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magi code  作者: ロジカル和菓子
3章 魔道学園、スクオラ編
73/167

triangle scramble③終

[1. cancel in your recognition ,end]


「へ?」


 シンシアに渡された魔法陣には一文だけが書かれていた。その意味はもちろんわかるし、その魔法陣が意味することもなんとなくは想像できた。もし魔法の実行をキャンセルできるとしたら、この魔法の熟達したダンテ校長をも倒せるかもしれない。そう希望を抱いて、魔法を実行した。


「ラン!!」


 ……


 ……


 何も起きない。


「アキヤマ?」

 シンシアは心配そうに俺を振り向いたが、俺は大丈夫だとアイコンタクトする。


 ダンテもそんな俺たちを待ってくれるはずもなく、再び攻撃を仕掛けて来る。そしてそれをシンシアが防ぐのだが、先ほどまでの元気はさすがにシンシアにもなく、ダンテの攻撃をしのぐのが精一杯のようだった。


「何がいけないって言うんだよ〜……この最後の部分がダメなのか? 認識内……俺の魔法効果の範囲の認識ができていないってことか」


「ブツブツとうるさいのう!!! ほれ!!!」

 シンシアとの戦いの最中、ダンテは俺にも黒い炎を放ってきた。必死に避けて、思考の先へゆく。


「もう面倒じゃのう。シンシア。終わりにしようかの? ……ラン」

 ダンテの取り出した紙に書かれた魔法陣が光ると同時に、ダンテはシンシアの後ろに移動していた。


「アリスにできることがわしにできんはずなかろう? ……マギドレイン」

 ダンテのショートカット魔法が発動すると、ダンテは右手をシンシアの首元にあてた。緑色の光を放つダンテの右手は、シンシアからダンテへ何かを移動させているように見えた。

 シンシアは抵抗もできずにうなだれ、そして最後には倒れてしまった。


「さぁこれで最後はアキヤマ。お前だけじゃぞ? 命乞いでもするかの?」


「誰がするかよ」


「「ラン!!!」」


 それは大きな賭けだった。皆が倒れた中、俺がダンテに勝つ方法はほぼシンシアに渡された魔法陣しかありえなかった。そして一度は失敗した魔法を成功させること、しかもぶっつけで行うことの難しさは理解していた。


 ……でもやるしかなかった。


 アリスのときの例を考えると、身体強化はおそらく短時間しか効果を発揮しないものだと予測できた。実際アリスはあのあと超速で移動することはなかった。そしてダンテが次に行う魔法も、予測できていた。


 おそらく、ダンテは俺を痛めつけて殺そうとしている。それはあのプライドの高そうな態度から予測できた。そしてさっきシンシアを倒したのと同じ方法で来る……と言うのは本当に賭けだった。他に俺を倒す方法なんかいくらでも持っているだろうし、もし他の攻撃で来ていたら結果はわからなかっただろう。


 俺が発動した魔法はさっきと同じものだ。さっきは訳も分からず実行したが、今度は範囲を絞ってみた。自分の半径1m以内。自分を包み込むような球体をイメージし、その中での魔法をキャンセルする。そうイメージして魔法を実行した。


 なぜ1m以内かと言うと、さっきと同じように来るなら身体強化で俺の後ろに回り込んだ後、マギドレインと言うおそらく名前からして魔力を吸う魔法で、俺を動けなくして痛めつけるつもりだと予測したからだ。


 球体をイメージした俺の魔法は……


「終わりじゃな。マギドレイン」

 後ろで俺の首を掴み、そう得意げに言うダンテ。俺はうなだれて、そして倒れる。


「ふむ。このまま最後まで吸ってしまって死んでもらうのもいいが……それでは面白くない。まずは目の前で仲間を殺すとするかのう?」

 ふざけたことを抜かし俺から背を向けたその時。


「なーんてな!!」

 俺は叫んだ。振り返ったダンテの左頬を右の拳で殴りつけた。勢いよく後ろに転んだダンテは、頬を抑えながら、信じられないといった目で俺を眺めた。


「……な!!! なぜ動ける!!!」


 テンプレのようなセリフを吐くダンテに説明をしてやることにする。


「演技だよ。演技。あんたの魔法は効いてなかったの! 俺から吸い取れる魔力は少なすぎるからあんたも気づかなかったんだろ! 笑えるぜ!!」

 つってもそれもシンシアのおかげだけどな。そう心の中で呟くと、二発目を叩き込むため、ダンテに駆け寄る。


「くそっ!! どういうことだ!!! ラン!!!」


「無駄だぜ。ラン!!!」


 ダンテが叫ぶと同時に俺も魔法を実行する。ダンテの魔法はキャンセルされ、俺のパンチだけがダンテに届いた。


「老人を殴るのは趣味じゃないんだけど……。ここまでやられちゃ、仕方ないよな」

 俺の正義の鉄槌、もとい右ストレートは綺麗にダンテの顎を捉え、ダンテの脳が揺れる。ダンテが倒れたとき、俺はすべてが終わったことを実感した。


「しんど・・・すぎ」


 魔法のキャンセルにどれぐらいの魔力を使うのかは、体が一番よく理解していた。二回キャンセルしただけで俺の魔力は枯渇寸前になっていたのだ。


 なんとか、持ち堪えた。


 ……そこで俺の意識は途絶えた。

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