入学試験③終〜合格発表〜
試験の結果待ちなんて、何年ぶりだったのだろうか……。
「えー。では結果を発表します……」
ラストールの一様な声。なかなか言わないのは仕様なのか? ……焦らすなぁ。
「……」
本当になかなか言わない。なんかそういう方針でもあるのか。結果が悪かったのだろうかと俺たちは3人とも顔を見合わせる。
「3人とも、文句なしの合格です。おめでとうございます」
「よっしゃ!」
「やったわね!」
「やったのですぅ!!!!!」
3人ともがハイタッチをして大げさに喜ぶ。特にアイラの喜びようは激しかった。テンションが一人だけ段違いで高い。
「みなさん落ち着いてください! まだ説明はありますから!!」
ラストールの激が飛ぶ。それで一気に場は静まった。
「ふぅ。えっとですね、合格とはいえ、学費の説明やクラスわけの話がありますから。静粛にお願いしますよ! では。えー……説明させていただきます」
ラストールは佇まいを直すと改まって言う。
「まず、アイラさん。学費全額免除です。クラスはBです。最初からBと言うのはとても優秀です。誇りに思っていいですよ」
それを聞いてアイラは誇らしげな顔でこちらを見て来た。わかったから……。
「次はルシエラさん。あなたも学費全額免除です。クラスはCです。変身魔法は一流ですが他はまだ発展途上なようなのでCクラスとさせていただきました。しかし、これも最初からCは十分優秀といっていいでしょう。そもそも魔道学園のクラスというのは最上級のS+、これは数人ですからほとんどの方には関係ないのですが、それを除くとランクSからランクFまでのクラスがあります。普通入学時はFランクに配属され、試験で評価されるごとに上がっていくのが普通です。あなた方はそれを初めから一気にC、Bという高ランクのクラスに入れたのです。これはすごいことですよ」
褒められ倒して、最初はアイラより下と言われがっかりしていたルシエラも上機嫌になっていた。
「ラストール先生! それで私たちの寮はどうなるんですかぁ?」
ルシエラは待ちきれずに質問を投げかけたがラストールの反応は良くなかった。
「まだ話は終わってませんから! 私語は慎んで!寮はあなた方は女子寮ですよ。寮は二人部屋なので、あなた方二人だとちょうどいいので同じ部屋になると思います」
きっちり答えてはいるんだな。それにしてもやっぱり男子寮と女子寮というわけかたになるのか。ということは俺は知らんやつと相部屋になるのかと不安になる。
「やったね! アイラ」
「よかったのです……知らない人との相部屋は疲れそうでしたので……」
おいおい談笑しているが俺の発表はまだな上に俺はその知らないやつとの相部屋になりそうなんだが……。そう心の中でツッコミを入れつつ、発表を待つ。さすがに二人も静かになり、俺の発表に耳を済ませた。
「えー、では静まったところで最後にアキヤマさん。学費全額免除です」
その言葉を聞いてほっとする。サラからもらったお金に手をつけるわけには行かなかったので、これからしばらくタダでこの街に滞在できるとわかり、体の力が抜ける。アイラとルシエラもこちらをみて笑顔になる。
「さらに配布式の奨学金が付きます」
ラストールの口から驚きの言葉が出た。配布式の奨学金? ってことはアイラたちより評価が上だったってことか? 配布式ということは学費も払わないでお金ももらえるということだ。旅の資金の問題に頭を抱えずにすみそうで何よりだった。
「続いてクラスですが……」
俺の時だけえらい溜めるなと思いながら、次の言葉を待った。
「Sランク。アキヤマさんはSランクに配属されます。これは史上数人しかいない快挙です。おめでとうございます。アキヤマさんは三つの属性の魔法を同時に展開し、見事な魔法を使いこなしてみせました。わが魔道学園は魔法協会に縛られませんから、その力、存分にここで伸ばしてください」
何をいっているのかわからなかった。俺がSランク? 魔力を放出する穴が小さい俺が?
アイラとルシエラの方を見ると二人ともぽかんと口を開けていた。が、正気を取り戻したアイラは恨みがましそうに俺の方を見て来た。俺はそれに知らんぷりしてラストールの話に聞き入っているフリをした。
「……それでは、合格発表を終わります。今日は各自寮に荷物を置いたら自由行動とします。必要なものなどを揃えてください」
ラストールの話が終わり、俺たちは寮に荷物を置きに行き、一旦学園の外で集合することにした。案内された寮は綺麗な建物で学校の量とは思えなかった。案内された部屋には相方はおらず、荷物だけが置いてあった。部屋の内装も完璧で、まるでホテルのようだった。相部屋にする必要はあったのだろうかと疑問に思う。荷物を置いて部屋を出て、集合場所の酒場へと向かう。
飲むには少し早いが、紅蓮の牙の話も聞きたかったし、腹も減っていたので人の少ない早い時間でも問題はなかった。酒場は街の西半分の魔法協会の建物がある方にあり、これまでの街の酒場よりもおしゃれな感じがした。前の世界で言うバーのような雰囲気だ。二人はすでに席についていて、俺が着くと二人とも俺の方を睨んで来た。そんなに俺が評価されたことが気にくわないの……。
「んじゃ、今後の方針を決めましょうか……」
俺はそう言うものの、二人が不機嫌なのですごくやりにくい。そこで初めに紅蓮の牙のメンバーに話を聞くことにした。合言葉を言うと、店の奥から一人の男が出て来た。話を聞くが、魔法都市全体に関しては怪しい動きは見受けられないそうで、ただし魔道学園の中は全く状況がつかめないとのことで、ジャックの言った通り、この街に関しては紅蓮の牙はあまり役に立たなそうだった。そして結局アイラとルシエラとの話に戻る。
「それで、今後の話なんだが……」
「そうよね、Sランクのアキヤマ」
「Sランクのアキヤマさんが決めたらいいと思うのです」
終始そんな感じの二人相手にまともな話し合いになりそうもなく、結局魔道学園で魔法を学びながら、動向を探ると言うことになった。そして俺たちは各々自分の寮の部屋へと帰っていった。




