なんでも聞いてくれる?
「ふ~んどうしたもんか。」
「……。」
今、兄貴と一緒にリビングにいる。
ソファ-に並んで座って、机に上に仕事関係の雑誌を開けて見ている所だ。
私には年齢的に難しい仕事しか載ってないけど、いづれ仕事はするだろうから、ついでみたいな感じで見てる。
最近兄貴が、今やってるバイト以外にも仕事を見つけたいと言い出した。
私的にはもう今以上無理しないでほしいけれど、生活を支えてくれているのは兄貴だし、何も言い出せなかった。
私もバイトしてお金稼がないといけないな。兄貴には止められてるけど。
兄貴曰く、お金は実際厳しいけど危機感のあるほどではないらしい。
というのも、今は両親の口座からお金を下ろせているから。
しかも中々の金額が入っているらしく、しばらくは困ることはないと兄貴は言っていた。
まぁあいつ等がお金を沢山持っていたと聞いてもさほど驚かない。
なにせ、兄貴を家から追い出すためにわざわざこんな一軒家まで買った奴らだから。
それほど、私を「売り物」にする気満々だったんだろう。
ホント最低な奴ら。もう顔も見たくない。
「兄貴はどんな仕事したいの?」
「う~んまぁ、得意分野の『写真』関係の奴かな。」
「…なるほど。」
兄貴は「盗撮」が趣味だけど、実際写真を撮る事自体もなかなかうまい。
以前は「ジャーナリスト」って言う仕事もしていたくらいだから。
まぁとある理由で、もう今はその仕事やめてるけど。
「でも兄貴、あまり無理しないでね?」
「ん?俺がいつ無理してるって言った?」
「……言ってないけどさ。」
「おいおい決めつけはひどいぜ?俺がそんなに貧弱に見えるか?」
「ううん。すっごい頼りになる人だと思う。」
「だろぉ?だったらもっと俺を信用してくれ?」
「…うん。」
なんか、カッコイイなって思った。
話してるだけで胸がときめくこの感じ。
やっぱ、好き。
思わず私は、隣で座ってる兄貴に抱き着いた。
兄貴も、ぎゅっと私の肩を抱き寄せてくれた。
「何か私にして欲しいことあったら言ってね?ちゃんとするから。」
「おう、頼むわ。」
「…今は何かして欲しいことある?」
「ん~じゃあ俺の膝の上座ってくれ。」
「…うん。」
私は言われた通り、兄貴の膝の上に移動した。
そして兄貴がそのまま私を抱き寄せて、私が兄貴にもたれ掛っているような体勢になった。
「これでいい?」
「おう、最高だわ。」
そして兄貴は空かさず。
私の太ももを擦って来た。
すりすりと、膝から足の根元にかけて。
まぁ解ってたけどさ。
触るなら触るって前もって言ってからにして欲しいな。
別にいいけど。気持ちいいから。
こうして兄貴に体触ってもらえるのが一番癒される気がする。
「そういやお前、学校のテストとか無いのか?」
「……ある。」
「いつ?」
「…もうすぐ。」
「勉強は間に合ってるか。」
「…………うん。」
「ちょっと考えたな?さてはあまり勉強してないなぁ?」
「ちゃんとしてるもん!」
「ほんとか~?怪しいなぁ。」
「してるって!」
「じゃあこうやって俺に太もも触られながらボッーとしててもいいんだな?」
「……。」
「ほれ、勉強してこい。」
「今はっ、兄貴との関係が最優先なの。」
「ほほう?じゃあ学校の成績より俺のセクハラの方が優先度高いのかぁ?」
「………うん。」
「アホ!ほれ、勉強してきな。」
「う~~。」
私は兄貴にお尻を叩かれ、無理矢理立たされた。
ひどいよ。ホントにちゃんと勉強してるからこうやって一緒にいるのに。
私は仕方なく、部屋に戻って勉強することにした。
* * * * *
「…あ~あ。」
勉強がつまらない。
一応もうテスト範囲は一通り復習済みだし、ノートとかプリントとかの提出物の仕上げもちゃんと終わっている。
何なら明日いきなりテストって言っても、たぶんいける。
でも一応やり過ぎることはないだろうから、今は復習の復習をやっている。
何よこれ。頭がいい人が勉強してるみたいじゃん。
もう勉強やめてちょっと寝ようかな。
