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第二章 20話 なんか現代日本ならもしかしたらニュースになるかもしれない単語が王様の口から出たな。

「して、やってもいない横領で呪われ、国外追放されたと?」


「ははーっ」


 魔王オジサンの家族をザオ○クしてからオジサンの家族みんな王城に連れてきた。

 とりあえず濡れ衣を着たまんまだったのでこの国の最高権力にうったえてみることにしてみたのだ。

 今はヒゲ王様の前でオジサン一家は時代劇の町民のように土下座している。

 家族みんなでははーって言ってた。

 俺の中だとただの気安いオッサンなんだが、やっぱヒゲ王偉いんだなあ。


「安田殿、どうなのだろう?この者はまことに冤罪か?」


「間違いなく」


 俺に真偽を確かめてきたので答えてやる。


「ふむ、わかった。私の名で罪を無効にし、呪いを解く手続きをしよう」


 おお、罪が無効になるのか。

 まじで?


「王様それ大丈夫なの?他の国のことなのに」


「大丈夫、あの国の王は私の高校ん時の野球部の後輩だから」


 え!?野球部の後輩!?

 なにその感じ!?


「あいつは昔から人を見る目が無かったが……部下の管理もろくにできんとは……あの野郎今度会ったらケツバットだ」


 ええ!?ケツバットされんの!?

 ていうか別な国の王様が同じ高校ってなに?


「安田くん、この世界にはね世界中の王族が集められる学校があるんだよ。まだ残ってたんだねえ」


 なんだよそれ、大丈夫なのか?

 いや大丈夫じゃないだろそれ、だって国で一番権力持ってる人らが集められるわけでしょ。

 そもそもどうやって運営してんだ?

 ……いやまあ、この世界だからな。

 なんか大丈夫なんだろうな。


「苦労したざますね。もう大丈夫ざますよ」


 ざますおばさんが土下座しているオジサン家族のとこに近づいて行って涙目で慰めている。


「……は、ははーっ」


 オジサンは涙目でははーっって言ってる。

 ていうかここ来てからオジサン達ははーってしか言ってないな。



 そしてオジサンは何やら王城の魔法使いの部署で働けることになった。

 社宅みたいな住むところもあるらしく、おじさん家族は大喜びだ。


「安田殿はとうとう人まで生き返らせたのか」


 ヒゲ王がびっくりな顔で話しかけてくる。

 まあ、生き返らせるとかだからな。

 色々問題になりそうだから釘を刺しとこう。


「生き返らせたの俺じゃないけどね。あと普通は無理だから、今回はたまたま魂エネルギーだかがなんちゃらかんちゃらでできただけだから」


「……それを聞いて安心した。人をぽんぽん生き返らせられたらさすがに私もひいちゃう」


 ひいちゃうか、まあひいちゃうわな。



 そして王城の部屋で一休みする。

 色々疲れたわ。


 あ、そういえばオジサンの家族が生き返る時になんか聞こえたんだよな。

 子供の声みたいなのが。

 うーん。


鑑定結果


一番最初に高次元宇宙に移行した始まりの宇宙の神、通称始まりの女神しゃまの声です。

神の間では都市伝説みたいに語られていた存在ですが、神様史上初めて安田が存在を確認しました。


HPを半分消費して女神を召喚しますか?


YES/NO



 …………………うわ~、またやっちゃったよ……。

 またYES/NO選択肢出てきたし……。

 鑑定なんてやんなきゃよかったよ。

 でもHP半分消費とかしたらどうなんのかわかんないから迷わずNOで。


 ていうかなんなんだよ。

 始まりの女神しゃまってなに?

 ……しゃま?


 ていうかこういうのは最後の最後に、なんだってーっそうだったのかーっ、てなるやつじゃないのかよ。

 なんですぐ答え教えてくれちゃうの?

