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magi code  作者: ロジカル和菓子
3章 魔道学園、スクオラ編
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lesson crisis③ 〜火の魔法編〜

 強制終了前提の魔法(プログラム)を見て感じた怒り。それによって元プログラマーの秋山の中の何かが弾けた。こんなもの書き換えて最適な魔法(プログラム)にしてやる。


以下書き換え。



[1, fix coordinate axes, to 2]

;座標軸を固定、命令文2へ

[2, determine the coordinates, to 3]

;座標を決定、命令文3へ

[3, select the object of the coordinates, to 4]

;その座標のオブジェクトを選択、命令文4へ

[4, charge magic power, to 5]

;魔力を貯める。命令文5へ

[5, convert fire at the coordinate of the object, (if magic power run out) end]

;決定したオブジェクトの座標で火の魔素に変換、魔力が尽きたら終了



 どうだ!?


 サラから譲り受けた神代文字辞典にobjectがあったから利用してみたぞ!! 3で選択したオブジェクトの座標を5で利用するという完璧かつ天才的なコード……とまでは言わないが、もし無事に実行できたらなかなかの魔法になるんじゃないか?


 少なくとも魔力を小出しにして選択をひたすらやり直すなんてことやらずに済むだろう! というかアリスもアランもこんなの簡単にやってのけたのかよ……


 基本的にこの学園の生徒は魔法文は読めないようだった。シンシアに関してはよくわからないが。こんな不完全な魔法を使っている時点でお察しだろう。


「先生?」

 俺は一つ気になっていることを訪ねてみることにする。


「なぁに?」


「この魔法陣ってもしかして魔法教会が作ったものですか?」


「ああ、これ? そうだけど、どうして?」


 やっぱりだった。魔女の力を絶対に借りようとしないからこんなクソみたいな魔法を作ることになるんだ。魔法教会へのヘイトが高まった。


「いえ、そうかなって思っただけなんで」


 本当のことは言わないでいいだろう。この先生もこんな魔法陣を渡すぐらいだから魔法文は読めないのだろう。と言うか魔法文が読めるのは本当に魔女だけなのかもしれない。俺を除けば、だけど。そうこうしているうちに自分の番がやってきた。俺は最後の挑戦者のようだった。必然的にみんなの注目も集めてしまう。ながい授業でだれていた生徒も最後と言うことで皆注目していた。


 クリアできた者の方が少ないぐらいだったが、こうみんなの目の前で失敗する、というのは自分がSクラス失格のような気がするんじゃないかと不安だった。しかし、俺は別に入りたくてSクラスに入ったわけじゃないのだからと思うと気がラクになった。


 俺がみんなの前に立つと、ソレイユが開始の合図を出した。


「始めっ!」


 狐の使い魔はギュンという擬音が似合うような速さで走り去っていく。攻撃される前に早速魔法を実行することにする。


「ラン!!」


 俺が改良した魔法陣は実行され、座標軸の固定が始まる。目の前の景色が変わった。それはまるで以前使ったことのあるパソコンのソフトの画面の中に入ったような感覚だった。


 自分を原点としてx軸、y軸、z軸がまっすぐに果てしなく引かれ、なんの規格かはわからないが一定の間隔で立体の格子状の線が引かれている。自分が思うところにカーソルが現れた。頭で指示するだけでそれが移動していく。座標の固定というのはこれを動かすようだ。


 それに集中していると、狐の使い魔が炎の球を放ってくる。ギリギリで避けて移動するが、座標軸自体は動かないようだ。カーソルを念じて動かす。素早い使い魔の動きに合わせつつ、自分も移動する、というのはすごく慣れない動作だった。そもそも念じてカーソルを動かすってなんだよ。やるしかないんだけど。集中して狐の動きを先読みし、カーソルの位置と使い魔の位置を合わせる。


「いまだっ!!! 座標を決定!!」


 座標軸の固定も座標の決定も脳内での選択。皆が口に出していたのは、それがやりやすかったからなのだと実感する。口に出せば脳内でもそれを指示しているのだから、固定も行われるというわけだ。


 これまで疑問に思ってきた、魔法文の曖昧な部分が少し見えてきた気がした。座標を決定すると、自動的にその座標のオブジェクトが選択される。そして、いざ魔力を放出!!!


 狐の使い魔が炎に包まれる。


「キュゥゥゥゥゥゥゥぅぅぅ!!!」


 使い魔の叫びが響き渡る。すまん! と心の中で謝る。しかし仕方ないんだ。あとでご主人様に直してもらってくれ。炎に包まれたまま、狐の使い魔は逃げ回る。いくら俺の魔力の放出量が少ないとはいえ、延々焼き続けられた使い魔は徐々に黒焦げになっていく。


「キュ・・・・キュ・・・・キュゥゥゥ・・!!!! キュ!! キュ!!!」


 なんか俺の火力が弱いせいでいたぶり続けたみたいになってごめん……。ひたすらじわじわと炙り続けられ、とうとう使い魔は黒焦げになった。……そうして俺の最初の授業の危機、lesson crisisは終わりを告げた。


 皆の元に帰った時に待っていたのはこれまでとは違い、白い目だった。ソレイユは笑顔で迎え入れてくれたが、みんなは若干引いていた。なんで?


「お見事! アキヤマくん! 座標の固定は初めてだったのだろう? 見事にユイちゃんをしつこく狙い続けられたね! あまりのしつこさに、ユイちゃんがかわいそうに思えたくらいよ!」


 しつこくって……。そういえば夢中で魔力をつぎ込んでいたから意識していなかったが、もしかして結構時間が経っていたのか? 周りの目を見てみるとみんな目をそらす。


 こそこそと声が聞こえる。

「笑ってたぜ? あいつ……」

「悪魔だよ、悪魔」

 どうやら、俺のクラス内での立場が決まってしまったらしい……。


「お前……実力は認めるけどよ……あんだけいたぶり続けるってのは……どうよ」

 アランはさっきまでとは違う畏怖の目でこちらを見ていた。他の生徒も同じ目である。……シンシアとアリス以外は。


「……」

 シンシアは相変わらずの無表情で遠くを見つめている。


「ふふふ☆ ……いい趣味してるね?」


 そう言うとアリスは俺のことを見ながら気味の悪い笑みを浮かべた。どうやらこの教室でまともなのはSクラスの人だけらしい。この反応を見る限り、相当悪質にいたぶっているように見えていたらしい……。


 学園生活一日目にして……不穏な予感。


 一つ目の授業はそれで終わりとなった。そして休憩を挟んで次の授業は水の魔法だった。次はどんな課題が待ち受けているんだろうか……。俺のlesson crisisは続く。

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