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magi code  作者: ロジカル和菓子
3章 魔道学園、スクオラ編
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lesson crisis⑤ 〜水の魔法編〜

 アリスはみんなの前に出るとひとりで話し始めた。


「今のシンシアちゃんみたいにやるのはとーてい無理なのでぇー、今回もさっきの狐ちゃん同様、座標の決定で捕まえたいと思いまーす」

 まるで解説するかのように言うと、アリスはすぐに魔法を発動させた。

「ラン!!」


 その言葉でアリスが持って居た魔法陣が光り始めた。

「……座標軸を固定、座標をけってーい!」


 続いたアリスのその言葉に反応して魔法が進行する。アリスが座標を決定すると、カマイタチの周りから水が発生した。しかし、カマイタチはそのままなすがままにされているはずもなく、アリスの方に向かって尻尾を振り、一文字に広がる風の刃をアリスに向かって放った。


 アリスは防御魔法を使うことなく、風の刃が届くタイミングで回転しながら高く後ろに飛ぶことで、いわゆるバク宙を行うことで風の刃を避けた。……ということはその後ろで見ていた俺たちの方に向かって刃は飛んでくるわけだが。


 ガキィン!


 それをアランが見事に受け止めていた。手にしていた金属製のものさしで。


 え? なにその主人公ぽいポーズと似合わぬ文房具は? というかそもそもなんでものさしなんだろう?ていうかなんでものさしで受け止められるの? など疑問は湧くばかりだったが、そんなことを聞いていい雰囲気ではないようだ。


「ふん! こちらのことも考えろ!」


 アランは相変わらずの態度でアリスに向かって言い放った。


「アランきゅんが止めてくれるじゃーん☆」


 アリスはまるで気にしていない様子だが、アランもそれに対し怒っている様子はないところを見ると、これは毎度のことなのだろう。それにしてもこう言う時って先生が止めるべきなんじゃ?と思い、ラムザールのことを見た。……そこには、見事な鼻ちょうちんを出しながらうたた寝をしているおじいさんがおりましたとさ。


 うおおいこのばか教師!!と心の中でツッコミを入れる。そんなことに気をとられているうちに、アリスの課題は大詰めになっているようだった。


「きゃははははは」


 まるでダンスをするかのように動きながら、狂ったように笑うアリス。水の中に閉じ込められたカマイタチはアリスの方に向かって何回も風の刃を飛ばしているが、アリスは魔法を使うことなく、体一つでそれを避け続けていた。カマイタチも、攻撃を仕掛けたり、水の外に出ようとするが、それに合わせて水が動き、外に出ることができない。次第にカマイタチは息ができずに弱っていった。


 それにしても、あのアリスの様子。完全に楽しんでやがる。


 そして、とうとうカマイタチは白目を剥き、力尽きようとした。すると、いつの間に起きたのか、見かねたラムザールが止めに入ってきた。


「やめじゃやめじゃ! もう良い! 合格じゃ合格じゃ!」


 焦りながらそう言ったが、あんたが寝ていなけりゃあの子あんなに苦しまずに済んだんじゃないのか? ラムザールの声にアリスはがっくりしながら魔法を解除した。


「なーんだ。つまんないの」


 模範的な姿を見せるのかと思ったらとんだサディストっぷりを見せられてしまった。その光景にみんなもドン引きしていたが、アリスが帰ってきても特にみんなの扱いは変わらなかった。もしかしてこれがアリスのデフォルトなの……?


 アリスの課題が終わると、次はアラン、そして他の生徒と続いていき、みんなは苦戦しながらもクリアしていく者、クリアできない者などいろいろいたが、自分の番が回ってくるのはだいぶん早く感じるもので、すぐ順番が回ってきた。


 アリスが解説してくれたおかげで、今回の課題に関しては簡単にすみそうだった。火の魔法の授業で作ったような魔法を水で行えばいいだけだろう。そう思い、皆の後ろに隠れて書いた火の魔法の火の魔素のところを水の魔素に変換した魔法陣を携え、自分の番がきたところで皆の前に出た。


 なぁに。そんなに緊張することはない。前の授業と同じ感じにするだけだと自分に言い聞かせ、ラムザールの言葉を待つ。


「よし、始め……ちょっと待つのじゃ。おお、君は期待の新人くんじゃないか。楽しみにしてたのじゃよ。なんせ入学試験でSクラス認定を受けると言う神童っぷりじゃからな。いや、神童というには年が取りすぎかのぉ」

 いちいち癇に障る爺さんだと思いながら次の言葉を待つ。しかし一体なんだっていうんだろう。早く始めてくれ。

「そうじゃなぁ、そんな天才くんにはこんな試験簡単でつまらんじゃろうし、ちょっと課題を変えて見るかのぉ?」


 それは全く予想していなかった展開だった。天才くんじゃないので簡単でもなければむしろ命がけなんですけどぉ?


「えっ?」


 心の中ではツッコミが渦巻いていたが、声に出たのは一音だけだった。人はキャパを超えた状況に対処しようとする時、とっさに声は出ないらしい。まぁそんなことはどうでもいい。ちょっと待て。課題変えるとかそんな反則はないだろう!!


「そうじゃなぁ。捕まえる、なんて簡単じゃから、倒す、に変えようかのぉ?そんでもってカマイタチはぱわーあっぷじゃ!」

 ラムザールはそういうと、再び召喚した時の本を取り出し、魔力を込め、魔法陣を発動させた。魔法を再起動すると使い魔を回復させるだけじゃなかったのか、元気な時に使うとこうなるのかは知らないが、カマイタチがみるみるでかくなり、人間大ぐらいの大きさになった。


「よーし。これぐらいでいいじゃろ……。ふぅ。結構魔力を使ってしもうた。疲れたのぅ。あ、始めじゃ!!」


 爺さんの感想はともかく、始まってしまった。そんなに魔力使うならやめとけよ。と言うかこのままでは多分やばい。イタチ大の大きさであの威力だった風の刃、この大きさだとどんな威力になるんだ? ……とにかく同じとこに居続けるのは危険なので、俺はカマイタチの左側へと走り込んで行く。


 果たして俺は無事倒すことができるのか?ともかくこんなところで死ぬのだけはごめんだ。


 ……理不尽な命がけの授業。始まる。


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