royal battle royal①
俺は必死にシンシアが作り上げた階段を登った。シンシアもそんな俺についてきて、俺たちは王城に足を踏み入れることになった。目的は一つ。魔法教会の魔の手からアイラを救うこと。俺たちはただただ上を目指した。
「階段がないなら作ればいいじゃない」の精神でシンシアが作り上げる階段をひたすら登っていくと、途中見覚えのある顔に出会った。ちょうどシンシアが作った階段で3階に上がったところで出くわした。
「アキヤマ!? なんでこんなところにいるんだ? ガハハ!! やっぱり妙なやつだな!!」
その笑い声から一発でわかる。そこにいたのはジャックだった。隣にはこの前見かけたジャックの右腕とみられる人物が一緒にいた。
「ジャック!! それにグレイシーさんも」
「奇遇だな。アキヤマ。お前も上に用事があるのか?」
ジャックは俺の顔色を伺った。
「ああ。ちょっくら救わなきゃならない奴がいてな」
「そいつは丁度いい。俺たちもそのお嬢ちゃんが奴らの思い通りになられちゃ困るんだよ。ここは共闘と行かんか? アキヤマ」
ジャックは俺の目をまっすぐ見て言った。それはありがたい申し出だった。もちろん目的が一緒なら協力するのはむしろ嬉しい。
「ああ。もちろん望むところだよ」
「そうか。なら、道は……これより上にはその魔法では行かないほうがいい。魔法の無駄遣いは避けるんだ。上にはヤバいのが何人かいるみたいだからな!! ガハハ!!」
ジャックはまるで楽しんでいるかのように笑った。俺はなるべく戦いたくはないんだけど。
「それじゃあ、上への行き方はわかるのか?」
俺の言葉に、ジャックはバカにするなと言うような目をして肩をすくめた。
「もちろんさ。俺たちについてこい」
そのジャックの言葉を信じ、俺とシンシアは氷の階段を降りてジャック達の後に続いた。
「ところでアキヤマ達は何をしてたんだ? すでにボロボロのようだが」
ジャックは問いかけた。俺はすでにボロボロに服が汚れていたから疑問に思うのも無理はなかった。
「ちょっくら害獣退治をな」
その言葉を聞くとジャックはガハハと笑った。
「ガハハ!! ちょっくら、か。成長したもんだな。アキヤマ」
「そんなことはないさ。俺はいつも助けられてばかりだ。……そういえば、紅蓮の牙に一つ頼みがあるんだが、いいか?」
「なんだ? 突然に。害獣退治とやらに関係があるのか?」
「ああ。地下でまだアランが戦ってるかもしんねぇ。怪我をしているかも。だから、手の空いている紅蓮の牙のメンバーに助けに言ってもらえないか? もちろん無理にとは言えないが……」
俺の頼みを聞いて、ジャックよりも隣にいたグレイシーの方が先に返事をした。
「そんなの。手の空いているメンバーなんているわけないでしょう。今がどんな状況かわかってるの?」
「ガハハ! アキヤマ!!! いいとも!! その代わりお前が活躍してくれよ!!」
グレイシーの言葉を無視してジャックが返事をした。
「ちょっと! ジャック!?」
「なぁに。問題ないさ。今回の山はここで終わる。むしろここが頂上決戦になる。アキヤマ達にとっちゃ来ていきなりって感じなんだろうがなぁ。問題ない。俺が保証する。ガハハ!!」
「もう……」
グレイシーは悩ましげに金色の前髪をかきあげた。
「わかりました。地下に紅蓮の牙を派遣します。……キメラの件を解決してもらったのならそれぐらいはすべきです……か」
グレイシーは最後の方を小声で言っていてよく聞き取れなかった。
そんな風にやりとりをしながらも、体は一心に城の上を目指していた。4階からは螺旋階段が続いていて、ただただ俺たちは景色の変わらない室内を必死に駆け上がった。
そして、俺たちは広い部屋へとたどり着いた。
「ここは……修練場?」
「ガハハ!! そうみたいだな。こんなところにあるのもおかしな話だが……」
俺とジャックがそう話していると、広い室内の奥にある扉が開き、二人の人影が現れた。
「えらく楽しそうじゃねぇかぁ。なぁ、ジュリオン」
「そうね。でもアレスだって楽しそうよ」
「そりゃあなぁ。これから気にくわねぇ奴らを思う存分ぶっ飛ばせるんだからよぉ!!」
そう会話しながら近づいてきたのは、アマネで初めて会った魔法教会幹部の二人組、アレスとジュリオンだった。相変わらずアレスは偉そうな口調で、ジュリオンのほうはまだどんな人なのか判断できなかった。
「ガハハ! アレスじゃないか! こんなところでどうしたんだ? 俺と遊びに来たのか!?」
「チッ。相変わらずなみてぇだな。ジャック。今日はお前を殺してやるよ」
「それは無理な話だなぁ? アレス。悪いが今日はお前に構ってやる暇はないんだな、これが! ガハハ!!」
「あぁ!? テメェは俺が殺す!! 何があってもだ!!」
「そうはさせない。ジャックは先に行って」
グレイシーはかけていたメガネを外すと、臨戦態勢に入りながらジャックにそう指示した。
「アキヤマも……行っていい。私はちょっと遊んでいく……」
シンシアもシンシアでそう言ってくれた。そうしてアレスとジュリオンの相手はシンシアとグレイシーがすることになった。
「悪いな!! 頼んだ!!」
「ガハハ!! いい展開じゃねぇか!!」
俺とジャックはそういうとアレス達に目もくれず向こうの扉を目指した。
「そうはさせるかよぉ!! ボアドラゴニア!!」
アレスから俺とジャックに向かって竜型の炎が放たれる、が。
「アイスウォール」
シンシアの放った魔法によって俺とジャックの行く道は氷で壁ができて攻撃から防がれた。結果として俺とジャックは先へと進むことができた。
そしてその場にはシンシアとグレイシー、アレスとジュリオンだけが残された。
「オイオイオイ。お前ら。覚悟はいいのか? 俺様の邪魔をしてくれたんだ。簡単には死ねねぇと思え」
「……私たちが勝つんだからそりゃ死なない……?」
アレスの煽り文句もシンシアには通じない。その様子になぜかジュリオンが笑った。
「はははは! アレス! ダッサァ! ははは!」
「ウルセェブス!! さっさとあいつらヤってジャックたち追いかけるぞ!!」
「はいはい」
ジュリオンとアレスはそう言い終わるとキッとシンシアとグレイシーの方を向き直った。新たな戦いが始まろうとしていた。