 相変わらずわびもさびもない能力だな。

 まあ、HP半分消費っていうのが死んでも嫌だからスルーしますけどね。

 すごく痛いか、すごくつらそうだから。







「龍臣、夕飯だぞー」


 お、夕飯か。京が夕飯の時間を教えにきてくれた。


 うん腹へったわ。

 気を取り直して飯を食べよう。




「いやあ、しかし解決してよかった」


 俺はパーティーメンバーと唐揚げを食いながら魔王問題解決の話をする。


「魔王ねえ、そんなことあるなら僕たちも言ってくれたらよかったのに」


「そうですよね」


「我々もご一緒したかったですよ先生」


 鈴木さんと東くんとピンタさんがなにかブー垂れている。


「まあ、いつも通り思いつきで見切り発車しちゃったからね」


「本当に見切り発車だったな。まさか人を生き返らされるはめになるとはな」


「全くですな」


 京と向田さんがやれやれ感を出して酒をちょびちょび飲んでる。

 なにやれやれ感出してんだ。

 お前ら最初魔王オジサンの首切り落とそうとしてたろ。


「まあ、あとは地下にいるらしい毒電波の魔物どうするかだけだな」


「安田くん、その魔物とやらはどういうことなの?僕今一つよくわからないんだけど」


 毒電波の魔物について鈴木さんが聞いてくる。


「まあ、例の悪の巨人だかっていうのが出した電磁波?、浴びるとヒットポイントが少しずつ減る毒電波らしいんだけどね。それがこの世界の魔物が生まれるシステムで魔物化したらしいよ」


「……よくわからないね」


 鈴木さんはよくわからないらしい。

 そうね。

 俺もよくわからない。


「まあ、とりあえず魔物が溢れて大変なことになるにしても2万年後とからしいからね。まあ、ゆっくりいくべ」


 ホントは魔王のオジサンも二千年猶予あったんだけどな。


「先生、世界樹に魔物がいるの?」


 あ、勉強終わりで一緒に飯食ってたブーちゃんがこっち見て聞いてきた。

 弟くんもこっち見てる。

 またおでこに目の落書きしてるし、その目が光ってる。

 いつまで光らせんだよ。


「まあ心配するなよブーちゃん、世界樹の生えてる地面のずっと下にいるだけだから」


「……ふうん」


 ブーちゃんがすぐ興味なくして唐揚げを再開した。

 そんな唐揚げばっか食ったら太るぞ。

 そして唐揚げパーティーが終わったので、さっさと風呂に入って寝ることにする。

 今日は疲れたわー。















 ばたんっ。


「あいたっ」


「ああっ、申し訳ありません唯川様っ」


 ……んん?

 なんだ?


「や、安田様っ、王がお呼びですっ」


 ……ええ?何よ?

 なんか部屋に急に執事っぽい人が入ってきた。

 今は早朝も早朝、朝の四時半だ。

 ぐっすり寝てたんですけど。

 なんだよもう……。


 ていうかなんか京の、あいたっ、とかいうのが聞こえてきたけど。


 ……ああ、こいつまた用心棒スタイルで扉の前で寝てたのか。

 寝てたとこに急に扉開かれたから背中ガンってなったんだな。

 ……いや隙だらけじゃねえか、全然用心棒じゃねえよ。







「お急ぎくださいっ」


 執事が案内しながら急かしてくる。


「ちっ」


「こらっ、急かすな、龍臣は睡眠を邪魔されるのが大嫌いなんだぞっ、聞いたか今の廊下に鳴り響くような舌打ちを」


 京が俺の内心をわかりやすく言葉にしてくれる。


「も、申し訳ありません」


 そして急いでんだかゆっくりなんだか微妙なスピードでヒゲ王の部屋に着いた。


「おおっ、安田殿」


 王様が慌てた様子で話しかけてくる。


「なんかあったんですか?」


 ザマスおばさんに角王妃もいる。

 あ、よく見たら鈴木さんとかカワウソ達とか俺のパーティーみんな居んじゃん。


「安田殿、バイサクが居なくなってしまったようなのだっ」


「え!?ブーちゃんが!?」


 聞いたところ、ブーちゃんは俺達と飯食った後普通に自室で寝て、執事だかメイドだかが夜中に見回っている時にはすでにベッドに居なかったらしい。


「扉の前の騎士は部屋には誰も入っていないし出ていないと言っているのだが」


「じゃあ、ちょっと待って」


鑑定結果


ブーちゃんは昨日の夕食時に安田達が話していた世界樹の地下にいるという魔物を、秘密のうちに退治してみんなを喜ばせようと思い金太郎スタイルでまさかりではなくスコップを担いでひそかに出ていきました。

