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お兄ちゃん依存症  作者: 南瓜
小嵜綾香の世界
45/54

いきなり兄貴が…。

 


 「…………んん…。」


 部屋に射す日の明かりが眩しい。 

 もう朝か。

 最近朝が来るのが早いな。

 

 今日は土曜日だ。

 テストも学校もないから、一日ダラダラしていても平気な日。

 もう起きちゃったけど、このまま二度寝に突入する事もできる。


 けど、折角の休みだから…。

 兄貴との時間を優先したい。

 そう思い、私にしては珍しく早起きする事にした。

 

 時刻は朝の7時。

 兄貴はもう起きてるかな。

 

 私はむくりと体を起こし、部屋を出た。



 * * * * *



 「……。」


 リビングは静かだ。

 電気も点いてないし、何も音沙汰無い。

 どうやら、兄貴はまだ部屋で起きてないみたい。

 折角だし起こしてあげようかな?


 私はそ~っと兄貴の部屋に近づき、なるべく音を立てない様に静かに扉を開けた。


 「……兄貴…。」

 「………zzz。」


 小声で部屋の中に呼びかけたけど、返事無し。

 その代わり、暗い部屋の中には重厚な(いびき)がズーズーと鳴り響いている。

 今日は御寝坊さんみたい。

 

 「……。」


 私はこれもそ~っと、兄貴の寝ているベッドにちょこんと座り込む。

 暗くてよく見えないけど、健やかな寝顔が寝息を立てているのが解る。


 …こうやって兄貴の寝顔見るの久々かも。

 いつも私より先に起きてるもんね。

 なんかちょっと…可愛いかも。 


 「………zzz。」

 「…すっごい。」


 すぐ側では、ズーズーという鼾に合わせて大きく上下する兄貴のお腹がある。

 がっちりしたお腹が緩やかに膨らんで萎んでを繰り返している。

 そんな光景を見て、思わずそれをすりすりと擦った。


 硬くて逞しい兄貴のお腹。

 指でつーっとなぞれば、ごつごつとした筋肉が凸凹を作りだしているのが解る。

 凄いな。いつの間にこんなに鍛えたんだろう。

 何か、カッコイイ。


 「……あぁ…?」

 「…あ。」


 そんな私のちょっとしたイタズラに気が付いたのか、兄貴の目がうっすらと開いた。

 そしてむくっと顔を上げ、お腹を触る私をじっと見つめてくる。


 「…おはよ、兄貴。」

 「……あぁ…。」


 でも眠気に負けたのか、寝ぼけた様子でか細い空返事をした後、うつ伏せになってまた寝息を立て始めた。

 余程眠いんだろうな。

 これ以上弄ったら可哀想だ。

 そっとしておいてあげよう。 


 「…先に起きてるからね。」

 「………zzz。」


 私は仕方なく部屋を後にし、普段は作らない朝ごはんの支度に入る事にした。

 いつも兄貴に作らせてばかりじゃ悪いからね。

 たまには私も朝ごはんくらい作らないと。



 * * * * *



 「…よし。」


 冷蔵庫に入っていたソーセージを適当に炒め、卵で目玉焼きを作り、トースターに食パンをセット。

 これで後は食パンが焼き上がれば朝ごはんは完成だ。

 久々に朝ごはん作ったけど、料理って結構楽しい。

 これからは私も積極的に兄貴の料理を手伝うようにしようかな。

 

 「……。」


 する事が終わってしまった。

 時刻は8時前。もう流石に兄貴を起こした方がいいかもしれない。

 と言うか、一人でリビングに居るのが寂しい。早く兄貴と話したい。

 ぐっすり眠っている所で悪いけれど、起こしてあげよう。


 私は再び、兄貴の部屋に入っていった。



 * * * * *



 「……珍しいなぁ。兄貴がこんなに寝坊するなんて。」

 「………zzz。」


 昨日の夜兄貴が、私がプレゼントした「ヘッドホン」を早速使っていたのでそれの感想などを本人の口から聴いていた。

 非常に満足してくれたみたいで、私の頭を撫でてくれたりお腹を撫でて来たりとかなり上機嫌だった。

 その後は特に何も無くお互いに寝静まったはずなんだけど。


 もしかしたら私が部屋に戻って寝た後も、ヘッドホン片手に「夜更かし」でもしていたんだろうか。

 もしそうだとすれば、いつも早起きの兄貴がこんなに寝坊するのも頷ける話だ。

 

