第14話:王都ファースターの真実……の真実
前話までのあらすじと、登場人物は移動しました。
目次をご覧ください。
物心ついた時にはすでに、
ファースター城内で暮らしていた。
幼い時はそうでもなかったが、
8~9歳くらいの時から、
会う大人会う大人に、
深々とお辞儀をされるようになった。
周りには同年代の友達もいない。
どうして、みんなは私を見ると、
お辞儀をするの?
どうして、私の周りには、
大人ばっかりなの?
お父さんとお母さんに聞いてみた。
「それはね、あなたが王女だからよ」
オウジョ?
何それ?
最初は、意味が分からなかった。
でも、その頃から騎士総長だったクライドが、
王女の意味について教えてくれた。
どうやら王女というものは、
かなり身分が高いらしい。
というより、国で一番偉い、
陛下という人の子どもらしい。
知らなかった。
私のお父さんとお母さんは、
そんなすごい人だったんだ。
「そうです。
ですのでローザ様は全ての貴族、
そして市民たちの、
憧れとなっておられるのです」
憧れ?
わたしが? みんなの?
「はい。ローザ様は陛下の、
たった一人のご息女でいらっしゃいます。
それ故、いずれはこの王都、
ファースターを背負っていかれなければなりません」
背負う?
それって重いの?
「ハハッ、ローザ様ったら……。
ですがローザ様、心配には及びません。
このクライド、全力でローザ様をお守りします。
なんなりとお申し付けくださいませ」
クライドの言葉は心強かった。
それから私は、
ファースター王女として、
ファースターの未来のために、
尽力したつもり。
そして、その隣には、
常にクライドがいてくれた。
文武共に優しく、時には厳しく、
でも最後はやっぱり優しく教えてくれた。
クライドがいなければ、
王女としての私はいなかった。
そう、私はいなかった……。
「ニセモノの王女なんですよ」
クライドの冷たい言葉が、
ローザの弱った心臓に突き刺さる。
「え……?」
「……笑えない冗談ね。
もう少し気の利いた、
冗談を言えないのかしら?」
両剣を手に持ったまま、
レナがクライドを睨み付ける。
「笑える冗談は言えないが、
笑えない真実を言うことができる。
ローザ・ファースター……
いや、ローザ・フェイミ。
お前は王女でも、なんでもないのだよ」
そう言い放つクライドの目は口調同様、
氷の刃を突き刺すかのように冷たい。
「……今まで色々と、
言葉が足らなかったようだな。
正確に話そう、そもそも、
今のファースターに、
王族など一人も存在しないのだよ」
「え……?」
次々と発せられるクライドからの氷の刃に、
レナ達は言葉を発することができない。
「ローザが両親、
つまり陛下と皇后と思っていた2人は、
共に私の部下、シャックの一員だ。
本物の陛下と皇后は、
数年前にすでに亡くなっている。
そして、その2人の間に子どもはいない。
つまりワームピルの王都、
ファースターは現在、王族など1人もいない、
シャックの活動拠点の一つに過ぎないのだよ」
そんなレナ達に構わず、
坦々と言葉を並べていくクライド。
ダート王洞が、
坦々と並んでいくクライドの言葉を反響させ、
全方位からレナ達を襲う。
「てめえ……!」
「そんなことはどうでもいいッ!
母さんは、母さんはどこだよッ!!」
「ちょっ、2人とも落ちつきなさいよ!」
クライドに、今にも飛びかかろうとするプログ、
そしてそんなクライドの話にも、
構わず叫び続けるアルトを、
レナが必死に止める。
「随分としょーもない、
壮大なストーリーを考え出したものね。
あんた、小説を書く勉強したほうが、
いいんじゃないの?」
「信じるか信じないかは、お前たちの勝手だ。
まあ、少なくとも、
1人は信じているようだがな」
プログとアルトを必死に押さえながら、
クライドを睨み付けるレナに、
クライドはうしろを振り向くよう、
顎で指示する。
「……ローザ?」
後ろを振り返ると、
そこには力なく地面に座り込み、
完全に放心状態で、
体を震わすローザの姿。
「ローザ!? しっかりしてローザ!」
「う……そ……ですよね?」
「アイツの言うことなんて、
信じちゃダメ!」
レナが必死に呼びかけるが、
ローザの心には届かない。
「全部……ウソですよね……
冗談ですよね……?」
「無理もない。
すぐには信じられんだろうさ。
だが、いくら幼いからとはいえ、
王女にお会いして、
挨拶しない貴族がいると思うか?
