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第3曲

「あなた……あなたぁーー!」

警視庁に戻ると、スタイルのいい若い女性と六歳程の少女が座っていた。女性は髪を乱し、顔を手で覆い叫んでいた。女性の身体は小刻みに震えている。その様子を、少女は困惑しながら見つめていた。仲西の前に、三浦が来た。

「三浦、あの人か?」

「ええ。警察病院から連絡があったそうで戻ってきた様です。それでさっきからずっとあの調子で、俺見てらんなくて」

「任せろ」と言い、仲西は二人に近付いた。

「失礼」

と、仲西は女性の隣に座った。

「何ですか、あなた」

「申し遅れました。捜査一課の警部仲西です」

「警部仲西さん? 芸名みたいな名前ですね」

「警部の仲西です。亡くなられた金剛久さんの奥様で……?」

「はい……久の妻の美由紀です。こちらは娘の綾乃です。ほら、挨拶」

と美由紀が綾乃に言うと、綾乃は小さく頭を下げて「こんにちは」と言った。

「こんなときにナンですが、この女性に見覚えありませんか?」

仲西はポケットから静流の写真を美由紀に渡した。それを受け取り、まじまじと見るが美由紀は首を振る。

「知りません。誰ですか?」

「いえ、ただの質問ですので……」

「このオバちゃんしってる!」

綾乃は静流の顔を指差した。

「え? 本当?」

「うん! 綾乃、この前お母さんとお買い物に行く時帽子忘れちゃって一人で戻ってきたの。その時、階段からこのオバちゃん降りてきてた!」

「なんで知らない人が家にいたのにお母さんに言わなかったのよ」

「だって、そのオバちゃんしーってやったんだもん。だから、話したらダメだと思って」

「この人が主人を殺したの?」

静流に向ける視線が瞬時に憎悪の視線に変わって行く。声も低くなり、写真の静流を睨んでいた。

「いえ、そういうわけでは……」

「はぐらかさないで!」

「こちらとしても捜査情報を一般人に公開できないのです。守秘義務がありまして」

納得していない表情だったが美由紀は歯ぎしりをしながら視線を戻した。

「で、綾乃ちゃん、いつ見たんだい?」

「んーっとねー十一月!」

「そう。ありがとう」

「娘の証言で捕まえられないんですか?」

「申し訳ありませんが、子供の証言は現在の裁判では証拠能力は低いのです。本人からの決定的な証言でも……」

と言いかけると仲西のスマホが着信した。相手は捜査一課の江本警部だった。

「あれ? 江本警部。これまた珍しい」

「犯人がわかった。鑑識のその後の捜査から、爆弾に指紋が検出された。それを警察のデータベースでアクセスするとヒットした。名前は神原直忠かんばらなおただ。高校時代、被害者とよく行動を共にしていた男だ。俺たちは今から奴の自宅に向かう。お前らも来てくれ」

なんだって……。

仲西は電話を切り、一人惚けていた。

「どうしたんですか? 警部」

と、長谷川は顔をのぞかせた。

「犯人が見つかったって」

「えええ⁉︎」

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