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magi code  作者: ロジカル和菓子
5章 封印の心臓編
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VS紅の竜④

「ちょっとちょっと、困るなぁ。そんな平和的解決望んでないんだよ。もっと醜く争いあってもらわなきゃさー」


 突如アムネシアの前に半透明な魔女の姿が現れ、喋りだした。洞窟で以前出てきたものと同じものだ。丸い眼鏡に三つ編みくくりにした髪。マドルカだ。


「だから、そこのドラゴンの自我はもう必要ないかなー。えいっ!」


 マドルカが腕を一振りすると、アムネシアの苦しみ方が増した。身体を大きく地面に叩きつけ、巨大な咆哮を上げる。




「それじゃ、虫風情は叩きつぶしちゃってねー」


 そう言い残すと、マドルカの姿は消えた。




「わらわがまだ支配に逆らえるうちに翼の支配紋を壊せ」




 アムネシアの言葉に俺は強く答える。


「ああ! わかった! ラン! チャプター4、風の章! 攻撃!」


 リブロが薄白く光り、以前サラの防御を貫いた風の魔法が発動する。




「いっけぇぇぇぇぇぇ!」


 俺は叫んだ。叫ぶことに意味などなかった。それでも叫んだ。

 風魔法の起点がアムネシアを囲んでいく。そして、少しずつ大きくなった竜巻がアムネシアの翼の下を直撃し、支配紋のついた鱗とその周辺の鱗をえぐり取った。

 

 

 

「やった!」


 俺はガッツポーズをして叫んだ。

 これで両翼の支配紋を壊せたはず。そしてそれはおそらく、水と雷の支配紋。残りは首と隠れた場所にある風と土の支配紋だろう。

 

 

「ぐおおおおおお!」とアムネシアの喘ぎが洞窟にこだまする。


「あ……とは……自力で潰せ」


 その言葉を最後にアムネシアの様子が一変した。アムネシアの眼は黒く染まり、会話が止まった。




「アキヤマ君! 無茶をしおって! 再び散開だ!」


 サラが遠くから呼びかける。アイラもすでにサラと離れた場所にいるようだ。




「ああ! 済まなかった! でも……」


 俺が返事をしようとした瞬間、アムネシアの翼に魔法陣が描かれる。そして、魔法陣は光り、黒い竜巻が四つ巻き起こった。それらは俺達を別々に狙ってきた。しかも俺には二つも。

 

 


「まったくしょうがねぇなぁ! ラン! チャプター2! 風の章! 防御!」


 俺が叫ぶと、リプロが光り、同時に四つの竜巻の上に魔法陣が展開される。


「今度の魔法は単純なもんだ! 俺の魔力でもいけんだろ!」


 俺の想定していた魔法とほぼ同じ威力の魔法が繰り出される。竜巻の上部から強烈な下向きの風を発生させたのだ。

 

「竜巻ってことは要するに上昇気流だろ? それに打ち消しあう力を発生させれば、ドン! だ!」


 俺はかっこつけて言ったが、アイラはよくわからないようで、

 

「なんだかよくわからないけど誉めてあげるのです-!」と叫んでいた。




「私も負けてはいられないな。せめて一個ぐらいは支配紋を壊さないと面目が立たない!」


 サラは走って竜巻から逃げていたが、その足を止めて五枚の魔法陣を取り出した。アムネシアの意識がサラに向いた。サラは自信満々に叫ぶ。


「私のターンだな。ラン!」


 サラは言うと三枚の魔法陣を同時に投げた。魔法陣からアムネシアに向けて雷が放たれる。アムネシアは翼で雷を防いだ。翼は少し焦げたのみで、そこまでのダメージには至っていないようだ。

 



「だろうな! 次行くぞ! ラン!」


 サラはアムネシアの方に駆け出した。と同時にアムネシアの上空に魔法陣が出現し、大きな雷が落ちる。アムネシアの意識は上に向き、再び翼でそれを防いだ。

 

 

 

「本当は武闘タイプじゃないんだけどね。こういうこともたまには必要かな!」


 サラはいつの間にかアムネシアの懐に潜り込んでいた。サラは服の中から短剣を取り出すと、刃に魔法陣の書かれた紙を巻きつけ、跳躍した。

 

 

 

「ラン! この刃で首の支配紋を貫く!」


 サラの短剣の刀身が魔法陣に包まれ、黄色に輝く。そのままサラはアムネシアの首元に短剣を突き刺し、てこの原理で鱗を剥がした。

 

 

 

「やった! これで支配紋はあと一つ! そいつが使える黒い魔術も土だけだ!」


 サラは威勢よくそう言って降下に入ったが、アムネシアの翼はサラの降下速度よりも早く、サラを横向きに叩きつけた。


「なっ!」


 サラはそのまま洞窟の壁に叩きつけられ、ぐったりと横たわった。

 



「お師匠様!?」


 サラに駆け寄ろうとしたアイラに向けてアムネシアの尻尾が襲う。回転した巨体の尻尾はアイラを殴りつけ、アイラはサラと同じ場所に転がることになった。

 

 


「アイラ!」


 どうやら動けるのは俺だけになってしまったらしい。サラが首の風の支配紋を壊してくれたのはいいものの、残りの支配紋の場所は分からず仕舞いだ。

 

 

 

 焦る俺をあざ笑うかのように、アムネシアは再び黒き魔法を展開する。黒き土が生成され、赤い体を覆っていく。翼の端は刃物のように鋭利になり、鱗にはとげが、尻尾は何でも貫けそうな鋭さだ。

 



「それでも俺一人しか残っていないんだし、やるしかないよな……」


 俺は覚悟を決めてアムネシアと対峙した。


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