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ロスト  作者: 輪廻 終
11/14

禁断。

深夜の平塚。

改造したカラフルなバイクで爆音を鳴らしながら走る方々が道を妨害し、側から見ればハーレム状態の俺を乗せたタクシーを覗き込んでくる。


めっちゃ怖いめっちゃ怖いめっちゃ怖い。


中は中で1人はお酒でハイテンション、1人は違うもので同じくハイテンション。

俺はというとめんどくさいことに巻き込まれた疲れでバッド街道一直線。


どうなることかと思ったが、結果2人は仲良く話している。

ユッコはヒロカちゃんのテンションの理由は知らない。

が、有名人とのことで会話に華が咲いている。


20分ほど経過したかな。


平塚のはずれの団地に到着。


運転手「着きましたよー」


『28号棟ってどれですかね?』


運転手「1番奥ですねー、はい、ありがとうございましたー」


ヒロカ「ヒロチンが払う〜!!」


『はいはい、後でもらうから一回降りよ!』


ユッコ「ヤクザ団地じゃん!コンビニ近くにないよー」


なんでしょうか、ヤクザ団地ってなんでしょうか?

自分の耳がどうかしてることを願う。


28号棟、到着!!


ヒロカ「こっちー、この二階ー!」


灯りがついてる。

外から見てもわかるけど、めっちゃ人おるやん!!


とりあえず俺が呼鈴を押してみる。


ブーーーー!ブーーーー!


シーン…


ドタドタドタ


ガチャガチャ、ガチャ!


「また遅くまで遊んでー!!ご飯は?」


おうふ、ヤンキーママ!?

んで、喫煙者でもわかるたばこの匂い。

ものすごいな、換気扇やと無理やろこれ!!

少し見えた部屋の中は煙で真っ白。


「ポンッ!!」


ぐ、、、奥で麻雀やってる。

鳴いてるやん※

※鳴く…麻雀用語。基本的には早く勝つために使う手段。


奇しくも今俺はポン中を連れている。

↑こんなくだらんことを思ってた。


ヒロカ「ご飯いらなーい、みんな連れてきたー!」


俺「はじめまして、終といいます」


ユッコ「ユッコです、ヒロカちゃんと仲良くなりました!」


ユッコちゃん、押せ押せやな…。


ママ「どーぞー、散らかってるけど」


うん、まじでな。


ヒロカ「どーぞー、ヒロチンの部屋こっちー!」


なんとかヒロカちゃんの部屋にイン。


おー、某アイドル事務所好きなんかい!

めっちゃポスター貼ってあるな!!


散らかってるけど、変なものは…ない。


ママ「終くん、麻雀やるー?」


『あー、僕お金ないんで大丈夫です』


奥の部屋「ガキから金取んねーよ!わはははは!」


怖すぎるやろ。


たぶん不良集団の方々や。

見たことあるもん、こんなん地元で。


20分くらいかなー。

聞ける範囲で聞いた話は、ヒロカちゃんはまず、平塚を生業としているこわい人の愛人でたまーにこうやって会って遊ぶ?らしい。

会わないというとまず暴力を振るってくる、と。

終始笑顔でそれを話す。

親は知らないらしいがたぶん知ってる。

なんとなく、放置されてる感じがしたし。


辞めさせなあかんな。


『ヒロカちゃん、もう今日はおうちにおれる?』



ヒロカちゃん「うん、いるよー」


よし。


『また明日電話するから、ユッコちゃん送って帰るね』


ヒロカちゃん「また明日ね〜終チン!」


ユッコ「またねヒロチン!!」


『お邪魔しましたー』


もう2時。

誰もいない平塚の街を2人で歩く。


うわ、タクシーも通ってない。


『ユッコちゃんこの辺詳しいん?』


ユッコ「うん、わかるよー!眠いからラブホ行こー!!」


今日はほんまに疲れた…

なんでも良いや、早く寝よ。


『いこいこ』


ユッコちゃんはヒロカちゃんと同じく某アイドル事務所好き。

この頃は茅ヶ崎でも、俗に言うヤリマン…で有名だったらしい。

何人もその事務所の方々と関係を持った、と自慢げに話していた。


それ関係は、自分が一時期レッスンを受けていた過去もあり俺も詳しかった。


結局それが仲良くなるきっかけやった。


ポツンと明かりを灯す近くのラブホテルに入って今日1日の疲れとゴタゴタを頭にガッチリくっついたワックスと一緒に流す。


ユッコちゃんがシャワー浴びてる間にヒロカちゃんに電話。


家におることを確認して、安心。



ユッコ「終くんさー、次あのお店行くときって誰指名したらいいの?」


『それはユッコちゃんが決めたらええよー、瞬好きならそれでええし』


ユッコ「なにその余裕、あはは」


『余裕ないから!あはは、ほな俺にしてよ、一緒に行こう』


俺はなんやろ、ほんまに余裕なんかなくて、どっかでマミのことを待ってたんかもわからん。

でもユッコちゃんのこのひと言で、危機感というか…ホスト熱みたいなんが再燃してきた気がする。今思うと。


ほんまにありがとう。


『嘘ついたごめん、次一緒に行こ、ご飯食べてから』


ユッコ「ホストだ!あはは!いこいこ」


『ホストやで!10日、迎えに行くわ』


ユッコ「瞬くんのことは忘れてね」


『気にしてへんよー』



その日は2人ともいつのまにか寝てた。

まだ潔癖というか、なんて言うか…ホストとして食っていく覚悟がまだまだ足りなかった俺は、ユッコちゃんに手を出すこともなくそのまま朝を迎えた。


朝起きて、ユッコちゃんが手を握ってることに気がついてちょっと変な気持ちになった。


駅までユッコちゃんを送る。

結構な距離を2人で歩いたなー。


『ほなすぐ電話するから』


ユッコちゃん「うん、毎日ねー、待ってる!」


『エリちゃんにもよろしくなー、気をつけて!』


濃い臨時営業がなんとか終わった。

瞬とゴタゴタせんとええなー。

ま、この心配はすぐに消えるねんけど。


ヒロカちゃんに電話をかける。


ヒロカ「おうちにいるよー、チャーハン食べたい」


『食べいこうか』


側から見たらハーレムやったあのタクシーの中。

あの中の景色を俺は何回も何回も、この後思い出すことになる。

今でもたまに思い出すな、あはは。


店に置いてきたadidas◯のジャージに着替えて、ホストとしてやる気MAXの、歌舞伎町の月末状態の俺は。


ヒロカちゃん救出という大きな問題を抱えながら平塚の団地の28号棟へ向かった。


狂ったような毎日が始まることなんて、この時は一切考えてなかった。



今日も街は輝いている。

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