ローザ、今一度、思い返してみろ。
小さい頃、全ての貴族が、
お前に挨拶なんてしていたか?」
「ローザッ!
聞いちゃダメッ!」
クライドの容赦ない言葉を、
レナはかき消そうとするが、
一度動き出してしまったローザの思考を、
止めることはできなかった。
物心ついた時にはすでに、
ファースター城内で暮らしていた。
幼い時はそうでもなかったが、
8~9歳あたりで、会う大人会う大人に、
深々とお辞儀をされるようになった。
幼い時はそうでもなかったが、
8~9歳あたりで、会う大人会う大人に、
深々とお辞儀をされるようになった。
幼 い 時 は そ う で も な か っ た が 、
「……ッ!!」
その瞬間、
ローザの頭は真っ白になった。
そう、8~9歳以前には、
お辞儀をする大人などいなかった。
ある一時を境に、急にお辞儀をされたり、
丁重にもてなしを受ける様になっていたのだ。
今まではそれが普通だと思っていた。
王女として育っていく、
1つの過程に過ぎないと思っていた。
だが、一度崩れてしまった自信ほど脆く、
儚いものはない。
「あ……あ……」
「しっかりしてローザ!」
「そ、そんな……そしたら……
私は……誰なの?」
何か考えて、というよりは、
まるで言葉だけが独り歩きしているかのような、
魂の抜けた、そんな口調でローザが呟いている。
「そうだな、このままでは可哀想だ。
いいだろう、教えてやろう。
ローザ、お前は……」
再び口角が上がり、
不気味は笑顔を浮かべながら、
クライドが言葉を放つ。
「お前は王族どころか、
貴族でもなんでもない、
どっかから売り飛ばされてきた、
汚い小娘なんだよ」
「クライド、あんたってヤツはぁぁぁぁ!!」
ローザを、王女ローザを殺す、
トドメの言葉をクライドが突き刺す。
と、同時に限界を超えたレナが、
最後は言葉にならない声を発しながら、
クライドめがけて猛然と突進する。
「やれやれ、結局はお前もか……ッ!」
そう言いながら、
クライドは細身の剣を、
目の前でヒュッ、と振る。
すると、その振った剣から、
真空の刃が突如姿を現し、
レナを目がけて飛んでくる!
「くッ……!」
レナは長剣と短剣をクロスさせ、
その真空の刃を受け止めるが、
その衝撃の強さに耐え切れず、
うしろに弾き飛ばされ、尻餅をつく。
「やめておけ、今のお前たちでは、
私には勝てない。
今回は見逃してやるといっているんだ、
おとなしく厚意を受け取っておけ。
あと、この洞窟の先に行っても何もないぞ。
転移装置なんてシロモノが、
そうそうあるわけないだろう。
お前達も早くここから逃げ出すんだな」
クライドは尻餅をついたレナ、
放心状態で何も考えることのできないローザ、
悔しそうな表情で、
クライドを睨みつけることしかできないプログに、
それぞれ視線を送ったあと、
クライドは再び背を向け、
来た道を戻るべく歩き始めた。
「お前、待てって言ってんだろッ!
まだ話は終わっていないぞッ!」
ただ1人、視線を送ることをしなかったアルトからは、
引き続き、怒気を含んだ声が飛んでいる。
「……知りたければ、私を追うことだな。
私は別の大陸に行く。
この世界、グロース・ファイスを救うためには、
まだまだ準備が必要だからな」
「そんなこと知るかよッ!