なんて、そんな風にすら思ってしまう。
「……。」
まだ、さっき太ももを触って来た兄貴の感触が残ってる。
思い出すと、じんわりとその時の感覚が戻ってくる。
あぁダメだ。変な気分になっちゃう。
ほんのちょっとだけ、一人でヤっちゃおかな。
どうせ時間潰すんだから、いいよね。
そう思って私は、ベッドに転がり込んだ。
そして布団を包めて、それを「抱き枕」代わりにして思い切り抱きしめる。
これだけでもそこそこな気分になれる。
そして。
手をそっと、下の方に廻して。
そっと、触って。
軽く、摩ってみる。
「……。」
もう、何やってんだろ私。
兄貴に勉強しろって言われてるのに、何途中でこんな事始めてるんだろう。
でも、自分の欲望には逆らえなくて。
抱き枕にしている布団に跨って、絶えず行為に奔って―――
「お~い勉強してるか~。」
「………!!!」
そんな所に兄貴が。
ノック無しで部屋に入ってきた。
あぁ最悪。鍵かけておけばよかった。
「…………あ……その……兄貴…。」
「お前…勉強終わったのか?」
「……え………うん………。」
「そうか。一応ジュース持って来たんだが?」
「……………。」
嬉しいよ兄貴。ありがとう。
でもさ、それより早く扉閉めてほしい。
そんな平然とした顔で、今の私を見ないで。
恥ずかしくて死にそうなんだけど。
もう、頭が真っ白で…。
「…ほほう。何なら俺が、それ手伝ってやろうか?」
「……え……や………。」
「はんっ!冗談だって。もうすぐ飯だからな、早く済ませろよ?」
そう言って兄貴が。
ニヤニヤしながら扉を閉めて行ってしまった。
「………。」
なんか。
すごくムカつく。
あと、凄く泣きそう。
もう最悪。
こんなとこ見られたの初めて。
お風呂も覗かれた事あるし、着替えてる所も見られた事あるけど。
これはそんなの比じゃないくらい恥ずかしい。
もう、兄貴の馬鹿。
私は静かに服を整えて。
布団を整理して。
しばらく、ボーっとしていた。
* * * * *
「もうっ!兄貴の馬鹿!変態!」
「だから俺はジュース持って行っただけだって!」
「せめてノックしてよっ!もうっ!」
「だから悪かったって!あとで土下座でも何でもしてやるからさ!そう怒るなよ…」
「ん~~~~!!!」
私は、兄貴に八つ当たりしている。
私の油断が、あんな恥ずかしい目に合うことになったから。
それの腹いせ。
「もう…恥ずかしかったんだからぁ……もぉ……。」
「おいおい泣くなよ!俺が悪かったって!な?」
「…う~~~~…………。」
「解った解った!頭撫でてやるから、な?」
「…………う~。」
兄貴が優しく、私を抱き寄せながら頭を撫でてくれた。
素直にうれしいけど、でもなんか腹が立つ。
「…許さないもん。」
「だから悪かったってぇ。」
「…なんか、お願い聞いてもらうから。」
「おうおう何でも聞いてやるよ。」
「………ホント?」
「あぁ。」
「……………じゃあまず、キス。」
「ほいよ。」
兄貴が、腰を低くして。
そのままキスしてくれた。
今日帰って来た時に散々されたけど、兄貴とのキスは好きだから。
何回でも、していい。
「……これでいいか?」
「まだ許さないもん。」
「おいおい手厳しいなぁ。んだよ一回見られたくらいで。」
「その一回が死ぬほど大きいの!」
「解ったって。んで、次は何したらいい?」
「……。」
まぁ正直、もう怒ってない。
冷静になると、別に見られても良かったって言うか。
恥ずかしくて苛立ったけど、あの時だけだし。
でも、今の兄貴は珍しく私に対して腰が引くいから。
せっかくのチャンスだし、ちゃんという事聞いてもらう。
「じゃあ、次にして欲しいことは…」
「おう。」
「……。」
私はちょっと考えて。
閃いた。
「今日の夜になったら、改めて言う。」
「…ほう。」
「だから、その時に言う。それでいい?」
「あぁいいぜ?」
よし。
チャンス到来。
兄貴もきっと解ってくれるはず。
私の、したい事。




