表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/24

第二章 15話 呪いを解くとはこういうことなんだろうか。

書きあがったので更新します。

短めです。

「ジュラルミン」


「月極」


「ゲシュタルト崩壊」


「スライサー」


「バードディスクドライブ」


「んー、サスペンダー」


「鈴木さん、サスペンダーはダメ、ギリギリアウト」


「安田くん、これ難しいよ。ルールを明確にしよう」


 平和だ。

 ダンジョンのある島に帰って来てから俺の愛する平和な日常が戻ってきた。

 なにせ平和過ぎて鈴木さんと日常に潜む必殺技っぽい言葉合戦をやってしまっている。

 それほどの平和さ加減だ。


 今はダンジョン島から出発して二日目、飛行船でゆらゆらとユニコーンの森に向かっている最中だ。

 ちなみに飛行船は一機しか飛んでいない。

 騎士団の飛行船は何人かの騎士を乗せて先に国に戻って貰っている。

 解決したとはいえ向田さんのゴタゴタやらそもそもナピーナップの神話に出てくる向田さんが今も生存していたので、それらの衝撃の事実を伝えて貰わねばならないからだ。

 騎士団の隊長や、何人かの騎士は王子の護衛としてこっちの飛行船に移動して貰っている。


「ご飯ができましたよー」


 お、カワウソコックのモモさんが昼食の呼び出しをしてきた。

 よし、飯だ飯だ。


「これは旨そう」


 昼食は豚カツと味噌汁に漬物、あと何らかの煮物という分かりやすい日本食だった。


「うむ、旨い。相変わらずモモは腕がいいな」


「ありがとうございます。奥方様」


 カワウソ達は相変わらず京をあれな呼び方をする。

 うん、やめてほしい。

 そう呼ばれる度にあの女こっち見てニヤニヤすんだよ。


「しかし、奥方様の刀は、素晴らしいですね」


 カワウソ侍のリンゴくんが京の刀に着目している。

 あ、そうだ。

 あの刀鑑定せねば。


「うむ、三池典太という約千年前、平安時代末期にいた刀工の一派の作でな。私も昔一振り持っていたんだが、西南戦争でダメにしてしまったのだ」


 エピソードが歴史の波にもまれすぎている。

 あ、ていうか鑑定しよう。



アイテム名 刀・三池住元真


分類    武具

攻撃力   125

レア度   A

価額相場  35000000G~40000000G


効果及び説明


崩壊の力が生んだ闇が地球から転移させてきた本物。

しかし、転移する過程で崩壊の力に染まっているために変異し、刀であって刀でない存在になっています。

分かりやすく言えば呪われています。

唯川京が装備し続けると数百年の後に邪神化する可能性があります。




 呪われてんじゃねえかっ。

 ええ!?じゃあ封印か?もう海にでも捨てる?

 でもあれお高いんでしょ?

 どうにかできんのかな?



鑑定結果


まず鍋いっぱいの熱湯で1時間ほど煮込みます。

そして刀を取りだし熱湯を捨てて、再度煮込みます。

この時にネギの青い部分とショウガを入れて一緒に煮込んで下さい。

そして2時間ほど煮込めば崩壊の力が裏返り再生の力になります。

すごいことになります。



 マジでか。

 こんなもつ煮の下準備みたいなことすればなんとかなんの?

 ……マジで?……。


「京」


「んん?なんだ龍臣」


「ちょっとその刀見せて?」


「……龍臣、刀というのはな芸術品の側面もあるのだ。いくら龍臣の頼みとは言え、そんなトンカツの油がついた手をしてるやつにおいそれと渡す訳にはいかない。石鹸で手を洗って、ちゃんと水を拭いて濡れてない手にしてきたら見せてやる」