なんで今、言わないんだよッ!」
「アルト、と言ったか。
お前は世界を知るべきだ。
かつてお前の母、ヴェールがそうしたように。
そして、その覚悟があるのなら、
私を追ってこい。
その先に、必ずお前の答えが見つかるはずだ。
誰のものでもない、お前だけの答えが……」
背中を向けたまま、アルトにそう言い残すと、
クライドは歩を進め、
レナ達の前から姿を消した。
「世界を知る!?
意味わかんないよ!
ってか、待
「いい加減にしろ、アルトッ!!」
クライドの後を追おうと、
アルトが走り出そうとしたその時、
ダート王洞にプログの怒号が響き渡る。
気が付いた時には、
プログがアルトの胸ぐらをつかんでいた。
「テメエ、いいかげんにしろよ!
テメエ1人が勝手をするだけで、
こっちがどんだけ振り回されると思ってんだよ!」
「そんなの知るかよ!!
あいつは母さんの
「そんなの知るかだと?
テメエはローザの護衛をしてんじゃねえのかよ!!
そのローザを放っておくつもりか?
テメエはどんだけ偉くなったんだよッ!!
それに4人がかりで倒せなかった相手に、
1人で戦いに行くとか、
悲劇のヒーローにでもなったつもりか!?
もしここで、テメエが死んじまったら、
それこそ、テメエの母親はどんだけ悲しむか、
少しは考えたことあんのかよ!!」
「……ッ!!」
プログのあまりの剣幕、
そして母親の気持ちを指摘され、
思わず言葉に詰まってしまうアルト。
依然として、プログは胸倉をつかんだまま、
アルトを睨み付けている。
「ご、ごめん……。
つ、つい……」
ようやく正気に戻り、
冷静に考えられるようになったのだろう、
アルトは力なく答え、スッと視線を逸らす。
「……わかりゃいい。
それに、お前の気持ちも、
わからなくもないしな」
いつものアルトに戻ったことを確認し、
プログも掴んでいた胸ぐらを放す。
再び、洞窟内に静かな時が戻る。
「とりあえず、クライドの話で、
母親がどこかで、
元気にしているってのがわかっただけでも、
よしとしようじゃねえか」
プログも、そこまで引きずる様子もなく、
最後はアルトを諭すかのように話す。
確かにクライドの話の中で、
ヴェールが亡くなっているという話は出てこなかった。
それに、クライドは居場所を知りたければ追ってこい、
とも加えている。
つまり逆を言えば、
ヴェールはどこかで生きている、
ということになる。
先ほどプログが“元気に”と付け加えたのは、
プログなりの配慮だ。
「うん、そうだね……」
「それよりも、心配なのはローザだ」
元気のないアルトを引き連れ、
どんな表情をしていいかわからず、
バツが悪そうな雰囲気で、
プログがレナとローザの元へ駆け寄る。
「ローザ……」
「レナ……。
私、王女じゃないんですって……。
みんなに、シャックの人たちに踊らされていた、
ただのニセモノなんですって。
しかも、汚い小娘って。
クライドの手のひらで踊る汚い小娘……。
フフッ、何か笑えますね」
「ローザ、ひとまずどこかでちょっと休もう。
ちょっとは落ち着くかもしれないし」
未だになかば放心状態、
というより、どこか、
うわ言のように話すローザ。
そして、このままだとまずい、
そう考えたレナが、どこかで休むことを提案する。
「そうだな……。
この先に転移装置もないみたいだし、
今後のことを話し合う上でも、
どっかで休憩することは必要だな」
「そうね……。
ここからだと、あの小屋が一番近いかしら?」
「いや、もう少しちゃんとした施設の方が、
ゆっくり休めるだろう。
確かここから一番近いのは……、
南西になるサーティアの町だな」
プログがローザの状態を考慮し、
ここへ来る前に休憩した、
あの粗末な小屋よりも、
少し離れてはいるが宿泊施設がしっかりしている、
ここから南西に位置する町、
サーティアに行くことを提案する。
「そうね、ひとまずそこで一旦休憩を取りましょ。
っと、その前に……」
プログの提案を了承し、
立ち上がったレナは、
ここでアルトの方へ体を向ける。
「え?」
パァンッ。
洞窟内に乾いた、しかし重みのある音がこだまする。
「……ッ!」
衝撃で首が右に傾いたアルトは、
思わず左頬を押さえる。
レナが、アルトの左頬を平手打ちしたのだ。
その光景にプログだけでなく、
ローザも、まるで我に返ったかのように、
ハッと息を飲む。
「ローザの事がどうでもいいですって?
