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magi code  作者: ロジカル和菓子
3章 魔道学園、スクオラ編
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lesson crisis④ 〜水の魔法編〜

 授業の開始を告げる鐘の音がなると同時におじいさんが教室に入ってきた。白い長い髭に魔法使いらしい三角帽子。身長は低く、他の先生と同じくローブを着ている。その先生は入ってくるなり、教卓の前に立って一言。


「では、行くかのぉ」


 教卓の魔法陣が発動すると、先の授業と同じように教室にいた人は全員が転移した。そしてその転移した先が……水の中だった。


「ぐぁぼぼぼぼっぼ」


 突然の出来事に驚いて思わず口の中の空気を一気に浪費してしまう。周りのみんなはというと……みんな見事に魔法を発動させていた。空気を自分の周りに固めているようだった。しかし冷静に分析している場合ではない。本当に命の危機が迫っていた。そんな様子を察したのか、アリスがそばに寄ってきてくれた。


「ぶぁ、ぶぁぶべべ!!」


 必死に助けてと伝えようとするが、そうする事でまた体内の空気を消費してしまう。


「助けて欲しいの?」

 アリスは俺の苦しそうな顔を見ながらそう言った。声は聞こえないが、口を見ればわかる。そう言ってるし見たらわかるだろうが!と心の中で訴える。

「苦しそう♡」


 アリスは一向に助けてくれる気配はないので、アリスを取り囲む空気の中に顔を突っ込む。


「ぷは!!!」

 俺が生きるために必死で顔を突っ込んだ先は、アリスのスカートの中だった。


「やーん、エッチだーー」


 男だということを忘れ、慌てふためきまた空気の外に顔を出す事になり、再び溺れかけてしまう。そんな俺を見かねたのか、後ろから魔法をかけてくれた優しい誰かがいた。


「ッッッぷは!!」


 顔の周りを空気が覆っている。命を助けてくれた人を見ようと後ろを振り向くと、そこにはアランがいた。予想外の人物。


「おめー、こんな基本的な事もできねぇでよくSクラスに来れたな?」

 アランは相変わらずの口の悪さだったが、なんだかんだ助けてくれるし実はいいやつのなのかもしれない。


「悪い……助かった……」


 正直、助けておいてもらってなんだが、アランの言葉はほとんど頭に入っていなかった。それよりもアリスだ! 俺をからかうだけからかったアリスの方を見ると、こちらをみてニヤついていた。とても気味の悪い笑みだった。あいつ……俺が苦しんでいるのを見て楽しんでいたのか。


 しかし気にしたらこちらの負けだ、とプイと違う方を向く。


「そろそろいいかのう?」


 水で覆われた空間で体の周りを空気で覆っていたおじいさん先生はようやく口を開いた。そうだ。そもそもあの先生が悪いんじゃないか。なんだいきなりこんなところに転移して! と憤りを感じていると、おじいさん先生は再び口を開いた。


「ほれ、ラン」

 おじいさん先生が持っていた魔法陣を実行した途端、空間を埋め尽くしていた水は一瞬にして消えた。


「ちょっとした趣向のつもりだったんじゃがの? 新入りには申し訳ないことをしてしまったようじゃな、ほっほっほっ。わしはラムザール。水と風の魔法の授業を受け持っておる」


 ラムザールと名乗ったおじいさんは穏やかに笑ったが、こちとら死にかけた身なので苦笑いしかできない。


「ははは、いえ……大丈夫です……なんとか……」


「フォッフォッフォッ! そうかそうか。それでは授業を始めるとするかのう?」


 ラムザールはそういうと死にかけの俺のフォローは完全にスルーしてソレイユの時と同じような本を開き、召喚の魔法陣を実行した。


「ラン!!」

 出てきたのはイタチのような使い魔だった。しかし普通のイタチではなく、尻尾が硬く刃物のようになっている様子が見受けられた。一体どんな使い魔なのかと不安で見つめていると、ラムザールは再び口を開いた。

「これからこのカマイタチがお前たちに攻撃を仕掛ける。それを水の魔法でなんとか防ぎつつ、こいつの動きを封じるのじゃ。風の使い魔のカマイタチの攻撃を水で防ぐのは難しいがの? お前たちが今日まで習ってきた水の魔法を用いれば不可能ではないはずじゃ。今回は一人一人順番に見ていくとしようかのぉ……あ、そうそう。ちなみにこの課題は毎年大怪我を出しておるからの、十分気をつけるんじゃぞ? では……最初はやはり見本がいいかの。シンシア。君からやりなさい」


「ん……」


 ラムザールの指示に答えるとシンシアはみんなの前に出た。ラムザールの指示でカマイタチが動き始めた。カマイタチがシンシアの周りを動き始めるのと同時にシンシアはポケットから魔法陣を取り出し、起動させた。


「ラン……」


 シンシアが魔法を実行すると、シンシアの前から大量の水が現れ、カマイタチの方へ向かっていく。カマイタチはそれをみて必死に逃げようと試みるが、水の量が多すぎて逃げられない。水を切断しようと鋭い尻尾から風の刃を繰り出すも、水の表面を切るにとどまっただけだった。そして、カマイタチはすぐに水に飲み込まれた。


 しかしこのままでは水の中を泳いで脱出できるんじゃないか? と思っていた矢先、カマイタチを包み込んだ水が徐々に凍り始めて行った。凍りついた部分は徐々に増えていき、とうとうカマイタチを中に残したまま全ての水が氷へと変わった。


 えげつない……。中に閉じ込められたカマイタチが可哀想になった。毎回こんな扱いを受けてなんちゃら愛護団体とかに怒られないのだろうか……? まぁそもそもそんな団体があるのかも知らないのだが。


「終わった……」


 シンシアがそう言うとラムザールは終わったことにようやく気付いたようではっとして返事をした。


「お、おう。そうじゃのう。よくやった。素晴らしい魔法じゃ。氷の魔法が使えるのは世界でも数人と言われているからのう。と言うかそもそもその魔法陣、どうやって作ったのじゃ?」

 ラムザールは興味深々でシンシアに近づいて魔法陣を見ようとするが、シンシアはそれを隠した。


「秘密……ダメ……」


 どうやら氷の魔法を使える・・・と言うか、氷の魔法陣というのは世界でも希少なものらしく、あまり人に見せびらかすものではないらしい。シンシアに断られると、みんなの前ということに気づいたのかラムザールは佇まいを直した。


「こほん。そもそも魔法陣を見せてもらったところで、魔法陣の特性を理解しないと使えんからのぅ。意味はないんじゃが、やっぱり気になるじゃろう? ……まぁ今の魔法は真似できるもんではなかったからのう。皆は水の魔法でなんとかするんじゃぞ。では次は……アリス。たのむぞい」


「全く。いっつもボクがお手本を見せることになるんだから」


 アリスは渋々と行った感じでみんなの前に出て、スカートの中から魔法陣を取り出した。どうやらふとももに紙束を入れる革の入れ物が装備されているようである。


 ……全く。いかがわしい場所につけてくれるな。

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