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magi code  作者: ロジカル和菓子
5章 封印の心臓編
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VS紅の竜①

 挨拶代わりにドラゴンの口から黒い炎が放たれ、サラとアイラ、俺とで分断される。




「となると、狙うのは当然俺だよなぁ!」


 ドラゴンの顔が俺の方を向くのを察して、俺はリブロを広げる。


「ラン! チャプター2! 氷の章!防御!」




 目の前に氷の壁が展開され、代わりに俺の両手に高温の蒸気が集う。熱交換の魔法陣がうまく作動してくれたようだ。




「水がダメでも、氷ならどうだ!?」


 俺は期待して氷の壁の行く末を見守るが、黒い炎は容易に氷の壁を溶かし俺に迫ってくる。


「やっぱりそうだよなぁ!?」


 俺は逃げまどいつつ、高温の蒸気をドラゴンの方向に放つ。ドラゴンは俺が放ったものが何かわからず警戒して避けてくれた。それが逆に功を奏した。




「ラン!」


 叫んだのはサラ。


 サラの持つ魔法陣の書かれた紙が光り、魔法陣から雷がドラゴンに向かってジグザグに走っていく。




「ぐおおおおおおおおおお」とドラゴンの悲鳴が響き、ドラゴンが豪快に倒れる。




「やったか!?」


 サラはドラゴンの様子を伺った。




「いや、それ一番言っちゃいけないセリフ!!」


 俺の叫びも空しく、やはりドラゴンは再び起き上がりサラを睨んだ。




「ぐああああああああああ」と今度はドラゴンが怒りの咆哮を上げ、それが地響きとなって俺達を襲う。




「なぜ……わらわがこんな虫どもを相手しないといけないのじゃ……」


 ドラゴンの口が大きく開き、サラの方向に向いた。




「危ない! ラン! チャプター3、土の章、防御!」


 俺が叫ぶと、サラの目の前に分厚い土の壁が盛り上がって炎を防いだ。並行処理で土の位置を変更する魔法と、土を魔力でコーティングする魔法をかけているからこそ出来る芸当だ。魔法陣から土を直接発生させるとなるともう少し規模は小さくなるし遅くなる。




「うっとうしい羽虫どもが……。これもあの女のせいだ。絶対に見つけたら殺してやる……。あのぺちゃパイが……」




 今ドラゴンにあるまじき単語が聞こえた気がするけど気のせいだよね?




「高貴たるわらわを……一万年を生きるドラゴンをこのような形で閉じ込めるとは……ぐおおおおおおおおおおお!!!」


 再び咆哮。俺は耳を手で塞いだ。塞いでも鼓膜が破れそうな勢いだ。


「このような黒き炎、屈辱! 屈辱! 屈辱!」




 ドラゴンは狙いも定めず黒い炎を吐き続ける。俺はいくつか土の魔法で壁を作りながら場所を変えていく。




「アキヤマさん、狙われててください! なのです!」


 アイラの声が聞こえた。壁に隠れていて姿は見えないが、サラの防御壁を破った魔法を使うのだろう。俺だってサラの防御を破ったチャプター4、風の章がある。




「了解!」


 とりあえず、俺は叫んで壁から飛び出した。ドラゴンの視線は俺を捉える。




「そこかあああああ!」




 俺は余裕をもって「ラン、チャプター3!土の章!防御!」と叫ぶ。同時に俺の目の前に土の壁が出現する。




「人の子よ。わらわの力を舐めすぎじゃ。」


 低く笑うような声でドラゴンが告げる。




 すぐに黒炎が俺の目の前の土の壁に迫り、そして一瞬にして灰にした。


「やべ……」


 俺は目の前に迫る黒い炎をただ見つめるしかできない。




 瞬間、「アルティボア!」という金切り声にも近い叫び声が洞窟内に響いた。アイラの声だ。強烈な爆発音と共にドラゴンの頭付近で大きな爆発が起きた。


「ぐわあああああ!!! なんじゃ!! この苦しみは……。頭が締め付けられる……。」


 ドラゴンは怒り狂い、黒炎をあたりかまわず吐き続ける。俺達は一旦後退した。




 ふと、地面にドラゴンのうろこが落ちているのを発見した。


「なんだ……これ?」


 拾ってみると、うろこには炎のようなマークが中心にある魔法陣が刻まれている。




「それは、支配紋だな。」


 いつの間にか俺の後ろまで下がってきていたサラが言う。




「支配紋? なんだそれ?」




「支配紋は、魔物と無理やり契約を結ばせるための魔法陣のことだ。通常、炎、雷、土、風、水の力を使い魔物を服従させるが、強力な魔物相手だと、5種類全部使って服従させることが多い。」


 サラはドラゴンの様子から目を離さずに説明する。


「あのドラゴンは、マドルカに支配紋によって服従させられたということだな。」




「そんな、むごい……。」




「ドラゴンを服従させられるなんて、マドルカという魔女は相当な実力だったのですね。」


 アイラは神妙な顔で言う。俺の言葉は二人の共感を得られなかったようだ。




「いや、あのくそアバズレのことだ。姑息な手を使ったに違いない。」




 サラ、口が悪いよ……。




「少し、少し頭の中が明瞭になった……。」


 ドラゴンは告げる。


「これで忌々しき黒い炎を使わずに済むの……。」




 俺はつい支配紋を一つ破壊したことで攻撃がましになるのではないか、と淡い期待を抱いた。




 しかし、ドラゴンが次に使ったのは、黒き雷。

 

「憎い、憎い、憎い。あの女、わらわに仇なすすべての人間よ!死ぬがいい!」


 ドラゴンの口前に魔法陣が展開される。




「まずい! プロテクトフォー!」


 サラが俺とアイラの目の前に立ち、いつしか見せた防御魔法を発動した。一瞬でサラの体を鎧が覆い、盾が出現し、俺とアイラごと土が丸い球場に覆う。



 バリバリと落雷の音がして、一瞬でサラの防御壁が粉砕される。サラは縦で黒い雷を防ごうとしていたが、それも一瞬にして砕かれる。

 鎧はかろうじて壊されずに済み、サラ以外はなんとか無傷で済んだ。周りを見てみると、俺が何個も作っていた土の壁がすべて粉砕されている。また振り出しだ。



「あそこを見てみろ」


 サラはドラゴンの首元を指さした。そこには先ほどとは模様の異なる雷の支配紋が刻まれていた。

 

「おそらくあのレベルのモンスターを支配するのには5種類の支配紋が使われているはずだ。炎の支配紋を破壊して黒い炎を出さなくなったところを見ると、他の支配紋も破壊するべきかもしれない。」




「あのドラゴンの支配も解いてあげられるかもしれないしな」




「いや、それはどうでもいいが」


 サラはぴしゃりと言った。


「ああ、ただ……次の支配者になるのならやぶさかではないがな。なんせ、相手はあの伝説級のドラゴンだ。」




「本気か?」


 俺は聞いたが、サラが答える前にドラゴンが正気を取り戻した。俺達は仕方なく会話を切り上げ、散開した。

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