ふざけないでよ。
いくら母親の事が大事だと言っても、
言っていいことと、悪いことあるでしょ」
「ご、ごめん……」
まるで先ほどのプログの再現を見ているかのように、
今度はレナが、アルトに言葉をぶつける。
睨み付けてこそいないものの、
目の奥に宿る怒りの強さが、
プログと同等、
もしくはそれ以上の力に感じられる。
どうやらクライドが、
ローザが王女ではないと話した時にアルトが言った、
『そんな事より』という部分が、
レナには引っかかっていたようだ。
「今度言ったら、
ただじゃ済まさないわよ」
「はい……、
本当、ごめん」
「……よろしい、どーもですっと」
アルトの言葉を聞き、
すぐにいつものレナに戻る。
これもプログ同様、
今後引きずるつもりはなく、
一言だけ言っておきたかった、
といった具合のように見える。
「そ、そんな!
アルトは悪くありません!
私が……!」
「大丈夫よ、
アルトもローザも悪いわけじゃないから。
悪いのはクライド、アイツよ」
自分のせいで、
アルトが怒られたと感じたローザを、
レナが優しくフォローする。
だが、レナとアルトのおかげで……、
というのもおかしいが、
半ば放心状態だったローザが、
ようやく我に戻り、
何とか立ち上がれるくらいまでに回復していた。
「さてと、とりあえず外に出よう。
もう、こんなところにいてもしょうがない」
事をまとめるように、
プログがそう言うと、
来た道を戻り始めようと歩き出す。
「そうね、入口の裏に同じような仕掛けがあったし、
出られるとは思うけど……」
不安を口にしつつ、
レナもローザを連れてプログのあとを追う。
「……」
何かを考えていたのか、
はたまた涙をこらえていたのか、
しばらく1人で、
黙ってうつむいていたアルトは、
頭を2、3回振ると、
レナ達に追いつくため、走りだした。
「そういえば」
ダート王洞を戻る道中、
ふとレナがプログの方へ振り向く。
「プログはどの辺から、
クライドが怪しいことに気付いていたの?
あたしはてっきり、
気付いていないのかと思ってたわよ」
レナがプログに、
歩きながら訊ねる。
一度通ってきた道であるのに加え、
今まで遭遇した魔物は、
その場ですべて退けてきたため、
帰りの道で、魔物に遭遇することはない。
「ん? ああ、
いつからというか、何というか、
アイツは最初から怪しいと思っていたぜ?
ついでに言っとくと、
お前が地図を書いていた時点で、
お前が何か企んでいるな、ってのも
何となくわかってたぜ」
プログが顎を、
手でさすりながら答える。
確かに最初に会った時から、
クライドに対するプログの言動は、
かなり攻撃的なものではあった。
「ふーん。
まあ確かに、仲悪そうだったもんね。
てか、あたしの考えにも気づいていたのね。
あたし、そんなに怪しい動きしていたかしら?」
「いや、別にレナは怪しい動きはしてないさ。
ただ、地図を書いている時に、
帰る時用、って言っていただろ?
確かに行く時は、いくつも分岐する箇所があったけど、
冷静に考えれば、帰るときの道は一本道のはずだろ?
