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magi code  作者: ロジカル和菓子
2章 魔法教会支部が仕切る街、アマネ編
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いざ潜入⑤

 魔法教会支部の建物の内部は贅の限りを尽くしたような豪華な装飾が施されていて、とてもアマネの街中にあるとは思えない内装だった。中でルシエラは魔法教会の人間と品物の確認をしたあと、倉庫まで運び入れることになったようで、俺とアイラもついていった。


 倉庫に入ると、ルシエラはいつも商品を棚に置くところまで任されているようで、それをしてる間なら怪しまれないだろうと俺とアイラに認識阻害の魔法をかけ、ルシエラは商品をならべ、俺とアイラは手分けして支部の中を調査することになった。


 本当に周りから見えていないのか不安だったが、魔法教会の下っ端魔道士に見られても何も言われなかったので、どうやらうまく魔法がかかっているようだと安心する。


 しかし、ルシエラが商品を並べ終わるまでの時間しかない。急がねばならないことは実感していた。認識阻害とはいえ、声を出すのはまずいらしいので、音を出さずにこっそりと支部建物内を見て回る。


 ただ幹部クラスに見つかってはならないと言う制限もあるので、あまり遠くへは行けなかった。下っ端魔道士に付いて行くと、何やら魔道士がこぞって入って行く部屋があることに気づいた。下っ端魔道士の後ろについてその部屋に入ると、そこはどうやら食堂のようだった。魔法教会にもこんなところがあるのかと感心したが、オタオタしている場合ではないので、魔道士たちの話に耳をすませる。


「お前あれの捕獲任務に配属されたってマジかよ?」

 一人の魔道士(魔道士Aと称することにする)がもう一人、隣の魔道士(魔道士Bと称することにする)に問いかけた。


「ああ……最悪だよ。薬草も高くて買いづらいってのに」


「その薬草が取れなくなったのもあれのせいだってんだからやるしかねぇんだろ」

 魔道士Aは魔道士Bを励ますように声をかける。


「それはわかるけどよぉ……俺らみたいな下っ端にまで配属されるっておかしくねぇか?」

 魔道士Bは不満そうに言った。


「まぁな。あんなバケモン相手に俺らができることなんてなぁ」

 魔道士Aの言うバケモンというワードが引っかかる。怪しい計画を進めていることは間違いなさそうだった。


「強い幹部の人だけでいってくれりゃあいいのにさ」


「でもアレス様とジュリオン様も行くんだろ? きっと大丈夫だって」


 魔道士Aが気になる人名を口にした。幹部の名前なんだろう。覚えておくことにする。


「お前そう簡単に言うけどなぁ……俺の気持ちも考えてくれよ」


 超重大な情報を漏らしてくれた下っ端魔道士たちに感謝を送ろう。あと、なんかどんまい。危険な任務に配属されたらしい魔道士Bに心の中でそう声をかける。あれって言うのがなんなのかはわからないが、この街でのキーポイントになっていることは確かだろう。


「あれ逃したの偉いさんがたなんだから自分たちで捕まえにいってくれよな」

 魔道士Aがいいことを言った。魔法教会が捕らえていたバケモノとやらを逃し、それを必死にまた捕まえようとしている。重要な情報になりそうだった。


「それだよ。それ。関係ない俺たち巻き込まないでほしいわ」


 魔道士B、本気で同情するよ。それにしてもこの二人、ベラベラといろんなことを喋ってくれる。まぁ、後ろに俺がいるなんで夢にもおもっていないからっていうのはあるが。しかしさらに核心的な情報が欲しい。こっそり後ろから会話に参加して情報を引き出せばと言う危険な考えが浮かんだので、実行に移してみることにした。


「んで、あれってなんのために生み出されたんだっけ?」

 あれ、と言うのはおそらくルクスのギガプニリンと同じ種類のものと推測してかまをかけてみる。


「え? そりゃあ他国との戦争に使うためじゃないのか? あんな化け物を作る理由なんてそれぐらいじゃねぇのか?」


 魔道士Bはそう答えるが、目的を聞かされているわけではないようだった。


「ん?」

 魔道士Aは何が起こったのかわからず、首をひねっている。


「え? 今お前が聞いたんじゃないのか?」

 当然魔道士Bもおかしいと気づく。


「いや俺は何もいってねぇよ?」


「あれ?」


 二人に気づかれそうだったので急いでその場を離れてルシエラの元に戻ることにする。人混みをかき分け、食堂の出口へと向かう。それにしても結構な魔法教会支部には随分と魔道士が多いのだと気づく。そのどれもが下っ端のようだが。案外魔法が使える人間というのは多いものなのだと感心した。出口に向かう途中、突然食堂のドアが大きく開いた。


「おら、どけどけ!」

 見るとこの前見た金髪の男と縮れ毛の女が食堂に入って来たようだった。


「アレス様! ジュリオン様! こんなところに」


 なんだって?


 まずいまずい。


 あいつらの名前が今呼ばれたものであるならば、あいつらは幹部なんだろう。姿を見られてしまうかもしれない。認識阻害を見破る術を使っていればの話だが。


「のけのけ。アレス様が飯を食いに来たんだ。道開けろや」


 金髪の男は自分で名前を言ったのでアレスというのが金髪の方らしい。大きい態度で食堂のカウンターに向かう。


「ちょっと、アレス。態度が大きい……」


「うるせえ地味女。お前は黙ってついてくりゃ早く飯が食えるんだ。いいだろうが」


 ジュリオンという女はアレスを制止しようとしたが、アレスは全く取り合うつもりはないらしい。しかしそんな騒動が起きているのはありがたかった。俺の姿が見えないはずの下っ端魔道士たちをかき分け出口へ向かう。


「あれ?」

 ジュリオンは何かに気づいたように声をあげた。


「どうした?」


「いや。ローブ着てない人がいたような気がして」


「んなわけねーだろ魔法教会の制服見てーなもんなんだから、この建物内では着用義務あんだろ。いくらダサくても、このアレス様でさえ着てんだぜ?」


「そうよね……ごめんなさい」


 今危なかったかもしれない。ジュリオンという女の魔道士、俺のことが見えていたようだ。アレスが深く追求しなかったからよかったものの……。


 下っ端魔道士たちの陰に隠れてやり過ごすことができ、出口のドアに辿り着くことができた。本当にあいつらに会ったのが人の多いこの食堂でよかった。食堂のドアを少し開け、人にぶつからないように倉庫へと急いだ。


 倉庫までは無事辿り着くことができ、戻るとアイラもすでに戻ってきているようだった。ルシエラに触れて戻ってきたことを伝える。


「おお、二人とも戻ってきたようだね」

 ルシエラはそう言うと二人の認識阻害の魔法を解いた。


「いろいろ話したいことがあるだろうが、それは後にするさね。もう時間がギリギリだ。とりあえず出るさね」

 ルシエラはそう言うと急いで出口へと俺たちを連れていった。出口では再び門番と邂逅した。


「随分時間がかかりましたね?」


「いやぁのぅ、歳のせいか腰が痛くてのう。こいつらは場所がわかってないし役に立たんわで大変だったんさね」


「それはそれは。大変でしたね。ではまた次回もよろしくお願いします」


「こちらこそお願いするんさね」


 勝手に役に立たないことにされたのは心外だが、なんとか言い逃れできたようだった。魔法教会支部からでて、店へと帰って行く。帰り道、本当に成功したのか不安だったが、誰かが追ってくるようなことはなかった。そして潜入は終わりを告げ、俺たちは無事、店にたどり着いた。

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