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magi code  作者: ロジカル和菓子
3章 魔道学園、スクオラ編
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triangle scramble①

「本当は始めたくないところなんだけどな」

 軽口で時間を稼げるかと思ったが、アリスがそう甘いやつではないことは自分でもわかっていた。


「そう? なら何もせずに死ねばいいと思うよ☆ ラン」


 一言で切って捨てたアリスは何らかの魔法を展開した。アリスの近くの地面に魔法陣が現れたかと思うと、そこから刀と思しき物体が現れた。


「さあ、楽しい時間の始まりだっ!!」

 アリスはその刀を掴むと一気にダッシュして俺に斬りかかってきた。


「物理的攻撃かよぉ!」


「ぼけっとすんな!!」

 キィンと金属と金属がぶつかる音がすぐ近くで鳴り響いた。見るとアランがお得意の魔法で金属製の物差しを巨大化・硬化し、アリスの刀を防いでくれていた。


「そういえば、アランはそんなのが得意だったか。なら……ラン!!」

 アリスはアランとのつばぜり合いの最中、魔法を発動。魔法陣はどこに? と思ったが、よく見るとアリスの刀の刀身には魔法陣が描かれていた。その刀身の魔法陣が光ると刀身は黒い炎に包まれた。


「アラン!! 下がれ!!」

 一足先にその場を離れていた俺はその黒い炎を見て感覚的にアランにそう告げていた。


「チッ!! 言われなくても!!」

 アランが後ろに避けるのとほぼ同時にアリスの刀はアランの巨大化、硬化魔法のかかった物差しを真っ二つに切り裂いていた。


「何だあれ!!??」


「わかるかよ! ただヤベェってことはわかるがな!!」


 アランも俺もアリスのその魔法を見るのは初めてだったが、その異様さは一瞬にして感じ取ることができた。生物は圧倒的強者の前に立った時、本能で逃げなければならないと思う。そんな感じをあの黒い炎からは感じる。あれはやばい。本能が逃げろと警鐘を鳴らしているが、そう簡単に逃げれたら苦労はしない。


「休んでる暇はないよ☆ ラン!!」


 アリスは授業の時に見せた空気の足場の魔法を発動した。持ち前の運動神経と足場によって空中を自在に移動しながら襲いかかって来るアリス。あの刀で切られたらきっと一瞬でお陀仏だ。なのにあの機動力。チートだろ。俺がそんなふうにどうしようもないことを思っていた時。


「あなたの相手はあの二人だけではないのです!! ボアチェイン!!」


 アリスの相手をするはずのもう一人、アイラが魔法をアリスに向けて放った。初めて聞くその魔法名。新たにインクルードしたと思われるその魔法はその名前から連想する通り、ボアの連鎖攻撃だった。アリスが魔法を避けようと空気の足場を渡り歩く。が、それを追尾するように爆発が巻き起こった。


「ラン」

 面倒臭そうにアリスは魔法を展開したが、特に何が起こるというわけでもなくアイラの放った爆発魔法はアリスの方へと向かっていった。しかしアリスにいざ届こうとした時、信じられないことが起こった。……アリスがその場から消えたのだ。


 それは比喩でも何でもなく、本当に姿が見えなくなった。そして前にアリスがいた場所で爆発が起こったかと思うと、全然違う場所にアリスの姿があった。


「は?」


 俺が呆然としているのを見てアリスは笑う。


「何その顔。面白い☆ 今のはただ移動しただけだよ? 身体強化。知ってる?」


 アイラの方を見るとアイラも俺と同じように呆然としていた。


「でも四人相手は面倒臭いな〜。とりあえず二人消そうか」

 アリスは刀を地面に突き刺して、いきなり後ろを振り向いたかと思うと何もない場所に左手を伸ばした。

「そんな魔法通じると思ってたの? 舐められたもんだなぁ☆ でもまぁまず一人」


 アリスは伸ばした左手でぎゅっと何かを掴むジェスチャーをしたかと思えば、右手を同じ方向に伸ばした。すると急に何もないところからルシエラの姿が現れた。アリスの伸ばした左手はルシエラの首を掴んでいる。すでにルシエラの意識はないようだった。


