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お兄ちゃん依存症  作者: 南瓜
高坂未見の世界
21/54

世の中物騒だね。

 「………zzz。」

 「…寝ちゃったか。」


 人生初の「兄妹風呂」を迎え、その後の着替えなどを済ませてからかれこれ30分ほど経ちます。

 お兄ちゃんは既にぐっすりと夢の中です。

 私は…パソコンと向き合って絶賛お仕事中です。


 「……。」


 先ほどの「兄妹風呂」。折角途中までは楽しく満喫出来ていたものの、お兄ちゃんの優しい言葉に思い詰めて泣き出してしまいました。

 初めての兄妹風呂だったのに…こんな不完全燃焼のまま終わってしまうなんて。

 本当に私は駄目な妹です…。

 お風呂を出た後も中々泣き止めなかったのですが、お兄ちゃんが懸命に私を励ましてくれたおかげで今は落ち着きました。

 もう今後はなるべく泣かないようにしないといけませんね。

 このまま体の弱いお兄ちゃんに頼ってばかりではいけません。

 ちゃんと自律しないと…。


 「……はぁ…。」


 ため息をつきながらも、キーボードを黙々と叩く私。

 すぐ後ろには寝息を立てながらすやすやと眠るお兄ちゃん。


 そんな静かな時間が、しばらく続きました。


 

 今はもう、夜中の23時です。



 * * * * *



 「ふぁ~~……流石に眠くなってきたなぁ…。」


 目標にしていた今日のノルマも無事クリア出来ました。 

 もうこれで後は寝るだけです。

 ちょっと軽くネットに繋いで、ニュースでも見たら就寝しましょう。

 そう思い、適当にパソコンをポチポチと弄っていました。


 「……ん?」


 特に何も考えず、適当にニュースを眺めていたのですが…。

 ほんの少し、私にとって気になるニュースが目に飛び込んできました。




 〈犬を(けしか)けて?男女2人軽傷〉


 今日午後20時10分頃、○○市内の○○付近で20代の男性と10代の女性2人が、何者かが引き離した「犬」に襲われた。男性は腰を強く打つなどの軽傷、女性は犬に足を噛まれるなどの軽傷を受け病院に搬送されたが、命に別状は無いという。男女2人を襲った犬はその後見失い、未だに見つかっていない。

 警察署はその後の調べで、「何者かが意図的に犬を引き離し男女を襲わせた可能性が高い」という見解を示し、現場の状況を元に今も尚捜査に当たっている。



 と言う、一見珍しいニュースを目の当たりにしました。

 そして何より気になったのは、この事件の発生場所がこのマンションからそんなに遠くないという事です。

 おそらくその「犬」を嗾けた犯人も未だ見つかっていないのでしょう。

 私も喧嘩には自信がありますが、動物が相手となるとそう上手くはいきません。

 もし襲われたら大変ですし、一応警戒しておいた方がいいかも知れません。



 「…まぁいっか…。」


 まぁ深く考えてもどうにもなりません。

 今日はもう寝て、明日に備えましょう。

 そう割り切って私はパソコンを片付け、予め敷いて置いた布団にごろんと寝転がりました。敷いた場所は当然、お兄ちゃんのすぐ隣です。


 「…おやすみお兄ちゃん。今日は色々ありがとね…。」

 「………zzz。」

 「ふふっ♪…もう、寝顔可愛いなぁ。」

 「………ん……zzz。」

 「……おやすみ…。」


 お兄ちゃんの健やかな寝顔を伏し目に、私はぐったりと就寝しました。



 * * * * *






 ――――。



 「……や、やめて!…やめて!」


 「はぁ?何が『やめて』なの?こっちはむしろ感謝して欲しいくらいなんだけどぉ。」


 「……いやだ…みみるっ……いやだ!」


 「うわ最悪。ねぇ、私の名前気安く呼ばないでくれる?生ごみのくせにさ。あんたみたいな汚いのが私の名前呼んでいいと思ってんのぉ?ねぇ。」


 「……ご、ごめ…でも…それはいやだ…!やめて!」


 「『やめて』じゃないでしょ?『お願いします』って言いなさいよ。」


 「……い……いやだぁ!」


 「全く…理解の乏しい人。だからお父さんやお姉ちゃんに散々馬鹿だ馬鹿だって言われてるのよ解ってる?ねぇ。」


 「……いやだ…こわいよぉ…。」


 「あんたがどれだけ嫌がっても誰も助けてなんてくれないわよ。さぁ…逃げてないで早くこっちに来てよ。さぁ。」


 「……う…うぅ…。」


 「あんたは腐った汚い生ごみなのよ…だから、私が『除菌』してあげる…。さぁ…早く来て。来てよねぇ早く!」


 「……うぅぅ…うぅぅぅぅ…!」


 「そっか~知らないんだ。いい?いい事教えてあげる。いくら汚い生ごみでも『熱』さえ与えればある程度『除菌』できるんだよ?知ってた?知らないよね~だって『小卒』だもんね~。」


 「……やだ…やだ…。」


 「だからまずは~。そのあんたの汚くて汚くて汚くて汚くて汚い顔を『アイロン』で『除菌』してあげる…喜んでいいよ?明日から綺麗なお顔になるんだよぉ?」


 「……お願い……やめて…。」


 「あ!今『お願い』って言ったよね!ほらやっぱりして欲しいんだ~。」


 「……ち…ちが…!」


 「解ったよ。そこまで言うなら『除菌』してあ~げる♪ほら、顔をこっちに向けて?『アイロン』、押し当ててあげるからさ♪」


 「……やだ!やだ!」


 「…もう!いい加減にしてよ!このッ―――――――!」


 「……!!!」



 ジュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ



 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っつあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!!!!!!!!!!!!」



 「……うふふ♪アハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!!」



 高級そうな、一軒の住宅の中から。



 少年の悍ましい悲鳴と。


 少女の狂ったような甲高い笑い声が。




 その家を震撼させた。

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