11/15
球技大会 ~TⅡ~
Endou’s story
準備は整った。
手にはクロロフォルムを染み込ませたハンカチ。植え込みの影にはダンボールと手押し車が隠してある。あとはあの娘を捕まえるだけだ。ひひひひひひっ。
「あっつーい」
と、水飲み場にあの娘が来た。よし、行くぞぉっ!
なるべくさりげなく、さも偶然通りがかりました~的な感じで、俺はその娘―――岸田由美子に話しかけた。
「気をつけろよ。熱中症になったら大変だ」
「あっ、はい。大丈夫です」
どうやら上手くいったらしく、何の警戒も持たれてない。
周囲に人はいない。よし、コンディションは抜群だ。
今度もさりげなく、隣で手を洗うフリをする。実際に水で手を濡らしているが、フリだからね。あくまで。
「ところで岸田」
「え?はい・・・・・・」
再度声をかける。これはこちらに振り向かせるための言葉に過ぎない。左手には既にあのハンカチが握られている。手を洗い終えた岸田がこちらを向いた瞬間!
「んんっ!?」
左手に握ったハンカチで素早く岸田の鼻と口を塞いだ。たちまち瞼を閉じ、身体をこちらにもたせかけてきた。よぉし。後は運ぶだけだ。
既に今日の目玉であるミニサッカーの準決勝が始まっているだろう。周囲を警戒しなくても大丈夫そうだ。
岸田をダンボールに隠し、そのまま手押し車に乗せて、第四体育器具庫を目指した。