だから帰る時用の地図なんて、書く必要はない。
お前くらいなら、それくらいわかるだろうに、
それでも地図を書くってことは……」
「あたしが何か企んでるに違いない、
ってことね、ご名答じゃない」
「まあ、伊達に8年も、
ハンターやってませんって」
そう、プログは、
レナが地図を書き始めた時点で、
レナが何かを企んでいるな、
ということに気付いていたのだ。
そして、それを知りながらも、
あえて口に出すことはせず、
レナの企みの邪魔をしないようにしていたのだ。
レナとプログはお互いに、
やるじゃない、とばかりに話している。
ただ、いつもなら、
ここら辺でお互い冗談っぽく、
肩をすくめたりするのだが、
ローザ、そしてアルトの件で、
とてもじゃないがそんな雰囲気ではないため、
2人とも、それは自粛した。
普段通り歩いているものの、
ローザは下を向いたまま、
レナとプログのすぐうしろを、
一緒に歩いている。
アルトも同様だ。
特に言葉を発することもなく、
トボトボと1番うしろを歩いている。
「ってことは、最初の分岐で道を間違えたの、
あれもわざと間違えてくれたのかしら?」
「バカ言え、あれはマジで外したんだよ。
てか、初めて来たのに、
道なんかわかるわけねーだろ」
「それもそうね。
まあ、そのおかげで、
クライドが怪しいって、
確信が持てたんだけどね」
「そういや、もし俺らが、
あっさり正解ルートを引き当てて、
15分以内にあの開けた場所に着いていたら
どうしてたんだよ?」
「そしたら、
やっぱり地図を見つけに行こうとか言って、
うまく時間を調整したと思うわよ。
せっかく時間も計っていたし、
地図が落ちてる場所も知ってたしね」
「マジかよ。そこまで考えていたのかよ」
「そりゃ、追い詰める時は徹底的にやらないとね。
それよりも、クライド・ファイスって……。
この世界、グロース・ファイスと、
同じ言葉を使っているのね」
「そういえば、
そんなことを言っていたな」
「本名だか何だか知らないけど、
自分の名前に、この世界の名前を使うなんて、
神様でも気取っているのかしら、
まったく腹立つわね」
そんなこんなで、
レナとプログのお喋りは続いていく。
レナとプログは道中、
アルトとローザの2人に、
声をかけるようなことは一切しなかった。
声をかけられなかったわけではない、
あえて声をかけなかったのだ。
いくら慰めの言葉や励ましの言葉を、
今の2人に伝えたところで、
何も整理のついてない状態では、
まったく響かないし、
そもそもその言葉自体が、
本当に響く言葉かどうかもわからない。
今の状況では、もしかしたら逆に、
傷つけてしまうかもしれない。
今まで色々な経験をしてきた、
レナとプログのことである、
その場で慰めの言葉や、
励ましの言葉を並べることなら、
いくらでもできるだろう。
しかし、アルト、そしてローザにかけてあげるべき、
言葉、そしてタイミングは今ではない。
少しだけ、ほんの少しだけ、
自分1人で考える時間が必要――。
今まで1人で考えることが多かった、
レナとプログだからこそ、
行き着いた境地だ。
だからこそ、今はそれぞれ1人で、
考える時間があったほうがいい、
声をかけるのは、それからでも遅くはない、
2人はそう判断したのだ。
「ひとまず、
そのサーティアって町に急ぎましょ」
何かを払しょくするかのように、
レナは一言、そう呟き、
ダート王洞の入り口に向かって、
その歩みを進めていく。
(ローザ……。
お前は……俺が……)
しかし、レナとの会話が途切れると、
プログも心の中でそう呟き、
小さくため息をつく。
アルトとローザに話しかけなかった理由、
レナはともかく、プログには、
他にもあったのかもしれない。
それぞれが、様々な思いを胸に抱きながら、
ダート王洞を後にしていく。




