街の調査③
この前開発した魔法は、油を大量に消費するため、金がとにかくかかる上に、魔法がある程度わかる誰かに見られると一瞬で魔法教会の魔法陣ではないとバレてしまう。平和な今のうちに扱いやすい魔法をいくつか考えておきたい。
しかし一人での開発は無理がある。そこでやはり、サラ大先生の力を借りることにした。まだ使っていなかった通信道具だという貝を取り出す。魔法道具の使い方は基本的に魔力を込めるだけでいいとのことだったので、魔法陣を発動するときのように魔力を込めて貝を起動させる。貝は少し光るとノイズを少し放ち始めた。
「……もしもし……聞こえるかい……」
本当に通信できているようだった。
「ああ。聞こえてるよ。アキヤマだ」
貝に向かって小さめの声で話しかける。アイラの方を伺うが、ぐっすりと眠っているようで微動だにしない。
「……アイラくんは?」
「アイラは寝てるよ。俺の隣で、ぐっすりとな」
なんか犯罪者みたいなセリフを吐いてしまった。
「そうか……なら通信して来たのは魔法の相談かい?」
サラは相変わらず察しが良かった。わざわざアイラが寝ている時に通信したのは魔法陣の相談に乗ってもらうために他ならなかった。
「ああ。頼みたい。さすがに扱える魔法が少なすぎて、先行きが不安だ」
「そうかそうか。そういうことなら話を聞こう。何が聞きたいんだい?」
ノイズが少なくなって来て、クリアに言葉が聞こえて来た。そしてどうやらこの魔法道具、最初に込めた魔力だけで通信しているらしい。高性能だ。
「できるだけ魔法教会には目をつけられたくないから、魔法教会公認の魔法に似た魔法を開発したいんだ」
「なるほど。それもそうだね。目をつけられるのはなるべく後の方が厄介ごとは少なくて済むからね」
あ、目をつけられるのは確定なのか。覚悟の上ではあったが、言葉にして聞かされると少し心がこわばる。しかし、そんなことを表に出すのは情けないので、普通のふりをする。
「ああ。だから魔法教会の魔法をできるだけ教えてくれないか」
「ああ、そんなことか。お安い御用さ」
サラは頼もしく快い返事をしてくれた。しかし、会話モードから講義モードに変わってしまったようで、容赦ない言葉の羅列が始まった。
「まず。基本の五つの魔素の魔法について教えてあげよう。火の基本魔法はボア、魔力をありったけ留めて火の魔素に変換する。変換が完全でないから貯めすぎると火の魔法ではなくほぼ魔力の爆発になる。不完全な魔法だ。しかもある程度の魔力をつぎ込まないと発動しないようになっている。全く。開発者の顔が見て見たいわ」
解説は後半ほとんど文句になってしまっている。サラの顔は見えないが、きっと一人で勝手に苛立っているに違いない。
「聞いているか? アキヤマくん?」
「あ、ああ。もちろん聞いてる」
「そうか、なら続けるぞ。水の基本魔法はウォートルという。貯めた魔力を水の魔素に変換して放出する魔法だ。これは単に水を放出するだけの魔法になっているから攻撃力が皆無で、火の属性魔法に対する効果しか持たない。これも不完全な魔法だ。土の魔法は貯めた魔法を土の塊に帰る。これは防御などに使われる。これももっといい利用法があるってのに」
文句とともに説明を受ける。
「風の魔法はウインドルム。これは魔力を風の魔素に変換して放出する。魔法をある程度貯めれば暴風ぐらいの威力は出る。しかしこれも単純な変換魔法。本当に魔法教会はしょぼい魔法しか作らん。雷の魔法はサンドルム。これも一緒。単なる変換魔法。これらの五つが基本魔法だ。もちろんこれらを応用した魔法も魔法教会は作っているが全ては知らないな……それにそこらへんの魔法教会の者が使っているのは大体基本魔法だ。応用魔法は魔力消費が大きいからそこらへんの魔法使いには使えんようだ」
「なるほど。わかった。とりあえずはその魔法名で色々とインクルードしておくことにする」
「ああ。魔法教会にできるだけ目をつけられないことを祈っているぞ」
「ありがとう。じゃあまた通信する」
通信をきり、自分の魔法の開発に移ることにする。とりあえずは見たことのある火の魔法と雷の魔法を開発しておくことにしようと思う。魔力消費を抑えつつ、火を大きくする。雷を大きくする。まずはその方法を考えないといけない。何かいい方法はないかと悩み、しばらく悩んでいたが全然アイデアは浮かばない。一朝一夕で開発できるようなものでもないらしくアイデアは浮かばないまま夜は更けていった。
さすがに眠くなってきて、アイデアは浮かばないままだが、何日か考え続けていれば何かいい案が浮かぶだろうと考え、ようやく眠りにつくことにした。ベッドに入ると、忘れていた疲れがどっと押し寄せてきてすぐに眠りにつくことができた。