 「兄貴、起きよ。朝ごはん出来てる。」

 「………うんん……zzz。」


 返事してくれたのか寝ぼけているのか解らない返事をされた。

 もう、こうなったらもっとイタズラしちゃえ。

 そう思い、私は兄貴に寄り添うようにしてベッドに横たわった。


 すぐ側から感じる、兄貴の温もり。

 その温もりを求める様に、兄貴に密着した。

 うつ伏せになる兄貴の背中に頭を乗せて、腕に手を廻す。


 なんかドキドキする。

 緊張するというか、興奮するというか。

 そういう変な感じ。

 それが凄く、気持ち良くて…。

 このまま無防備な兄貴に、変なコトしてしまいそう…。

 あぁ兄貴…起きないとホントにイタズラするよ?

 私だって…兄貴を襲えるんだよ……?


 なかなか起きない兄貴に痺れを切らした私は。

 そっと、兄貴のズボンの中に手を入れようとして―――。




 「うんん…綾香かぁ…?」

 「…あ。」


 私が兄貴にイタズラしかけた刹那、兄貴から私を呼ぶ声が発せられた。

 なんだ、起きちゃったか。

 もうちょっと兄貴に色んな事しようと思ってたのに。


 「…兄貴、おはよ。」

 「あぁぁ……やべぇぇ……ねみぃぃいぃぃ…。」

 「…もうちょっと寝る?」

 「寝たいんはやまやまだがぁ………あぁぁ…。」


 何と言うか、寝起きたからか言動が支離滅裂としている。

 ちょっと、可愛い。


 「朝ごはん作ったんだけど……。」

 「まじかぁ……んん……それは食わねぇとなぁ……。」

 「ラップ掛けとくよ。もうちょっと寝たら?」

 「そうしたいが………あああっ!!」

 「え、わわわわっ!」


 寝ぼけている兄貴が突然、謎の大声を上げて。 

 ガバッと、私に覆いかぶさって来た。

 咄嗟の事でどうする事も出来ず、私は兄貴の体に押しつぶされてしまう。

 え、何する気? 

 もしかして…私を襲う気?


 「え…ちょ…兄貴?」

 「あぁぁ……ねみぃぃぃ……。」

 「え……え…。」


 兄貴が私に覆いかぶさりながら。

 器用にも、押しつぶしている私の体の至る所を触ってくる。

 兄貴の手は一切の躊躇なく、私の「恥ずかしい体の部位」を容赦なく揉み拉いて来る。

 それに私の尻の部分に、兄貴の硬くなった ()()が当たっているのが感じからして解る。

 え、ちょっと待って兄貴…。

 さすがに恥ずかしいよ…。

 しかも、こんないきなり…。


 「あ…あっ……あ、兄貴…。」

 「んん……。」

 「ちょ……あっ!…も、もっと優しくしてよッ…。」

 「うぅん………。」

 「やぁ……や…。」


 いつものセクハラとは違い、触ってくる兄貴の手には明らかに力が籠っている。

 こんなに積極的に触ってくる兄貴は初めてかも。

 もはやセクハラの域を超えてるし…。

 抵抗しようにも、兄貴の体が重すぎて上手く払い除けられない。

 まぁ別に、触られるのがそんなに嫌ではないからこそ、あまり抵抗しないだけなんだけど…。

 

 そう言えば、男の人って朝起きた瞬間はこういう変な気分になりやすい、と言うのを何処かで聞いたことがある気がする。

 もしかしてそれのせい…?

