を得ていた。


『ヒロチンさ、しばらく一緒に住まへん?結構広くて家賃いらんて』


ヒロカ「え、終チン一緒にいてくれるの?住む!」


俺らの年代は、1人暮らしに1番憧れる時期やった。

それにしてもあっさり決まった。

実際、こんなもんやった。

少なくとも俺らの周りは。


寒川っていう神奈川の田舎やったけど、車は赤い車のがRX-7という赤いスポーツカーに乗っていて更にナンバーの付いていない所謂盗難車の原付が1台。


よし、足もある。

※良い子は真似しないで下さい。


さっそく寒川に向かうため、横浜線に乗る。


ヒロカ「楽しみー」


新居(赤い車の宅)到着。

赤い車のはおばあちゃんと一緒にみかんを食べてた。


雅矢「2階、畳の部屋使っていいですよー」


『ありがとう、おばあちゃんもありがとうございます』


おばあ「ゆっくりしていってねー」


少しだけ呆けているらしい。

(赤い車の情報)



広い!!


ほんで、

新しい布団やらヒロカちゃんの荷物やらの話になり、必要なものを揃えるため近所のホームセンターへ。


ヒロカちゃんもお小遣い?でお金を持っていたので布団などを買い、雅矢運転の赤い車で途中ドリフトなどをしながら団地に向かい洋服などをゲットして…


新生活のスタートや!


ヒロカ「ヒロチン仕事探すね」


『今日はのんびりしよ、明日からしたらええやん』


ヒロカ「うん、うん!」


ほんまはええ子なんやなヒロカちゃん。

環境って大事な。


次の日俺は、ヒロカちゃんにあの方々との連絡を切るように言った。

念のためにしばらくコソコソ動いてたな。

でもヒロカちゃんがはっきりした口調で、もう会わない、引っ越すことになった、と告げて向こうも多少は諦めたのかもしれん。


この後、数回駅で見かけたけど特に大きな揉め事はなかった。

ヒロカちゃんの親がまた別の団体の一員で(言ってしまえばうちも元々そこの派生やけど)、トラブルを避けたんやと思う。


1週間もしないうちにヒロカちゃんが仕事を見つけた。

横浜のスーパーでパンを作るらしい。


薬を止めるには単純作業を繰り返して、シラフに慣れること。

そんなんに頼るよりもっと楽しいことを見つけること。

なんでもええから。


ヒロカちゃんにとっては、逃避行のようなこの現実が新しくて楽しいのかもな。


ヒロカちゃんが言ってたな。


「ヒロチンて呼んでー」


ヒロチン、了解!!


その間俺は平塚駅に出向き、やる気のある者は即時面接、そのまま唯と新人とスカウトやキャッチ。


8日には名刺も届き、合羽橋での買い物も終えてあとは待つのみ!!


9日の顔合わせには総勢18名の従業員が揃っていた。


ホスト全盛期!さすがです!!


平塚 Club Grow.


代表取締役 藤咲 唯←グレート

幹部補佐 金子←グレート

幹部補佐 愛馬 終←グレート

バーテン 遊

内勤 カトリーヌWクリスティーナ←New!!

キャスト 真奈斗まなと←グレート

キャスト 山本 剛史たけし←グレート

キャスト 太郎 けん←グレート

キャスト 赤い車の雅矢まさや

キャスト 流川るか

キャスト しゅん

キャスト メロン←New!!

キャスト ベートー べん←New!!

キャスト るい←New!!

バイト じゅん←New!!

バイト 筋肉 すぐる←New!!

バイト りょう←New!!

バイト Xエックス←New!!



中には俺が面接時、悪ノリでつけた名前の者も数人おるけど。

それなりに濃いメンツが揃った。


顔合わせをし、開店前の円陣の言葉を決めて。ドンペリコールも超練習。

マイクは基本、俺らしい。

やったね!!


雑誌の取材や撮影なんかもやっちゃって。

その後スタジオに出向き宣材写真を個々に撮る。


俺は確かグラサンして林檎を噛んでる訳のわからない写真やったなー。


いよいよ明日。

プレオープンが始まる。

この日まで、マミとユッコちゃんにも毎日毎日電話した。


マミは相変わらず療養中。

ユッコちゃんは明日来てくれるらしい。

もちろん、ヒロチンと一緒におるなんて言える訳がない。


ヒロチンともいろんな話して、今のところ悪いこともしてない。


キャッチしてて番号聞いた人もおる。

指名で来てくれなくても、お店が埋まれば最高や!!


考えてみた。

実質、ホスト3日目。

辞めるものはだいたいここで脱落。


でも、俺には脱落する理由も環境もない!!


金子との決着もついてない。

一勝一敗や。


寒川に戻り、ヒロチンの帰りを待ちながらイメトレ!イメトレ!!


「終チンただいまー」


この頃にはヒロチンはだいぶ心を開いてくれてた。


『おかえり〜、明日やな!!』


ヒロカ「明日だね!楽しみだね!」



ほのかに石鹸の匂い。

いつも良い匂いするからまぁ香水変えたんやろ。

こん時はこんな感じで流した。


プラトニックはこの日で消えた。

なんかわくわくとドキドキで舞い上がってたんやね。


寝て起きたら幹部補佐 愛馬 終。


新しい俺の夜明けぜよ!!




街は今日も輝いている。

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