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magi code  作者: ロジカル和菓子
3章 魔道学園、スクオラ編
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模擬戦①

 その日は気持ちのいいほどの晴天だった。


 とはいえ、授業の時に使っていたいつもの空間で模擬戦は行われるため、天気は関係ないのだが。


 教室に入ると、クラスメイトたちはみないつもと違う雰囲気を纏っていて、それは緊張感からくるものなのか。それとも相手に負けてなるものかという対抗心からくるものなのか。はたまたそのどちらもなのかはわからないが、とにかく非日常的な雰囲気が場を支配していた。


 そんな空気の中教室でしばらく待機していると、誰かが話しかけてくることもなく、授業開始の鐘が鳴った。講師が不在のまま授業の鐘がなるのは初めてのことだった。というか、そもそもこれまでは授業開始までに転移していたのでなっていたのかどうかさえ知らなかったのだ。


 そしてまたしばらく後、静寂を破ったのは教室の扉が開く音だった。入ってきたのはラストール。一番まともな教師で安心した。


「すいません!遅れてしまって……。少し朝の会議が押してしまって。いえ、それもいいわけですが。みなさん準備はよろしいようですね?」


 入ってきてすぐラストールがそういうと生徒は皆頷いた。その様子を見てラストールは再び口を開いた。


「では早速ですが……。移動しましょう。ラン!」


 教卓の転移魔法陣が展開され教室にいた人は皆いつもの空間に移動した。そこには昨日のように土や木があるわけではなく、何もない空間が広がっていた。


「無事皆移動したようですね。では早速ですが月例の模擬戦を行いたいと思います。対戦相手はすでに告知してある通りです。それに関してはよろしいですね?」


 ラストールはそこで言葉を止めると、みんなの反応を確認して再び口を開いた。俺に関しては昨日起きて昨日知ったんだけどな。


「ルールは簡単です。いつもと一緒。闘技場のリングでダウン10カウントか、場外に相手を追いやったら勝ちです」

 ルールは初めて聞いたが、なんだまるで格闘技じゃないか?


「それでは、最初の試合、アリスとシンシア。あの印がついているところに移動してください。みんなはもうちょっと下がって」


 ラストールは遠くの床にある二つの印を指差し言った。闘技場のリングは? 全く見当たらないが。


「はいは〜い。んじゃ、シンシアちゃん。お・て・や・わ・ら・か・に・ね☆」


 アリスはまたシンシアを挑発するがシンシアは相変わらずの無反応。


「チッ」


 アリスの舌打ちだけが耳に届いた。え、模擬戦って毎回こんな雰囲気でやるものなの?


 その後二人は静かに印のある地点まで移動すると、ラストールは魔法陣の書いた紙を取り出し、発動させた。


「ラン!」

 するとアリスとシンシアが立っていた地点の中点を中心とした円上に突如……ビーチが現れた。きっちり円内だけがビーチであり、その外は何もない空間だった。それは奇妙な光景だった。


「おっ。レアじゃん。海だー☆ シンシアちゃん!泳ごうよ☆」


 アリスはまたもや挑発なのかシンシアに言葉を投げかけるが、これに対しシンシアは一言。


「泳ぐわけない」


「ま、だよね〜。あ、てかやっと口開いてくれたね☆」


「御託はいい。さっさとやる……」

 茶化すアリスをぴしゃりと一言。そこから二人の雰囲気は一気に変わった。二人とも黙りながらお互いの動きに注目しているが、二人とも全く動かない。かと思えば。


「「ラン!!」」


 二人ほぼ同時に魔法陣を取り出し、実行。二人の魔法陣が光りだす。と、同時にアリスの魔法陣からドラゴンの頭のような形の先端をした炎が放たれ、シンシアの方へとまっすぐ進んで行った。


 一方シンシアの方からは先端が氷の槍、その後ろに水が続くという不思議な魔法が放たれていた。その魔法もアリスに向かって一直線に向かっていき、先端だけだった氷はどうやらだんだん後ろに広がって行っているようだった。水を放ちながら先端から凍っていくと行った感じだ。


 二人の魔法は二人の中間でぶつかりあって相手の魔法を蹴散らさんとその威力を競い合った。しかし、どちらかが押し負けることはなく再び膠着状態となった。


「「ラン!!」」

 そしてまた同じタイミングで二人は魔法を実行。アリスの方は炎の周りを沿うように雷の魔法を実行したようだ。一方シンシア。ビーチの水のない側から巨大な拳型の土塊を出現させ、アリスを殴った。


 シンシアの魔法は攻撃に全てをかけていたアリスを直撃。アリスをビーチの水側へと吹き飛ばした。しかし、この前見せた空気の塊を即座に魔法で作り出し、場外に出ることは防いだようだ。シンシアの方はというと、雷の魔法を食らうことなく、すでにその場から移動していた。アリスのいる水場の近くまで。


「シンシアにしては珍しく真っ向勝負じゃない。珍しい」


「別に……」


「水に落としたかったのかもしれないけど忘れたの? ボク風の魔法すっごく得意なんだよっ☆」


「知ってる。どうせもう終わる」

 シンシアの言葉は少し文脈に合っていない。


「は? だから、どう終わるっての」


「こう終わる。グラビティ」

 シンシアはそこで初めてインクルードした魔法を実行した。それは初めて聞く名前で、どんな魔法なのかその時点では想像できなかった。


「なにそr」

 アリスは再び軽口を叩こうとしたが様子が変わった。何やら口をつぐむ。


「くっ……ひゃ……ッ!?」


 突然アリスはバランスを崩し自分の生成した空気の塊から落ちた。


 ボチャーンと景気のいい音が響いた。そしてそれからアリスは浮いてこなかった。しかし水中でアリスは体の周りに空気を纏っているようだったので、試合はまだ終わっていない。シンシアはゆっくりと水辺に近づいていき、水面を手で触り、こう言った。


「エスケイプ」


 また知らない魔法名。エスケイプ……? 逃げる……? なんの魔法かと思考を巡らせた瞬間、目の前で魔法を見ているとはいえ信じられない光景が広がった。


 シンシアが触れた水面を中心として一気に水面が凍っていき、それはビーチの水場全体に広がっていった。そしてとうとう水は全て凍りつき、再び静寂が場を包んだ。


「ほら終わった……先生。早くカウント……」


 先生も初めて見たのか、その光景に目を奪われ、カウントするのを忘れていたようだ。


「そ、そうですね。ダウンと同じ身動きが取れない状態ですし、カウントを始めますね。1、2、3…………8、9、10。シンシアさんの勝利。ですね」


「そう。それじゃ」


 シンシアはそれだけ言うとこちらに戻ってきた。っておいおいアリスはそのまま!? 凍ってんじゃないの!? シンシアが闘技場から出てすぐ、氷は溶け始め、ビショビショになったアリスが上がってきた。


「うええ……。なにあの魔法……反則だしい……」


 びしょ濡れになったアリスの服は白い部分が随分と透けていて、目のやりように困った。いや男なんだけどね!? 逆にブラとかしてないもんだから透ける範囲が広くって……って何を考えているんだ俺は。


 とにかくシンシアとアリスの試合はあっけなくそんな幕切れを迎え、そして次が、正念場。俺とアランの対決が次に迫っていた。


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