サラ先生の魔法講座・最終編②
「さぁ、自己鍛錬の成果を見してもらおうか」
サラの家の目の前で、仁王立ちをした彼女が言う。
「成果って、一体ここで何をするんだ?」
サラの家を背にして立つ俺は聞いた。
「ふふん、最後は魔女らしい試練を与えようと思ってね」
「魔女らしい試練?」
俺が聞きなおすとサラは嬉しそうに答える。
「ああ、その通りさ。アイラ君は十分な成果を上げてくれた。クリーン!」
サラがショートカット魔法を詠唱するとサラの体の煤はきれいさっぱり無くなった。
「便利なもんだな」
「おかげで100日は風呂に入らずに済んでいる。これからやることを説明しよう。私は4段階の防御魔法を自身の体にかける。一段階目は私の皮膚すべてに掛けるもので、私の魔女人生をかけた最高傑作の防御魔法だ。私をだました件の魔女にさえ、これを破ることはできなかった。ただし、これは物理攻撃を対象にした魔法で、そこを手玉に取られ、私は心臓を奪われたわけだが、……くそ、今思い出しても腹が立つな」
サラは地団駄を踏んだ。
ん? なんかさらっとすごい情報が流れていったような……まあいいか。
「肌の上にかけるもう一段階の防御魔法。それは私の体を守る鎧だ」
サラはにんまりと笑い、服の裾を上げて御御足を晒して続ける。
「言っておくが、エロいぞ?」
何の自信からくる笑みなのか知らないが、俺は幼女の肢体なんかに興味はない。
断じてない。
「あ、そう」
俺はあえて、淡々とした返事をした。
「なんだその返事は。つまらん男だ」
「特段ウケを狙っちゃいないからな」
サラはふんと息を鳴らして、説明を続けた。
「第三段階は私を守る盾。これは一方向からの攻撃に備える指向性のある防御だ。そして、第四段階が絶対の防御壁。唯一の欠点は、周りが見えない、攻撃ができないこと。ま、どんな形態なのかは試してみてのお楽しみとして」
サラはちらりと俺のほうを見た。
「なんだよ。その防御とやらを破ればいいっていうのか?」
「ま、その通りだ。だが、一筋縄ではいかないと思うぞ。しかし、私は一切攻撃をしない。アキヤマ君はただただ無防備な私に容赦のない攻撃を投げかければいい。一段階でも防御を敗れたら、アキヤマ君の合格だ」
言い方が悪いな……。
「アイラは……どこまで破ったんだ?」
俺は恐る恐る聞いた。
「アイラ君は、見事に第4段階の防御を破り、第3段階の盾にひびを入れたよ。良い弟子を持ったものだ」
うんうんと一人で頷いてから、サラはまっすぐこちらを見た。
「さ、ごたくはこれぐらいにしといて……。試験を始めようか。プロテクト・フォー」
サラの詠唱でまずサラの皮膚が光り始めた。かと思えばサラの周りに鎧が生成され、サラの体を包んでいく。次にサラの体の前に盾が生成され、最後にサラの周りの土がサラを覆っていき、完全な球体へと変化した。
そのあと、表面がコーティングされ、素材感が土から金属のような光沢へと変わる。
硬化を掛けたのかもしれない。
動きが完全になくなった時点で、それの中からこもった「始め!」という声が聞こえた。
完全な球体を相手に、俺の試験は始まる。




