royal battle royal⑦
少し間が空いてしまいました。しかし絶対に止めはしません。必ず完結まで物語は動かします。
ロザリオはポケットから小さな本を取り出した。
それに対抗して俺もポケットから魔法陣の書かれた紙束を足りだした。今、俺のポケットの中にはいくつかの紙束がまとめて入れてある。それらはひもで閉じられていて、グループごとに異なる操作を命じる仕組みになっている。
しかし……あれはなんだ? 本? 戦いの途中に?
もしかして、魔道学園で先生たちが使っていた奴の一種か?
「おや、これが気になりますか?」
ロザリオはキザな眼鏡を右手の中指でくいと上げると、俺を馬鹿にするように言った。
「気になんかなるかよ。俺はお前に怒ってんだ」
嘘だった。気にはなる。
が、怒りの方が大きいのは本当だ。たとえどんな理由があったとしても、アイラを悲しませるなんて許さない。
「なるほど。なら説明は不要ですね。すぐに死なせてあげましょう。ラン―チャプター1、炎の章」
ロザリオが偉そうに言った瞬間、ロザリオの持つ本が光り、ページがパラパラとめくられる。そして次の瞬間。炎が轟轟とうなりをあげて俺の方に向かってくる。
「ラン!」
急いで発動したのは、三つの魔法陣。一枚の紙に書かれたそれらは、命令式に従って実行される。第一の魔法陣で魔素が水へと変換され続ける。そして第二の魔法陣ではその水から熱量を奪い、俺の右手に集中させる。そして、第三の魔法陣で魔素を風へと変換し、土の壁のない場所からその熱量をロザリオに向けて放つ。
炎は土の壁を黒焦げにしたが、何とか俺にダメージを与えるのは防いでくれた。
その一方で俺が自ら奪った熱量はロザリオに向けて移動していく。大した熱量ではないが、少しぐらいはダメージを与えられるのではないか。
そんな微かな期待を抱いていた。
「ラン―チャプター2、氷の章」
ロザリオが本を片手に言った瞬間。ロザリオの目の前に巨大な氷が現れることとなった。俺が放ったちゃちな熱量は氷の壁に当たって少しだけ氷を溶かした。
「おや、たったこれだけしか溶かせないとは。この本を使うまでもなかったかもしれないですね」
ロザリオはにやつきながら言う。そしてさらには。
「アイラさんはこれから私と結婚します。アキヤマ、とか言いましたっけ? 最後に何か言い残すことはありますか?」
と挑発してきた。
「はぁ? 俺はお前に勝つ未来しか見えねぇ」
「それが本当なら、あなたはよほどの大バカ者ですね。力量差すら見抜けないとは。魔導士失格です」
はぁ、と大きなため息をついてロザリオは俺を睨んだ。
「なぜこのようなものがダンテを倒せたのか。非常に疑問です。さっさと死んで私の視界から消え去りなさい。ラン―チャプター3、土の章」
ロザリオが口にすると、目の前に土でできたゴーレムが何体も生成される。
「今度はゴーレムかよ。あの本、どうなってやがんだ」
「アキヤマさん! もういいです! ロザリオさんは魔法協会の上位の幹部です! 勝てるわけがありません! さっさと逃げるのです!」
遠くでアイラが叫んだが、知るか。
「ヤダね! 俺は……もう逃げないって決めたんだよ」
この世界ではな、と心の中で付け加える。
「俺だって、無駄に過ごしてきたわけじゃねぇ。ゴーレムの扱いなら、俺だって猛特訓してきたんだぜ?」
ニヤリと笑って一枚の魔法陣を発動させる。
「ラン!!」
魔法陣が光り、目の前にロザリオが出したのより少し小さいゴーレムが召喚された。
しかし、ロザリオが出したのとは形が少し違う。ロザリオの出したゴーレムは関節が土でつながっていて、大きくパワーはありそうだが、動きはそこまで早くない。
それに対して俺のゴーレムは、ゴーレムという名にはあまりふさわしくない。どちらかと言うと人形と言った方が正しいかもしれない。
この世界に人形という概念が存在するのかは確かめたことはないが。
関節には球体型の土の塊が押し込まれ、自由に関節が動くようになっている。少し小ぶりではあるが、思った通りの造形だ。これを組み込むのにどれだけ苦労したことか。
「あとは……」
俺の目の前にプレイ○テーションのコントローラのような造形の土の塊が作り上げられ、俺はそれを手に取った。実際にはこのコントローラは形を持っている必要はない。俺が頭の中でできればそれが一番なのだが、なんせ高等技術。
というか腕を動かすだの足を動かすだのいちいち考えていちゃあ動かせない。
そこで、命令式に組み込んでしまうことにしたのだ。
コントローラにしてしまえば、スティックを動かせばその方向に動く命令式を組み込む。Aボタンを押せばパンチを繰り出す、Bボタンを押せば走り出す(いわゆるBダッシュってやつ)みたいに組み込んでいくことで戦闘時の思考を省くことが出来る。
「ほうほう、実にひ弱そうなゴーレムですね。一ひねりにしてあげましょうか」
ロザリオは俺を睨んでゴーレムを俺のほう……というか俺のゴーレムの方へと動かした。おそらくはまずはゴーレムをぶち壊すつもりなのだろう。
ま、そうはさせないけどな。
俺は不敵に笑ってコントローラを握った。




