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球技大会 ~T~
エロゲというのは、なんて楽しいのだろう。ただエンターキーを押して物語を読み進め、所々に出てくる選択肢を選ぶだけの、そんな動きの少ないゲームが、どうしてここまで楽しいのか。俺は未だに答えが出せていない。
ヘッドフォンをかぶった頭をゆらゆらと揺らして、ノートパソコンのモニタをじぃっと見つめる。そこに映っている成人向けビジュアルノベルのウィンドウが、エンターキーを押す音と共に、少しずつ変化していく。
ふと、こんな考えが浮かんだ。
エロゲはエンターキーを押す音と共に、その物語の世界が少しずつ変わっていく。
世界は秒針が音を立てるたびに、一人ひとりの人生が少しずつと変わっていく。
何かを基準にした世界。何かに囚われた世界。何かに弄ばれる世界。
こうして考えると、仮想も現実も、根っこのところでは同じように感じる。
実際はどうなのだろう。社会的な知識も経験もない、ましてや頭がいいわけでもないごく普通の―――まぁ精神異常者ではあるかもしれないが―――高校生であるところの俺には、知る術がない。
そんな風に思考の泥沼にはまっていたからだろうか。外から近づいてくる足音に、俺は気づくことが出来なかった。