無駄に高いレベルにものをいわせて窓から飛び出していきました。

今は世界樹をクライミング的に降りて根本の辺りにいます。

英雄の遺伝子がこれでもかと発揮されているすごい行動力ですね。



「あ、浅はかだわ。子供の浅はかさが爆発してるわ~」


 ブーちゃん、魔物がいるのは地下五千メートルだ。

 スコップじゃ無理よ。


「ど、どうだろうか安田殿、バイサクはどこに!?」


 俺は子供らしい浅知恵と無駄に高いレベルが起こしたブーちゃん失踪事件の内幕を心配している家族に教えてやる。


「……バイサク」


「……これは、とんでもないお説教ざますね」


 王様は頭かかえて、ザマスおばさんは激オコだ。


 まあ、世界樹には魔物はいないからな。

 そんな心配することもないが、とりあえず迎えにいくかね。


 一応俺のパーティーみんなと騎士団で迎えに行くことになった。

 激オコザマスおばさんもいる。


「ねみいよ」


 眠い眠い眠い。

 それしか頭に浮かばない。


「ブーちゃんくんはどうしてそんなことしちゃったの?」


「……昨日の話ちゃんと聞いてたみたいだわ。興味ない感じで唐揚げ食ってたから俺も気にしなかったけど。なんか秘密のうちに魔物倒してみんな喜ばせようとしたみたいだね」


 ただその魔物は地下五千メートルにいる上に母親がカンカンに怒ってることにブーちゃんは気づいてないだろうけどね。

 見通しがプリンの底のやつくらい甘い子供の計画性が出ちゃったんだな。

 まあ、子供にはよくある話だ。

 その子供に窓から飛び出して世界樹の根本まで体一つで降りる体力があるのは世界初の話だろうが。


「申し訳無いざます。うちの息子が」


「いえいえ、優しい息子さんじゃないですか」

「そうですよ」


 申し訳なさそうなザマスおばさんを鈴木さんと東くんがフォローする。


 騎士団やら仲間と昇降機で根本に降りる。

 ブーちゃんは秘密にしたかったからか昇降機すら使わずに降りている。

 昇降機には管理している騎士達がいるからだ。

 彼らに見つからずに昇降機を使うことはできない。

 なんなんだ、変なとこでちゃんと秘密裏に行動しやがってからに。


「そろそろ根本です」


 騎士が到着を教えてくれる。

 さて、どこにいるんだか。



鑑定結果


ブーちゃんは今海賊と戦っています。



「なんでやねんっ!!」


 あ、関西人でもないのになんでやねんっ、が口から出てしまった。


 みんなびっくりしてこっち見てるが、今はそれどころじゃないな。


 いやていうか何?

 なんでそんなことになった!?

 当初の目的と全然違うじゃんっ。

 スコップ持って出ていってなんで海賊と戦うのっ!?

 関連性が無さすぎて驚き通り越してもはやおっかないんだけどっ。



鑑定結果


世界樹の根本で穴を掘ろうとしていたところむりやり子供を連れて行く集団を発見したブーちゃんは怪しいと後をつけていって海賊船を発見したので大暴れしている次第です。



 おおうっ。

 よくやったのかなんなのか。


「ブーちゃんが海賊と戦ってるわっ」


「はあ!?」

「ええ!?」

「なに?」


 そりゃみんなびっくりだわ。


 カーンッカーンッカーンッカーンッカーンッ!!


 んん!?なんだこれ!?

 辺り一帯に突然でっかい鐘の音が鳴り響いた。


「警戒警報!?」


「何かあったのか!?」


 騎士達も騒ぎだした。

 警戒警報?

 ああ、海賊出たからかな?


「ブーちゃんが人さらいの海賊と戦ってるっ、まんじゅうっあっちだっ」


 リンリンリンっ。


 了解のリンリンリンと共に、みんなを抱えて俺が指差した方向にまんじゅうが飛び立つ。


 ギャンッ。


 ガキンッ。


 ギンッ。


 まんじゅうの高速移動で、現場に近づいて行くと何やら金属音が鳴り響いている。

 やべえっ、めっちゃ戦ってるわ。


「第三騎士団、いくぞっ王子をお助けしろっ」


「「「おうっ」」」


 まんじゅうが離した騎士達がブーちゃんのとこに駆けつけようとしている。







「余の民に手を出すなあああああっ!!!!!!」





 おおう!?

 ブーちゃんのすごい咆哮と共に金色の光が溢れだしているっ。



挿絵(By みてみん)



 ……おおう。

 ブーちゃんが……何やらえらいことに。





 そして俺達が加勢する前にブーちゃんは海賊達を倒してしまった。


 なんやねんもう、なにこの一連のごたごた。


「バイサクっ、なんざますかっ!!勝手に夜に出歩いてっ」


 そしてブーちゃんは結局普通に怒られた。

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