「認識阻害の高度版ってところだろうけど、甘い甘い。認識阻害があるってことは認識を強調させる魔法もあるってことぐらいは知っとかなきゃダメダメ。ってああ、もう意識ないか」


「ルシエラに何をした!! アリス!!」


 意識のないルシエラに向かって話しかけていたアリスに言葉を投げかける。アリスはルシエラを話すとどさっという音とともにルシエラは地面に転がった。


「何って、魔力を浴びせただけだけど」


「どう言うことだ!!」


「んー? ……そっか。アキヤマはいきなりのSクラスだから普通の授業受けてないのか。なら教えてあげる。アリス先生の魔法講座〜!!」


「ふざけてるのか!!」


「ふざけてないよー。真面目だよ☆ 今のはー、ルシエラちゃんの体に、ボクが無理やり魔力を押し込んだだけだよー?」


 相変わらずの様子でアリスは俺の言葉に答え始めた。


「人の体内には魔力が流れていて、魔法陣によってその力は現象として現れるんだよねー。その魔力の流れは血液みたいに人の体内を巡っててー。まぁつまりその流れを無理やり自分の魔力で変えてやったら、人の体は不具合を起こすってわけー」

 あくまで遊んでいるかのように振る舞うアリスにイラつくが、今は感情に振り回されている場合ではない。


「な……。おいアラン。あいつの言っていることは本当なのか?」

 俺は思わずアランに意見を求めた。それにアランはすぐに答えてくれた。


「ああ、そうだよ。だが、人の体内に魔力を流し込むなんて真似、普通のやつにはできねぇよ。まず普通の奴は魔力を自在に操ることなんかできやしねぇからな。俺だって魔法陣を使うことでようやく魔力を認識できているだけなんだ」


「そうなのか……ルシエラは大丈夫なのか!?」


「多分今は意識を失ってるだけだ。でもしばらくは起きねぇぞ」


「そっか。よかった」


 アランの言葉を聞いて俺は安心した。しかし、仲間が一人減ったのには違いない。


「んじゃ、もう一人行きますか」


 アリスがそう言い、またアイラが「え?」と言う言葉を発すると同時に倒れるまで、俺はアリスが何をしたのかわからなかった。気づけばアリスはアイラの後ろに立ち、ルシエラと同じように刀を持っていない右手をアイラに向けてかざしたかと思えば、アイラは倒れたのである。


「こんなの反則だろ……」


 そう愚痴をこぼすと同時に都合よく他の二人が勝ってたりしないだろうかとシンシアとラストールの方を見るが、どちらもまだ戦闘中だった。


 シンシアは圧倒的な氷の山をソレイユにぶつけ、またソレイユはそれを青い炎の魔法で溶かしたり、逆にソレイユが青い炎で攻撃するのをシンシアが氷の壁を作りしのいだり、一進一退の攻防が続いているようだった。


 ラストールの方はというとラムザールが召喚したかまいたちを土の塊で押しつぶしているところだった。しかし、それに一切動じないラムザールは風の刃の魔法でラストールを攻撃していた。こちらもまだ決着はつきそうになかった。


「俺たち二人でやるしかねぇよ」

 アランは周りの戦況を伺う俺の姿を見て、励ましの言葉をかけてくれた。


「そうだな……」


 相変わらずダンテは偉そうに後ろで踏ん反り返っていて、俺は一つの目標を立てた。


「あの偉そうな校長に一発ぶん殴ってやらなくちゃ気が収まらねぇしな」


「……そうだな。手伝ってやるよ」


「まずはボクを倒してからだってこと、わかってる?」


 ダンテの方を見て会話をしていた俺とアランにアリスが牽制をかけた。


 そうだ。まずはアリスをなんとかしないと。


 二人が先生たちと戦っている間に。


 アリスと一対一で戦えている間に。


 

ラストスパートじゃー

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