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magi code  作者: ロジカル和菓子
3章 魔道学園、スクオラ編
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続・lesson crisis① 〜風の魔法編〜

 翌日、沈んだ気持ちで教室に入り、授業が始まるのを待った。クラスメイトたちは何やら緊張した面持ちで皆静かに授業を待っているようだった。


「今日はやけに静かだな?」


 周りを見渡すと、委員長と名乗っていたリサも何やら怯えたような顔つきで席に座っているのが見えた。なんでも聞いてくれみたいなことを言っていた気がするので、この状況がなんなのかを尋ねにリサの席へと赴き、そして尋ねることにする。


「なぁ」


「……」


「なぁってば」


「……」


「おい!!」

 リサは全くこっちの声が聞こえていないようで何回呼びかけても返事がなかったので、つい大きな声を出してしまった。


「えぇっ!? 私??」

 大きな声に驚いたリサは素っ頓狂な声をあげた。


「そうだよ」


「えっと……何か用かな?」

 リサは精一杯の作り笑いを浮かべてそう言ったが、かなり余裕がないようだ。苦笑が目についた。


「何ってこのよくわかんない状況について聞きたいんだけど」


「よくわかんない状況って……あっ! そうか! 知らないのか! アキヤマくんは! どうしよ……もう時間ないよ……あ、そうだ! はい! これ! 説明する時間ないから授業終わったらすぐにそれを展開して!! 理由は先生が入って来たらわかると思うから!」


 リサは何やら焦った様子で魔法陣を渡して来た。時計をみるとすでに授業が始まる時間となっていて、すぐにチャイムが鳴った。仕方なく自分の席に戻り、先生が入ってくるのを待つ。


 ガラッとドアが開いて入って来たのは、水の授業を担当していたおじいちゃん講師、ラムザールだった。どう言うことか先生が入って来たらわかるって言ってたけど……。


 水の授業が始まった時のことを思い出してみる。教室ごと転移した後……水しかない部屋に閉じ込められて……。みんなは空気を自分の周りに作る魔法を即座に発動させていて……。思い出した。むちゃくちゃな始まりだったんだ。思い出したところでラムザールは口を開いた。


「ほい、では堅苦しい枕詞は抜きにして。はじめるとするかのう?ラン!!」


 ラムザールは即座に転移魔法を実行し、教室内にいた全ての人間が例の空間に移動させられた。ついた先はいつもと変わらない例の空間だった。特に何で溢れていると言うわけでもなく。ただ、空間の中央にポツンと一匹の使い魔が存在していた。魔法陣の内容を確認していなかったが、リサに言われた通り、移動した瞬間に魔法を発動させる。


「ラン!!」


 魔力を送り込むと、体の周りに気流が発生し、空気が乱回転し始めた。なんのために魔法が必要だったのかその時は理解できなかったが、理由はすぐにわかった。魔法を実行した直後、ジャギジャギと鋭利なもの同士がぶつかりあったような音が連続して近くで炸裂した。


 少し送る魔力を弱めると回転が弱くなり周りの様子がわかった。一匹の使い魔が連続していくつもの風の刃を送り、それをクラスメイトたちは同じ魔法で受け止めていた。


「ほっほっほ。新入り君もちゃんと防げたようじゃの? 魔法には不意打ちなんて基本中の基本じゃから、いつでも攻撃を防げるようにしておくのじゃ。それでは今回の授業内容を説明しようかの?」


 ラムザールはそう授業の説明をし始めたが、昨日と今日で気づいたことがある。……Sクラスの授業って実践ばっかりじゃん!!! 基本的な魔法は予習が基本というスタイルなのか、いろんな魔法が使えることが前提になっているのかは知らないが、こんなんばっかりじゃないか!?


「今回の授業は個人課題ではない。団体戦闘訓練じゃ。クラス全員であの使い魔、カマイタチ改を倒すのじゃ!! ただし! S+のシンシアとアリスが参戦していいのは二時間後じゃ。わしの近くでゆっくりしておくといい」


「えー。つまんなーい。二時間もじっとしとくなんて〜」

 ラムザールの指示にアリスは文句を言った。つまんないとかではなく、戦闘力的な問題で絶対いてほしい人材なんですがそれは……。


「了解……」


 シンシアは相変わらずの無反応で指示を受け入れた。渋々アリスとシンシアがラムザールの近くに行くと、授業は開始された。


 使い魔の姿は昨日のカマイタチとは全く違った姿をしていた。大きさは俺が戦わされたカマイタチの2倍はある。尻尾は前は一本だったのが、9本あり、先ほどの攻撃はその9本の尻尾から繰り出したようだ。


「おい、お前ら! 俺たちだけであいつ倒しちまうぞ!!」


 アランはすっかり怯えきっているクラスメイトたちに勇ましい声をあげた。それに呼応してクラスメイトたちの士気が上がったようだった。幸いカマイタチは先ほどの攻撃からしばらくこちらの様子を伺っているようだったので作戦が立てられそうだった。俺は感心してアランの方を見ていると、リサが後ろから近づいて来て声をかけて来た。


「さっきは説明する時間がなくてごめんね? そもそも昨日の授業の時も言ってあげとくべきだったんだけど……。君入学即Sランクだったからあれぐらいできると勝手に思っちゃってて……」


「ああ。そのことはもういいよ。んで? なんか教えに来てくれたんでしょ?」


「うん。そうそう。あのラムザールって先生(じじい)はね? 人が悪いで有名な講師なの。これまでも散々な授業をふっかけて来た……って言ってもここの授業の難易度はどれもあんなもんなんだけど。それはそれとして、その人が悪いラムザール(じじい)は授業の始めにだいたい不意打ちの攻撃を仕掛けてくるの。だからその授業の属性に合わせた防御魔法を即座に展開しないといけないってわけなの」


 このひとの良さそうなリサを持ってしてもじじいと呼ばせるラムザール、相当ひどい授業をこれまでして来たんだろう。というか今回の授業ももしノープランで臨んでたらなんなら死んでたぞ!? 俺がそんな感想を心の中で念じていると、続けてリサは口を開いた。


「そしてね? その人の悪いラムザールが出す課題。特にクラス全体で臨む課題なんてのは難易度がめちゃくちゃなの。加えてS+の二人は二時間後に参加。これが意味するところはね? この授業はSクラスの人達にとっては少し意味合いが異なってくるってこと。ラムザール(じじい)は倒すのが課題って言ってたけど、私たちにとっては実質二時間生き残ることが課題なの。わかった?」


「あ、ああ」


「それじゃ。無理だけはしないでね? あのじじいの授業、これまで怪我人……というか、死者続出だから」


 とうとうじじいという呼び名になったということよりも、最後に言った言葉が脳内を駆け巡った。そのことについてもう少し追求したいところではあったが、皆が行動を始めたので仕方なく自分も行動を始める。何回命をかければいいんだろう。


 再び自分の命をベットする物騒な授業が始まった。

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