 ……めんどくせえ。

 俺は台所に行って石鹸で手を洗う。

 そしてちゃんとハンドタオルで手を拭く。

 そして食卓に戻る。


「じゃあ、ちょっと刀見せてみ?」


「……構わんが、私の刀をどうするのだ?」


「鍋で煮込む」


「絶対に渡さない」


「いいから寄越せよっ」


「絶っ対渡さんっ、何でだ!?何で鍋で煮込む必要があるっ!?」


「それ呪われてんだよっ、呪い解除してやっから鍋で煮込ませろっ」


「呪いっ!?……いややっぱり意味がわからんっ、なぜ煮込む必要があるっ!?」


「ただ煮込むだけじゃねえっ、一回お湯で煮込んで二回目はネギとショウガ入れて煮込むっ」


「それモツの下処理じゃないかっ!?」


 そしてぎゃーぎゃー言い合った後にしぶしぶ、超しぶしぶ京は刀を渡してきた。


 目の前にはでっかい鍋たっぷりに入ったグツグツいってる熱湯がある。


「……はああ、見てられない……」


 京が両手で顔を覆っている。

 いやでもしょうがない。


 それドボン。


 バシャッ。


 ぐっつぐつの鍋に刀が飛び込む。


「ぎゃーっ」


 なにやら吸血鬼の断末魔が聞こえるが、しょうがない。


「このまま1時間待ちます」


「い、1時間も煮込むの?」

「……シュールな光景ですね」


 鈴木さんと東くんもびっくり顔だ。


「よし、ゲームでもして待とう」


「ゲームするなっ、せめてそばで見守っててくれっ」


 めんどくさいなあ。


挿絵(By みてみん)


「はどう○んっ、はどうけんっ」


「余のスーパー頭突○を食らうがいいっ」


「しょうりゅうけ○がでないっ難しいっ」


 子供達が楽しそうにゲームをやっている声が遠くに響くなかで、俺と京は鍋の前でじっとしている。


「はああ、私の刀~」


「いやお前のじゃなくて、偽柳生さんのだろ?」


「倒したんだから、もう私のだ」


 おう、ジャイアニズム。


 そして、1時間煮込み終わってから、今度はネギとショウガを入れて2時間煮込みます。


「ネギとショウガ入れる必要ないだろう!?なんの臭みを取る気なんだ!?」


 いや俺だって知らんよ。

 はい、ネギとショウガを入れまーす。


 バシャバシャ。


「ああっ!!」


 そしてまた2時間待つことになります。

 ゲームとかやりたいわー。


「……ゲームやりに行ったらさすがに私も怒るからな」


 機先を制された。


「……くう、私の刀が~」


 吸血鬼の女王様はもう涙目だ。そして目線は大分険しい。


「……まあ、今度なんか買ってやるから、機嫌なおしなさいよ」


「……じゃあ、着物を買ってくれ」


 まさかの着物。


「わかったわかった」


「白無垢な」


「はいはい」


 ……………………………………んん?、……白無垢?


 ……しまった。

 吸血鬼の女王が一転してニヤニヤしてやがる。




 そして2時間後。


 おう?ああ、赤くなってるわ。

 ぐっつぐつの鍋の中で黒色の鞘が赤い色の鞘になってる。

 いや、海老じゃないんだから。



 フアァァァァ。


 おう、なんか鍋のまわりに白い光が溢れだしたぞ。


「うわっ!?」

「なんだ!?」

「光が」


 離れてなんかやってたみんなも異変に気づいてこっちに注目してくる。


 シュウウウウっ。


 光が収まり、鍋の中で刀が輝いてる。



アイテム名 刀・三池住元真・真打ち


分類    武具

攻撃力   135

レア度   ?

価額相場  155000000G~160000000G


効果及び説明


再生の力を纏った名刀。

崩壊の力によって生まれた存在に特効あり。

HPが+150、ステータスのSTR、AGI、VIT、INT、MNDにそれぞれ+10の補正がかかる。



「……まさかの結末だな」


 京が刀を抜いて笑ってる。

 お、よかった錆びたりもしてないな。


 そして吸血鬼の女王様に強力な武器が備わったところで、俺たちはユニコーンの森に向かう。



「龍臣、白無垢だからな」


「……はいはい。いつかな」


「んふふ、いつでも構わんぞ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