 お尻に当たっている()()も凄く元気みたいだし…。


 「あ…あにっ……きぃ…!はぁ…はぁ…はぁ…。」

 「……んん…。」

 

 多少は寝ぼけているんだろうけど、兄貴の手はちゃんと意志のある触り方をしている。



 もしかして、今なら。

 

 私はビクつく体を何とか動かし、自分の下の方に手を伸ばして。

 お尻に当たっている兄貴の硬い()()を、すりすりと擦ってあげた。

 きっとこうすると男の人なら気持ちいいだろうし、場合によってはこのまま……持ち込めるかもしれない。

 そう企んだ私は、兄貴を()()()にさせる為、兄貴に刺激を与え続ける。

 さっき触り始めた時よりも、兄貴の()()はみるみると大きくなっている気がする。

 この調子ならきっと…兄貴が私を本当の意味で襲うのも時間の問題だろう。

 私は、自分の局部に押し当てられた兄貴の手の温もりを感じながらも、必死に兄貴に快楽を与え続けた。

 そして―――。


 「あぁぁ!もう駄目だ綾香。」

 「…え?」


 兄貴が、私の体から手を引き離し。


 そのままごろりと、私の体から距離を取る様にしてベッドを転がった。

 仰向けになり、気持ちよさそうな顔をして頭の後ろに手を廻している。

 え…どういう事?


 「…あ、兄…貴?」

 「すまん、今何時だ?」

 「え……8時過ぎだけど…。」

 「そうか……よし綾香。8時15分になったら起きてリビングに行く。それまでちょっと、俺を一人にしてくれ。」

 「……え?」

 「頼むわ、もう我慢できないんでな。」

 「……。」


 俺を一人にしてくれ。

 そう言った兄貴の意図は、何となくだけど解った。

 きっと一人になって…………変なコトするんだろう。


 でもそれなら――。


 「……………手伝おっか…?」

 「あ?」

 「…兄貴の……その…………扱くの…手伝うよ?」

 「あぁいや、一人でいい。」

 「…でもさ……その……私の体触りながらとかなら……捗るんじゃない…?」

 「いや、お前に見られるの恥ずかしいからさ。一人にしてくれ。な?」

 「……そっか。」


 兄貴がそう言うなら、大人しく一人にしてあげよう。

 私としては残念だけど…。

 て言うか、別に一人でしなくたって……私を使ってくれてもいいのに。

 やっぱり、私を襲ってはくれないんだね。

 

 「…うん、解った。後で朝ごはん一緒に食べようね。」 

 「あぁ。さっきはいきなり体触ってすまんな。」

 「え?いや、別に。………もっと、触ってくれてても……いいんだよ…?」

 「はっ、また今度触らせて貰うぜ。」

 「…うん。」


 そうとだけ話し、私は渋々兄貴の部屋から出ていった。

 体にはまだ、先ほどまでの兄貴の温もりが残っている。

 もう…私まで変なコトしたくなっちゃったじゃん…。

 兄貴の意地悪。あそこまでするなら最後までしてよね……。



 まるで切り捨てられたかのような寂しい気分になりながら、私はリビングで兄貴の「行為」が終わるのを待った。

 何か、変な気分だ。



 * * * * *



 「ふぅぅ~~。スッキリしたわ~。」

 「……。」


 数分後、晴れやかな表情の兄貴が部屋から出てきた。

 まぁきっと……やるべき事をやり終えたのだろう。


 「すまんな待たせて。うし、朝飯食うか。」

 「……うん。」


 何だろう。

 兄貴を待っている間、凄く恥ずかしかった。

 部屋の中で兄貴が「行為」に及んでいるのが解っているのに、それが終わるのをただ黙々と待つなんて。

 なんか、馬鹿らしかった。

 変な気分が晴れないまま、私は朝ごはんを食べる事にした。



 「うし、じゃあ。いただきます。」

 「…いただきます。」

 「綾香。」

 「…ん?」

 「朝飯作ってくれてありがとな。美味いぜ。」

 「え…うん。…別に…焼いただけだし。」

 「お、照れてるな?顔赤いぜ。」

 「…うっさい。」

 「はっ、可愛い妹だなぁ?」

 「…バカ。」

 「お、そのツンツンした態度、最高だぜ。」

 「もうっ、解ったから早く食べてよ。」

 「へいへ~い。」


 ホント、意地悪な兄貴。

 女心をまるで解ってない。

 もう、バカ。



 机に向かい合って座る兄貴の顔を、憎たらしくじろじろと睨みながら。


 私は黙々と、食パンを齧った。

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