royal battle royal⑧
ロザリオは俺のことを笑いながら見下してくる。その表情を見ていたら吐き気がしてくる。
今に見てろ。
俺はロザリオを倒すイメージを心に留めて前を見た。
そして、俺はゲームの中のキャラクターを動かすようにゴーレムを操作してロザリオのゴーレムに向かって走らせる。
「ふん。動きだけは速いようですが、攻撃は軽そうですね」
ロザリオは俺のゴーレムの姿を嘲笑しながらゴーレムを前進させる。
「ま、見てろって」
俺は自分のゴーレムを操作し、ロザリオのゴーレムに向けて走らせる。そして俺のゴーレムが近付くと、ロザリオのゴーレムは腕を大きく上に振りかぶった。
攻撃を察知した俺はゴーレムを右に素早く異動させる。
空振りをしたゴーレムの腕は地面を大きく削った。すごい威力だ。生身の人間であっても、俺のゴーレムであっても、あの攻撃を受けたらひとたまりもないだろう。
どうやったらあのゴーレムを倒せるのか。それがひとまずの課題となった。
俺のゴーレムは球体間接人形によく似た形をしていて、間接の可動域が広く柔軟な動きが出来る。それに対しロザリオのゴーレムはごつい。素早い動きこそ出来ないがその攻撃力は先の通り。見るからに分厚い装甲は防御力も高そうだ。
――となると、今思いついた方法は二つある。
一つは、堅そうな装甲もろとも爆破すること。これに関しては、一応俺のゴーレムには遠隔起爆の魔法陣が仕込んである。しかし、俺の貧弱な魔力で起こせるだけの爆発であのゴーレムを倒せるかと言われると疑問が残る。というかこういう手段はシンシアなどの魔力が膨大な魔導士がとるものだ。
となるともう一つ考えつくのは……。
「来ないならこちらから行くとしましょうか」
俺が考え込んでいるのを見て、ロザリオは再びあの本を取りだした。
「ランーチャプター3、土の章」
いやらしく笑うロザリオの目の前にもう一体のゴーレムが生成される。
「な!」
「驚くのはまだ早いですよ?」
ロザリオの前に、次々とゴーレムが生成されていく。
「はぁ!?」
正直ずるいと思いました。はい。
俺のか弱いゴーレム一体に対し、ロザリオのゴーレムは計10体。
「もうだめですよ……アキヤマさん! もうあきらめていいです! 私のことはあきらめるのです!」
アイラは絶望を瞳に映して俺を見た。
どうやら、あれだけの大きさのゴーレムの多量生成というのは、高等技術らしい。もちろん、俺も魔力量の関係もあり一体しか出せないのが現状だ。
物語の主人公ならここで覚醒して無理矢理力を発揮して敵と同じだけのゴーレムを生成したりするのだろうが、そうは問屋がおろさない。
1対10。確かに絶望的に、見える。
でも本当にそうか?
ここには俺がいるし、向こうにはロザリオがいる。
2対11じゃないか。
なら出来ることはあるはずだ。
俺は前を向いた。
「アイラさんの言うとおり、あきらめたらどうです? 今ならまだ許してあげましょう」
ロザリオはメガネをくいとあげながら言った。
いちいち鼻につくヤローだ。
「遠慮しときますよっと!」
俺は言うと同時にポケットから紙の束を取り出した。
「ラン!」
叫ぶと同時に俺の魔法陣から大量の水が生成され、ロザリオのゴーレムにかかった。
「それがどうしました? 見たところただの水の用ですが、その程度の水魔法、実用には至りません。水魔法っていうのはね、こうやって使うんですよ!」
ロザリオは本を取り出す。
「ランーチャプター5、水の章」
ロザリオの目の前に水で象られた竜が生成され、俺の方へと襲いかかってくる。ゴーレムはゴーレムで俺に襲いかかってくる。
結局俺は逃げ場もなく水の竜に呑まれた。竜の勢いに押され空中に浮いたまま、水の竜の体内に取り込まれた。水なので外の様子は見ることが出来るが、息が出来ない。
「ばぁん!」
ランと言おうにも空気を吐き出すだけで声にならない。
絶対絶命。
アイラも泣き叫んで俺の方を見上げていた。
「びんばいぶんばっべ」
俺は声にならない言葉を返す。
あーあ。つくづく格好付かないもんだなぁ。
俺は息を止めたまま、コントローラーを握りしめた。
今は、このコントローラーとゴーレム一体だけが俺の希望だ。
お久しぶりです。だからちゃんと終わりまで書きますって!
…完結まではまだまだかかりそうなんですけどね。
お付き合いいただけたら幸いです。




